
数多いマーベル・コミックのヒーローの中でも、特異なキャラクターと能力で絶大な人気を誇るデッドプール。
本作は『X-MEN』(2000)を第1作とする映画シリーズのスピンオフ作品として製作され、アメリカのオープニング興行収入では、20世紀フォックス社の史上最高額を叩き出し、高い評価を得ました。
日本でも大ヒットを記録した『デッドプール』(2016)の魅力をX-MENのキャラクターとの関わりなども含めて、ネタバレありで解説していきます。
『デッドプール』(2016)作品情報とキャスト
作品情報
原題:Deadpool
製作年:2016年
年製作国:アメリカ
上映時間:108分
ジャンル: SF、アクション
監督とキャスト
監督:ティム・ミラー
代表作:『Gopher Broke(原題)』(2004)
出演者:ライアン・レイノルズ/吹替:加瀬康之(ウェイド・ウィルソン/ デッドプール)
代表作:『ブレイド3』(2004) 『グリーン・ランタン』(2011)
出演者:モリーナ・バッカリン/吹替:林真里花(ヴァネッサ)
代表作:『SPY/スパイ』(2015)『GOTHAM』(2015)
出演者:エド・スクライン/吹替:浜田賢二(フランシス・フリーマン / エイジャックス)
代表作:『ゲーム・オブ・スローンズ』(2013)『アリータ: バトル・エンジェル』(2019)
『デッドプール』(2016)のあらすじ

”俺ちゃん"ことデッドプール© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation
元特殊部隊隊員の傭兵、ウェイド・ウィルソンは、恋人であるヴァネッサと幸福に暮らしていたが、末期ガンを宣告される。
治療と称した人体実験の結果、ウェイドは不死身とも言える治癒能力を手に入れる。
しかし、外見はガン細胞の暴走により、ふためと見られぬほど恐ろしいものとなってしまう。
お手製のスーツを身にまとい、「デッドプール」と名乗ることにしたウェイドは、自分を騙した科学者フランシスへの復讐を開始する!
『デッドプール』(2016)の3つの見どころ

コロッサスとデッドプール© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation
見どころ①:X-MENとの関わり
マーベルの人気ヒーローチーム、X-MENとの関わりが深いデッドプール。
X-MENのメンバーであるコロッサスが登場するほか、大人気キャラクターであるウルヴァリンとの意外な関わりも。
また、そのルーツは偉大なあるヒーローにも関係しています。
見どころ②:シリーズ初のR指定
シリーズ初のR指定作品として製作された『デッドプール』(2016)。
スーパーヒーロームービーの常識を覆す、デッドプールの数々の活躍に注目です!
15歳以下は決して観てはいけません!
見どころ③:デッドプールの能力
ウルヴァリン同様、驚異的な治癒能力を持つデッドプール。
実はもうひとつ、とんでもない能力を持っています。
デッドプールの前代未聞の能力とは!?
【ネタバレあり】『デッドプール』(2016)の感想と魅力

恐ろしい外見となったウェイド© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation
デッドプールの由来について説明
フランシスに復讐することを決意したウェイドは、親友であるウィーゼルとともに、自分のヒーローネームを考えます。
その結果、「デッドプール」を名乗ることになるのですが、名前にはどんな意味があるのでしょうか。
劇中では、ウィーゼルが経営する酒場で「次に誰が死ぬか」に金を賭けるギャンブルが行われており、この遊びが「デッドプール」と呼ばれていました。
また、クリント・イーストウッド主演の映画『ダーティー・ハリー5』(1988)の原題は『the Dead Pool』であり、本作同様に、死のギャンブルが由来となっています。
とは言え、デッドプールは実験の後遺症で、精神を病んでいるという設定があるため、デッドプールという名前を選んだことにしても、カッコ良さや響きの良さ以上の意味合いはないでしょう。
『デッドプール』(2016)にはX-MENが登場する
本作は、『X−MEN』(2000)を第1作とするシリーズのスピンオフ作品として製作されました。
劇中では、X-MENのメンバーである鋼鉄の男コロッサス、そして若きミュータント、ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドが登場。
デッドプールのヒーローとしての素質を信じて疑わないコロッサスは、何度も彼をX-MENに加わるように説得しますが、徒労に終わります。
また、デッドプールの治癒能力は、大人気X-MENキャラクターであるウルヴァリンと同じものであり、ルーツはどちらも「ウェポンX計画」にあります(ちなみにXは10番目という意味であり、1番目はキャプテン・アメリカを指します)。
このようにX-MENキャラクターと関わりが深い『デッドプール』(2016)ですが、映画としては単体で楽しむことができるので、X-MENシリーズの入門編として、本作を観てみるのも良いかも知れません。
決して子どもと観てはいけない作品である理由
『デッドプール』(2016)は、ヒーロー映画であるX-MENシリーズ初のR指定作品となっています。
それだけに、下品な下ネタは連発するわ、首や腕がポンポン飛ぶわのグロいシーンが満載で、子どもと一緒に観られるような内容ではありません。
しかし、R指定にしたからこそ、デッドプールが持つ魅力を、最大限にスクリーン上で表現することが可能になったわけで、製作サイドのこの判断は賢明だったと言えるでしょう。
実際に、本作はX-MENシリーズでもトップの興行成績を叩き出す結果となりました。
デッドプールの第四の壁を破る能力とは?
デッドプールの持つ最大の特徴が、「第四の壁を破る」という能力を有していることです。
つまりデッドプールは、自分をコミック、またはスクリーンの中の虚構のキャラクターであることを自覚しており、「プロフェッサーXってスチュアートの方?マカヴォイの方?」といった、いわゆるメタ発言を頻繁にするのは、この能力に由来しています。
第四の壁を破ることができるおかげで、デッドプールは文字通りなんでもアリな活躍が可能となっており、ほかのヒーローとはひと味違った魅力を作り出すことに成功していると言えるでしょう。
デッドプールを語る上で欠かせないトリビア

