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涙なしでは観られない!感動の名作『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)の解説と考察【あらすじ、感想、ネタバレあり】
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イタリアのコメディアンであるロベルト・ベニーニが主演、脚本、監督の三役をこなした『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)。

ホロコースト(ナチスによるユダヤ人大虐殺)を描いた本作は、第71回アカデミー賞の主演男優賞外国語映画賞など数多くの賞を受賞しました。

主人公の人生における喜びと悲しみを通し、「人生は美しい」ということを見事に描き切った『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)の感想を、ネタバレありで語っていきます。

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)作品情報とキャスト


ライフ・イズ・ビューティフル (字幕版)

作品情報

原題:La vita è bella
製作年:1998年
年製作国:イタリア
上映時間:117分
ジャンル: ドラマ

監督とキャスト

監督:ロベルト・ベニーニ
代表作:『ジョニーの事情』(2001) 『人生は、奇跡の詩』(2005)

出演者:ロベルト・ベニーニ/吹替:原康義(グイド・オレフィチェ

出演者:ニコレッタ・ブラスキ/吹替:日下由美(ドーラ
代表作:『ピノッキオ』(2002)

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)のあらすじ

監督・脚本・主演を務めたロベルト・ベニーニ© MIRAMAX

第二次世界大戦が目前に迫る1939年、ユダヤ系イタリア人であるグイドは、北イタリアのとある町にやってくる。

グイドは偶然出会った女性ドーラに恋をし、持ち前のユーモアと想像力を活かして彼女と幸せな家庭を築く。

しかし幸せも束の間、ナチスによるユダヤ人迫害が強まり、グイドとドーラ、そして一人息子であるジョズエは、強制収容所に送られてしまう。

絶望的な状況の中、グイドはそれまでの人生と同じようにユーモアと想像力を忘れず、ジョズエを守るために嘘をつき続けるのだが……。

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)の3つの見どころ

グイドとドーラ、ジョズエ© MIRAMAX

見どころ①:物語に感動

物語の前半は、グイドが恋するドーラと結ばれるまでが、コメディ調で描かれます。

しかし後半、グイドたち家族に襲い掛かるのはホロコーストという歴史的な悲劇。

違う映画を観ているのではないかと思ってしまいそうな、雰囲気が激変する物語に注目です。

見どころ②:心に残る名言

どんな状況も、持ち前のユーモアと想像力で乗り切る主人公、グイド。

グイドのセリフには、多くの場合、表面での意味以上のものが隠されています。

物語全編にこれでもかと散りばめられた、伏線となるセリフをお聞き逃しのないように!

見どころ③:当時の時代背景を描いている

本作の冒頭の舞台は、第二次世界大戦の直前である1939年。

一見コメディ調である前半部分にも、ユダヤ人迫害の予兆を示すシーンが、実はたくさんあります。

コメディアンでもあるロベルト・ベニーニの、風刺の効いた時代背景の描き方も見どころのひとつです。

【ネタバレあり】『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)の解説と考察

ジョズエを守るグイド© MIRAMAX

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)は実話?

本作の脚本は監督・主演を務めるロベルト・ベニーニの手によるオリジナルであり、グイド一家の物語自体はフィクションです

しかし戦争を知らない世代にとって、信じがたいほどに陰惨なナチスによるユダヤ人大虐殺は、まぎれもない史実

ベニーニはユダヤ系ではありませんが、彼の父親は、アンネ・フランクが命を落としたことで知られているベルゲン・ベルゼン強制収容所に2年間収容されていました。

ベニーニが父親から聞かされた思い出話が、本作の原型となっているのかも知れません。

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)の名言・名セリフ

「ショーペンハウアーは、意志の力があればなんでもできると言っている」

グイドの友人であるフェルッチョが言った言葉。

最初はグイドの「なぜすぐに眠れる?」という問いに対して、「眠ろうと思えば眠れる」とフェルッチョが返答する他愛のない会話の中で使われます。

この後、オペラ座にてオペラを鑑賞中のドーラを、自分の方に振り向かせた時や、収容所でジョズエのピンチを切り抜ける時に使われるなど、印象的なシーンで登場

また、ジョズエが「シャワーは嫌だ!シャワーは嫌だ!」と、繰り返し意志を主張するように駄々をこねることから、ショーペンハウアーの教えは、グイド一家の家訓となっていることが想像できます。

