
現代ファンタジーの源流と言われるJ・R・R・トールキンの『指輪物語』を映画化した『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』(2001)は、アカデミー賞を始めとする数々の栄誉ある賞を受賞し、高い評価を得ました。
『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)は、続編として製作され、3部作の2作目となっています。
中つ国の世界観をさらに広げることに成功した本作の魅力と感想を、ネタバレありで語っていきます。
『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)の作品情報とキャスト
作品情報
原題:The Lord of the Rings:The Two Towers
製作年:2002年
年製作国:アメリカ・ニュージーランド
上映時間:179分(劇場版)/223分(エクステンデッド版)
ジャンル: ファンタジー、アドベンチャー
監督とキャスト
監督:ピーター・ジャクソン
代表作:『さまよう魂たち』(1996) 『キング・コング』(2005)
出演者:イライジャ・ウッド/吹替:浪川大輔(フロド・バギンズ)
代表作:『フォーエヴァー・ヤング 時を越えた告白』(1992)『シン・シティ』(2005)
出演者:イアン・マッケラン/吹替:有川博(ガンダルフ)
代表作:『X-メン』(2000) 『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)
『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)のあらすじ

哀れなゴラム© 2002 New Line Productions
指輪を捨てるための旅の仲間は離散してしまった。
フロドとサムは旅を続け、指輪の以前の持ち主であるゴラムと出会う。
ゴラムを信用することにしたフロドは、指輪を捨てる使命を引き続き果たすため、モルドールへの道案内役を任せる。
ピピン、メリーはアイゼンガルドのオルサンクの塔に君臨する魔法使い、サルマンの軍団に連れ去られてしまう。
一方、ホビットたちを探すアラゴルン、レゴラス、ギムリは、騎士の国ローハンを追放された軍団長、エオメルと遭遇する。
離散した旅の仲間たちがそれぞれの使命を果たそうと奮闘する中、サルマンの軍勢がローハンに迫り、中つ国の戦乱は激化していくのだった……。
【ネタバレあり】『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)の感想と考察

再び姿を現した白のガンダルフ© 2002 New Line Productions
それでは、感想と考察を語っていきます。
二つの塔とは?新たに登場した勢力を解説!
『ロード・オブ・ザ・リング /二つの塔』(2002)では、新たなるキャラクターや勢力が続々と登場し、指輪の行く末を巡る指輪戦争を彩ります。
サブタイトルにもなっている二つの塔とは、原作ではサルマンの本拠地であるオルサンクと、モルドールの入り口とも言えるミナス・モルグルのこと。
しかし映画版では、ミナス・モルグルがまだ登場しないため、代わりにモルドールのサウロンの居城であるバラド=ドゥーアを指す、とされました。
第1部でもすでに登場しているサルマンは、本作では本来の中つ国の調停役である魔法使いとしての役目を忘れ、ローハンへの侵略を開始します。
サルマンは表向きはサウロンに従っていますが、隙あらば指輪を手に入れようという野心を抱いています。
かつては白のサルマンと名乗っていましたが、野心を抱いてからは、己の力を誇示するかのように、多彩なるサルマンを名乗りました(ちなみに灰色のガンダルフは、本作では白のガンダルフに格上げとなります)。
サルマン、サウロン、ローハン、ゴンドール、エルフ、エントといったさまざまな勢力の思惑が入り乱れ、いよいよ本格的に指輪戦争が始まるのです。
魅力的な新キャラクターが続々登場!
ファラミア
『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』(2001)のラストで悲劇的な死を遂げたボロミアの弟であるファラミアは、ローハンの同盟国ゴンドールの大将として登場します。
ゴンドール執政、デネソールは、長男のボロミアを溺愛していましたが、対照的に次男のファラミアにはつらく当たっていました。
デネソールとファラミアの親子関係の移り変わりも、シリーズの大きな見所のひとつです。
木の鬚
本作で初登場となるエントという種族は、アイゼンガルドの戦いにおける重要な役どころを担いました。
サルマンの軍団の手から逃げ出すことに成功したメリーとピピンは、ファンゴルンの森の最長老、木の鬚と出会い、友人となります。
映画でもコミカルに描かれている木の鬚の喋り方は、トールキンの友人であったC・S・ルイスがモデルになっていると言われていますが、この人物は『指輪物語』と並ぶファンタジー文学の傑作『ナルニア国ものがたり』の著者です。
セオデン
ローハンの国王であるセオデンは、本作の序盤では相談役、蛇の舌グリマにより、正常な思考力をなくしてしまっています。
衰弱した状態のセオデンは、見るも無残な老人の姿をしていましたが、白のガンダルフの助力で本来のたくましい王としての姿を取り戻しました。
のちのローハンの伝承では、セオデンは「更生せるセオデン」を意味するセオデン・エドニューとして知られることになります。
【ネタバレあり】『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)のキーパーソン?エオメルとは?

