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タランティーノ監督とブラピがタッグ、映画『イングロリアス・バスターズ』(2009)【感想、あらすじ、ネタバレあり】
https://www.imdb.com/title/tt0361748/mediaviewer/rm3163035648

クエンティン・タランティーノ監督が挑んだ初の歴史を題材にした映画『イングロリアス・バスターズ』(2009)。

本作まで数々の話題作を世に放ってききたタランティーノ監督ですが戦争を題材に扱ったのは『イングロリアス・バスターズ』が初です。

『パルプ・フィクション』や『レザボアドッグス』で社会現象を巻き起こしたタランティーノ監督ですが、その独特の作風は本作でも遺憾なく発揮されています。

これまで制作されてきたナチスを描いたシリアス作品とは一線を画す、タランティーノ節全開の超異色作品が『イングロリアス・バスターズ』(2009)です。

そんな傑作『イングロリアス・バスターズ』(2009)について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!

『イングロリアス・バスターズ』(2009)の作品情報とキャスト


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作品情報

原題:Inglourious Basterds
製作年:2009年
製作国:アメリカ
上映時間:153分
ジャンル:戦争、歴史、史実

監督とキャスト

監督:クエンティン・タランティーノ
代表作:『レザボア・ドッグス』(1992)『パルプ・フィクション』(1994)

出演:ブラッド・ピット/吹替:山寺宏一ほか(アルド・レイン中尉)
代表作:『オーシャンズ11』(2001)、『Mr.&Mrs. スミス』(2005)

出演:クリストフ・ヴァルツ/吹替:山路和弘ほか(ハンス・ランダ親衛隊大佐)
代表作:『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)、『ビッグ・アイズ』(2014)

『イングロリアス・バスターズ』(2009)のあらすじ

©︎Universal Studios

ナチス占領下のフランス。家族をナチスの"ユダヤ・ハンター"ランダ大佐に殺された少女ショシャナは、何とか逃げ延びて若い映画館主となって、ナチスへの復讐を誓って生きている。

時同じくして、アルド・レイン中尉率いるユダヤ系アメリカ人兵士の特殊部隊"バスターズ"が、ナチス暗殺の極秘ミッションに参加。協力するドイツ人スパイの女性ブリジットに接触を図る。

そんな彼らにまたとない情報が舞い込む。新作映画のプレミアで、ヒトラーをはじめとするナチス高官たちがショシャナの映画館に集結するというのだ。

ショシャナとバスターズは、それぞれ彼らを一網打尽にする壮大な計画を画策。

しかし、彼らの壮大な計画と不穏な動きを誰よりも早く察知したのが"ハンター・キラー"のランダ大佐。

壮大な計画・ナチスへの復讐、私欲・名誉...。果たして勝利するのは誰なのか!?それぞれの思惑が絡む運命のプレミアが幕を開けた...。

『イングロリアス・バスターズ』(2009)の見どころ

©︎Universal studios

見どころ①:監督の映画愛

クエンティン・タランティーノ監督の作風といえば、膨大な量の映画からの引用自身の作品にこれでもかと盛り込むスタイルが挙げられます。

そのタランティーノ監督の独特なスタイルは本作の『イングロリアス・バスターズ』(2009)でも随所に見られます。

オープンニングシーンのランダ大佐がユダヤ人のラパディットに詰問するシーンは『続・夕陽のガンマン』を思い起こさせます。

男と男がほとんど言葉を交わさず向かい合ってただ見つめ合う。異様な緊張感が走ります。『続・夕陽のガンマン』でみられたリーヴァン・クリーフが相手を眼光だけで威嚇するシーンと同じ緊張感です。

しばらく見つめあった後にランダ大佐は堰を切ったように喋り出します。
このシーンのつくりはイタリア製西部劇のマカロニウェスタンで多くみられる定型であると思います。

イタリア人作曲家でアカデミー賞受賞者のエンニオ・モリコーネの楽曲も相まって懐かしいマカロニウェスタンの雰囲気を感じられます。

このシーンだけを切り取ってもあらゆる映画からの引用が散りばめられており、監督の各映画偏執的な愛と映画への膨大な知識量を確認できます。

本作のクライマックスでは監督の映画愛が爆発します。比喩やたとえでもなく映画をもって憎きナチスを物理的に倒してしますのです。

ヒトラー率いるナチスはプロパガンダ担当のゲッベルズを中心に映画を国民を洗脳するために量産していました。映画で国威発揚し、ゲルマン民族は優れた民族で、ユダヤ人は下等だと喧伝していたのです。

映画を心底愛するタランティーノ監督はこのことに憤っており、映画で文字通りナチスを倒そうと決めたのだとおもいます。

『イングロリアス・バスターズ』(2009)で映画による新たなカタルシスのカタチを発明したようにもおもいます。

見どころ②:多言語が飛び交う

『イングロリアス・バスターズ』(2009)は第二次大戦中のヨーロッパを舞台にしているのでさまざな言語が劇中を飛び交います。イタリア人はイタリア語を話すし、フランス人はフランス語を話すし、ドイツ人はドイツ語を話し、アメリカ人は英語を話します。

現実の世界では誰もが母国語を流暢に話しますが、映画の世界では違います。殊更にハリウッドでは顕著なのですが、登場人物が全て英語で会話しているということが多いのです。