「ボンジョルノ、お姫さま!」

物語の前半では、グイドが恋する相手であるドーラへの挨拶として、たびたび使われます。

物語の後半では、収容所内でドーラと離れ離れになってしまったグイドが、兵士の隙をついて、施設内放送で自分たちが無事でいることをドーラに報せる場面で登場。

常にドーラのことを愛しているグイドの気持ちが伝わる名台詞です。

「これが僕の物語だ。父は自分を僕に捧げてくれた」

物語のラスト、成長したジョズエによるナレーションです。

収容所にいた時のジョズエは、グイドの命賭けの嘘のおかげで、自分がゲームに参加しているのだということを信じ、ナチスの恐怖を感じずに済みました。

どんなに絶望的な状況であっても、ゲームのように楽しむことを父から教わったジョズエが、どのような人間に育ったかは映画の中で描かれていません。

しかし、きっとグイドのように、ユーモアと想像力を駆使して美しい人生を過ごしたことでしょう。

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)のラストシーンについて

「ゲームで1,000点を取ったら本物の戦車がもらえるんだよ」

と、収容所でグイドはジョズエに嘘をつきます。

しかし戦争が終結し、生き残ったジョズエの前には、アメリカ軍の本物の戦車が。

父の言った言葉は本当だったと喜ぶジョズエでしたが、そのそばにグイドの姿はありませんでした。

収容所が解放される直前、虐殺の証拠隠滅を図ったナチスにより、グイドは銃殺されてしまったのです。

グイドは最後まで、息子であるジョズエには、自分の弱い姿を見せようとはしませんでした。

ドーラと再会したジョズエが、

「勝った、勝った」

と無邪気に喜ぶ感動的なシーンで物語は幕を閉じます。

しかしグイドが殺されてしまうラストには、否定的な意見も多く見受けられます

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)はつまらない? 評価は?

ジョズエが見た最後のグイドの姿© MIRAMAX

本作はアカデミー賞をはじめとして、様々な方面で非常に高い評価を受けている作品ですが、その一方で否定的な意見も少なくありません

肯定的な意見と否定的な意見の、両方を紹介します。

肯定的な評価

肯定的な評価はやはり、ジョズエを守るべく、命を賭けて嘘をつき続ける姿に感動した、という意見が大部分を占めています。

「意志さえあれば人生はいつでも美しいものだ」と観客に対して訴えかけるベニーニの強烈なメッセージがあるからこそ、本作が高く評価されているのでしょう。

剽軽ながらも確固たる意志で息子を守り続けたグイドの姿は、映画界におけるベストファーザー賞の最有力候補と言っても過言ではありません。

否定的な評価

否定的な評価は、グイドの行動を身勝手だと指摘するものが多いようです。

確かにグイドは、自分が恋したドーラを、婚約者がいたにも関わらず、略奪婚とも言える方法で妻にしてしまいました。

収容所でも、監督官が述べる重要な規則を、ゲームのルールとして皆に説明するなどしています(このために誰かが命を落とした可能性も捨てきれません)。

グイドがなりふり構わず自分の息子や妻を守ろうとすることに対して、嫌悪感を感じる、という意見も。

しかし、これらのシーンで、収容所のユダヤ人たちは嫌な顔ひとつしていないということには、留意しておくべきでしょう。

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)のまとめ

1000点のご褒美© MIRAMAX

本作を肯定的にとらえるか、否定的にとらえるかは、主人公グイドの生き様に共感できるかどうか、にあるといえます。

ときに身勝手にも見えるグイドの行動原理は、自分と、自分の大切な存在が幸福になるために、というシンプルなものです。

客観的に見てみると、グイド個人の人生は、幸福だった家族との生活をナチスに奪われる、という決して「美しい人生」とは呼べないものだったかも知れません。

しかしジョズエやドーラ、収容所のユダヤ人たちにとって、希望を諦めずに生きたグイドの人生は、眩しいほどに「美しい人生」そのものだったのではないでしょうか。

戦争の悲惨さ、人生の素晴らしさを見事に描き切った『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)は、後年に残すべき名作中の名作です。

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