エオメルとエオウィン© 2002 New Line Productions
『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)から登場する新キャラクターの中でも、高い人気を誇るエオメル。
騎士の国ローハンの軍団長であるエオメルは、本作で激化していく指輪戦争におけるキーパーソンです。
エオメルの人物や来歴を解説していきます。
無傷で激闘を戦い抜く!
エオメルはローハン王セオデンの甥にあたり、勇猛さと聡明さを兼ね揃えた非常に有能な人物でしたが、蛇の舌グリマと対立したことにより、ローハンを追放されてしまいます。
騎馬隊とともに放浪しているうち、ホビットたちの行方を探すアラゴルン一行と出会い、馬を与えたりと協力しました。
本作のクライマックスであるヘルム峡谷の戦いでは、ガンダルフとともにローハンの援軍として登場し、劣勢だったローハンを勝利に導きます。
他にも指輪戦争では角笛城の戦い、ペレンノール野の戦い、そしてモルドールの黒門前の戦いにおいて大活躍しながらも、無傷で戦いを切り抜けるなど勇猛さを示しました。
戦争終結後は叔父であるセオデンのあとを継ぎ、ローハン王となり65年ものあいだ、善政をしいたことで後世の人々からは「祝福されたエオメル」を意味するエオメル・エアディグと呼ばれるようになりました。
妹は盾持つ乙女、エオウィン
エオメルにはエオウィンという妹がいます。
エオウィンはエルフにも匹敵するという美しさを持つ女性で、アラゴルンに強く惹かれましたが、すでにアルウェンという恋人がいたアラゴルンとは結ばれることはありませんでした。
指輪戦争の終盤で、指輪の幽鬼のボスであるアングマールの魔王を、メリーとともに倒すという大手柄をたて、「ローハンの盾持つ乙女」と呼ばれることになります。
戦争終結後はファラミアと結婚し、幸福な人生を過ごしました。
【ネタバレあり】『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)の評価は?

エント族の最長老、木の鬚© 2002 New Line Productions
前作である『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』(2001)は、実現不可能と思われていた『指輪物語』を忠実に映画化し、非常に高い評価を得ました。
3部作の2作目である『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)の評価を解説します。
3部作中最高の評価!?
前作に続き、本作もアカデミー賞で2部門を受賞し、興行収入でも9億ドル以上に達するなど、高い評価を得ることに成功しました。
どちらかというと静かに物語が語られていった前作と比べて、序盤から大規模な闇の勢力との戦いが描かれ、魅力的な登場人物が多数登場したことが、高い評価につながったと言えるでしょう。
批評家たちの支持率では、3部作中でも最高となっており、実際、観客の評価でも本作を最高傑作とする意見も少なくないようです。
【ネタバレあり】『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズについて解説!

野望を抱くサルマンとグリマ© 2002 New Line Productions
『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)は、3部作の2作目にあたります。
1作目である『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』(2001)では指輪の由来と、モルドールの冥王サウロンの脅威と野望が語られ、中つ国の平和を守るために指輪を破壊する使命を与えられた、9名から成る旅の仲間が結成されました。
しかし旅の仲間には、リーダーであった魔法使いガンダルフが生死不明となるなど、多くの苦難が待ち受けていました。
旅のなかば、指輪の魔力により変心したゴンドールの騎士ボロミアの行動がきっかけで、一行は離散することになってしまいます。
そして2作目となる本作では、離散した旅の仲間たちのその後がそれぞれに描かれ、サルマンの軍団がローハンに迫る、緊迫した中つ国の状況が語られていきます。
サウロンのバラド=ドゥーア、そしてサルマンのオルサンクといった、邪悪な野望を持って中つ国に蠢く二つの塔。
また、さまざまな種族や新キャラクターが続々と登場し、中つ国の世界観により深みが与えられました。
指輪戦争は本作で本格的に始まり、続く第3部である『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003)で、壮大な物語に終止符が打たれることになります。
『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)のまとめ

旅を続けるフロド、サム、そしてゴラム© 2002 New Line Productions
前作『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』(2001)からわずか1年という短期間で公開され、前作以上の高い評価を得た『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)。
本作は3部作中でももっとも多くの戦闘シーンが描かれ、迫力もトップクラスです。
前作同様、本作にも約50分もの追加シーンを収録したスペシャル・エクステンデッド版が存在するので、3部作最終章となる『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003)に備え、鑑賞しておくことをオススメします。
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