これはある種の映画の文法でドイツ人同士が英語で会話をしていても、ドイツ語で本当は話しているという暗黙の了解が映画の世界にはあります。

これはそもそも俳優が英語以外の言語を喋れなかったり、映画の観客が字幕を追うのが面倒だという理由で使用される消極的な映画の文法。

有名どころの映画ではクリント・イーストウッド主演の『戦略大作戦』やトム・クルーズ主演の『ワルキューレ』などでもドイツ人やフランス人は英語で喋っています。さまざまな映画でこの文法は散見されます。

『イングロリアス・バスターズ』(2009)ではこのような映画文法は一切使われていません。なにしろ、物語序盤でこの文法を揶揄する会話があるのです。

ランダ大佐がユダヤ人のラパディットがフランス語で会話のなかで、ランダ大佐が英語で会話しようと丁寧に提案するのです。

普通の映画作品であればこのような描写をすることはまずないのですが、タランティーノ監督は皮肉を込めてこのシーンを作中に放り込んでいます。このシーンは単に映画的文法を揶揄しただけではなく、クライマックスのシーンにも効果的に使われています。

そもそも言語をうまく使えるかどうかは戦争の作戦に置いてとても重要なウェイトを占めますので、言語に関してリアリティを持たしたことによって、とても緊張感のある映画になりました。

言語のあやをとりで身分を明かしていく描写などはこれまでの映画ではそうそうお目にかかれません。『イングロリアス・バスターズ』(2009)では飛び交う多国語による応酬が醍醐味といっても過言ではありません。

見どころ③:大胆な改変

ナチスドイツの終焉は歴史的な事実で変えようがあるません。ナチスドイツはアメリカを中心とする連合軍に降伏し、ヒトラーは裁判にかけられることもなく自殺する。

連合軍は直接にヒトラーに手を下すことはできなかったのです。過去に第二次対戦を描いた映画でも、映画的な脚色はあっても、ナチスの終焉自体を改変した映画はありませんでした。

終焉までの過程をいじった映画は複数存在するのですが、ナチス終焉を変更したのは『イングロリアス・バスターズ』(2009)が初めての映画でしょう。

トム・クルーズでさえ成し得なかった快挙をこの『イングロリアス・バスターズ』(2009)では成し得たのです。

出演者の映画監督でもあるイーライ・ロスはユダヤ系アメリカ人であり、幼い頃から600万人ものユダヤ人がナチスドイツによって虐殺されたホロコーストについて聞かされて育ちました。イーライは、ユダヤ系であれば誰もが親戚を一人はナチスドイツに殺されていると語ります。

『イングロリアス・バスターズ』(2009)のクライマックスではヒトラーに対してユダヤ人の悲願を達成するのですが、イーライはこのシーンについて。胸のすく思いがしたと語っています。
全ユダヤ人の大望を実現させた本作は映画時に残る歴史改変を敢行しました。

『イングロリアス・バスターズ』(2009)の感想

©︎iMDB

本作『イングロリアス・バスターズ』(2009)でもタランティーノがタランティーノしています。『レザボアドッグス』や『パルプ・フィクション』で見せた会話劇の妙は本作でも遺憾なく発揮されています。

しかも本作は多言語が飛び交う複雑な会話になっていますので、タランティーノ好きにはたまらないシーンの連続になっていると感じました。

会話が多すぎてタランティーノ映画が苦手という方でも本作は、落ち着いてはいるが過激なアクションシーンが各所に散りばめられているので飽きることなく鑑賞できるのではないかと感じました。

本作で圧巻なのは俳優陣の演技です。特に素晴らしいのがクリストフ・ヴァルツの演技。本作出演まではハリウッドではほぼ無名だったのですが、『イングロリアス・バスターズ』(2009)をきっかけにハリウッドでは引っ張りだこの俳優になりました。

本作でアカデミー助演男優賞も受賞しました。ヴァルツは母国語であるドイツ語はもちろん英語、フランス語、イタリア語などさまざな言語を高いレベルで話せるマルチリンガルなのです。

それに芝居もアカデミーのお墨付き。ヴァルツの演技だけでも十分見ごたえがある作品だと思います。

『イングロリアス・バスターズ』(2009)の主題

©︎iMDB

『イングロリアス・バスターズ』(2009)の主題は憎きナチスへの復讐。

これまでの映画ではみられなかったコロンブスの卵的な発想でナチスを打倒し、ユダヤ人を喚起させました。映画というメディアを使ったタランティーノなりの復讐であると思います。

映画というメディアに対しての言及も本作の主題であると思います。ナチスドイツは映画を政治的な道具として利用しましたが、『イングロリアス・バスターズ』(2009)はナチスドイツが行なった映画の政治利用についてのアンチテーゼであると思います。

映画は楽しくなければならない、洗脳装置ではないのだと主張しているように感じました。そして憎きナチスを物理的に映画で倒したのです。

おわりに

https://www.imdb.com/title/tt0361748/mediaindex?page=1&ref_=ttmi_mi_sm

『イングロリアス・バスターズ』(2009)はタランティーノ監督の映画愛の爆発した作品となっています。好き嫌いのはっきりと別れる監督ですが、本作は割と見る人を選ばず、多くの人が楽しめる作品となっています。

一見すると軽薄な印象を抱く本作ですが、扱っているテーマはとても重厚。豪華な役者陣や華美な美術など見どころがたくさんある映画で、繰り返し見るたびに新たな発見がある映画です。

「なんども繰り返しみたくなる」そんな魅力が『イングロリアス・バスターズ』(2009)にはあります。

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