再びウェイドを演じたライアン・レイノルズ© 2015 Albert L. Ortega
原作コミックにおけるデッドプールは、1991年初登場と、他のマーベルヒーローに比べて浅い歴史となっています。
しかし、第四の壁を破るという特異な能力を持っているため、「これを知っていればより楽しめる」というトリビアが盛りだくさん。
ほんの一部ではありますが、紹介していきます。
デッドプールは以前にも登場していた!
デッドプールが実写化されたのは、実は本作が初めてではありません。
同じX-MENシリーズである『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(2009)では、ウェポンX計画の被験者ウェイド・ウィルソン=デッドプールとして、本作に先駆けて登場しています(演じる俳優も、同じライアン・レイノルズ)。
しかしこちらのデッドプールは、本作のように原作のキャラクターをなぞらえたものではなく、ただ名前を借りて来た形であったため、原作ファンからは酷評されてしまいました。
ということは、同じシリーズなのに同じキャラクターが別々に存在するのでしょうか?
解釈のひとつとして、『X-MEN フューチャー&パスト』(2014)で行われた過去の改変により、別の時間軸が生まれた、とすることが可能です。
デッドプールとスパイダーマンの意外な関係
デッドプールのデザインを見て、どこかで見たことがある、と、感じた人は多いのではないでしょうか。
そう、デッドプールは、スパイダーマンに似ているのです。
それもそのはずで、もともと単発の悪役キャラクターであったデッドプールのデザインは、スパイダーマンを下敷きにして考案されたものでした。
戦闘スタイルも、どちらも軽口を言いながら戦うというものが特徴です。
しかし、スパイダーマンは戦術としてジョークを言うのに対して、デッドプールは錯乱した精神状態を、ただ紛らわせるためだけに喋り続ける、という違いがあります。
似てはいるけれども、性格的には真逆のふたりですが、最近は意外と仲がいいようで、ふたりの活躍を描いたコミックスも何冊か日本で出版されており、日本語で読むことが可能です。
エンドクレジット後の映像について説明
最近では当たり前のようにあるエンドクレジット後のオマケ映像は、もちろん本作にもあります。
しかしそれがなかなか人を喰った内容で、第一声は「まだいたの?」。
第四の壁を破る能力を持ったデッドプールならではの、心憎い演出となっています。
そしてデッドプールは「続編の秘密」として、ケーブルの登場を予告しますが、このケーブルは、原作ではしばしばデッドプールとコンビを組む、超強力なミュータントキャラクターです。
続編である『デッドプール2』(2018)では予告どおりケーブルが登場しますが、演じた俳優はジョシュ・ブローリン。
マーベル・シネマティック・ユニバースで、最強最悪のヴィランであるサノスを演じた俳優です。
『デッドプール』(2016)のまとめ

決戦に臨むデッドプールたち©2015 Twentieth Century Fox Film Corporation
R指定ながら、世界中で幅広い年代に愛されるキャラクターを生み出すことになり、大成功を収めた『デッドプール』(2016)。
暗めな展開が多い本家X-MENシリーズに比べて、難しいことを何も考えずに楽しむことができる本作は、スーパーヒーロームービーの新たな地平を切り開いた傑作映画だと言えるでしょう。
第四の壁を破ることができるという特殊能力を持つデッドプールが、今後どのようにマーベル映画に絡んでいくのか、目が離せません。
デッドプールと共闘したX-MENが気になる方は、こちらで詳しく説明しています!
https://minority-hero.com/cinema_recommend/X-MEN+Series/3407/
本作の他にもアクション映画のおすすめ作品を紹介しているので、気になった方は合わせてチェックしてみてください。
https://minority-hero.com/cinema_recommend/action/1740/
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【2020年版】タイプ別ヒーロー映画のおすすめランキング29選を紹介!
続編である『デッドプール2』(2018)の感想・考察はこちら。