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映画『グレイテスト・ショーマン』(2017)の感想と評価!実話との違いは?【ネタバレあり】

実在した興行家であるP・T・バーナムの成功を描いたミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』 。

ヒュー・ジャックマンやザック・エフロンら豪華キャストの出演や、サウンドトラックも話題を集め、日本でも知名度の高い作品となりました。

しかし、アメリカの映画批評サイトRotten Tomatoesでは、10点中6点と奮わなかった本作。

そんな『グレイテスト・ショーマン』の感想をあらすじとネタバレを交えて紹介していきます。

『グレイテスト・ショーマン』(2017)作品情報


グレイテスト・ショーマン (吹替版)

作品情報

原題:The Greatest Showman
製作年:2017
製作国:アメリカ
上映時間:105分
ジャンル:ドラマ、ミュージカル

キャスト

監督:マイケル・グレイシー
代表作:『グレイテスト・ショーマン』

出演者:ヒュー・ジャックマン/吹替:山路和弘(P・T・バーナム) 
代表作:『X-MEN』シリーズ『レ・ミゼラブル』

出演者:ザック・エフロン/吹替:木村昴(フィリップ・カーライル)
代表作:『ハイスクール・ミュージカル』『ニューイヤーズ・イブ』

出演者:ミシェル・ウィリアムズ/吹替:中村千絵(チャリティ・バーナム)
代表作:『ヴェノム』『オズ はじまりの戦い』

『グレイテスト・ショーマン』(2017)のあらすじ

P・T・バーナムと団員たち: © Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

P・T・バーナムは子供のころから恋焦がれていた恋人であるチャリティと結婚し、2人の娘に恵まれる。

しかし、彼の生活は順風満帆とは行かず、勤めていた会社を解雇されてしまう。

生活苦から抜け出すべく、バーナムは銀行から融資を受け、「バーナム博物館」をオープンさせるが、店は繁盛しなかった。

そこでバーナムは展示ではなく、ショービジネスを展開していく。

小人症の男、大男、髭が生えた女、全身刺青の男、毛むくじゃらの男、超肥満の男などユニークな個性をもった人たちを集めてフリーク・ショー(見世物小屋)を企画する!

『グレイテスト・ショーマン』(2017)の3つ見どころ

P・T・バーナムとチャリティー・バーナム: © Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

見どころ①:心躍る音楽

ミュージカル映画なので音楽が入ってくるのですが、冒頭から圧巻の歌唱力と気持ち揺さぶる音楽で映画の世界に引き込まれます。

見どころ②:圧巻のパフォーマンス

本作の楽曲が見どころであることは前述した通りですが、P・T・バーナムの団員達やキャストが魅せるパフォーマンスはどれも完成度が高く、驚かされました

見どころ③:共感できるストーリー

本作のストーリーは、家族や、といった誰もが大切にしているものを中心に描くことで共感できるストーリーになっていたことが印象的でした。

そんな本作のストーリーについて実話との比較も行なっていきます。

【ネタバレあり】『グレイテスト・ショーマン』(2017)の感想

フィリップ・カーライルとP・T・バーナム: © Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ミュージカル映画の新たな定番作品となった『グレイテスト・ショーマン』。

本作はアメリカで1億7千万ドルを超え、日本でも50億円以上の興行収入を収めたことからも成功した作品であることは明らか。

そんな本作は、楽曲もダンスもストーリーも観ている人、全員が一緒になって楽しむことができる作品になっていることが印象的でした。

なかでも楽曲とストーリーを中心に本作の感想を書いていきます。

『グレイテスト・ショーマン』の楽曲について

まずは楽曲について触れていきます。

本作に登場する楽曲は、観ている人が一緒に手を叩き、踊り出したくなるような楽曲が盛りだくさん。

なかでも皆が一緒になれる楽曲といえば、ヒュー・ジャックマン、キアラ・セトル、ザック・エフロン、ゼンデイヤ等のキャストが勢揃いで歌い上げる「The Greatest Show/ザ・グレイテスト・ショー」。

さらに、本作を語る上で、外すことのできない名曲が、主題歌にもなっている「This Is Me/ディス・イズ・ミー」。

本楽曲を歌うレティ・ルッツを演じたキアラ・セトルの圧倒的な歌唱力には胸を打たれます。

本楽曲は、第75回ゴールデングローブ賞主題歌賞を受賞し、第90回アカデミー賞主題歌賞にノミネートされるなど高い評価を受けた楽曲です。

このような音楽がふんだんに盛り込まれる本作は、音楽を聴いているだけで楽しむことができる映画になっています。

映画内に使われている全ての楽曲の作詞と作曲を務めた人物が、ベンジ・パセク(Benj Pasek)とジャスティン・ポール(Justin Paul)。

通称パセク&ポール(Pasek and Paul)として知られるアメリカのソングライターのデュオです。

彼らは、『ラ・ラ・ランド』(2016)のサウンドトラックも手掛けており、ミュージカル劇の音楽で数多くの賞を受ける人物でもあります。

だからこそ本作内の全ての楽曲も高いクオリティを誇っているのでしょう。

鑑賞後は、サウンドトラックを聴きたくなるに違いありません。

『グレイテスト・ショーマン』(2017)サウンドトラック


『グレイテスト・ショーマン』に込められたメッセージ

グレイテスト・ショーマンは、エンターテイメント映画として完成度が高い作品です。

心地良い楽曲と圧巻のパフォーマンス、そして本作に込められたメッセージに感動しました。

ここでは本作のメッセージ性についてフォーカスして感想を書いていきます。

P・T・バーナムの行動と多様性の構築について

P・T・バーナムが扱うサーカスの団員は、巨人症の男や、小人症の男、髭の濃い女、結合双生児と言った、周囲の目から隠れて生きてきた人々。

冷たい目を浴びせたり、蔑ろにしてきたりしてきた世間とは違って、P・T・バーナムは彼らを主役として活かしていきます。

見世物としているため決して賞賛できるようなものではありませんが、世間と大きく異なる点は、彼らと向き合い、主役になれる場所を提供したということ。

マイノリティーといえる人々が創り出す圧巻のショーだからこそ、私たちの心に刺さるものがあり、彼らの自己表現が痛快です。

生きていく上で大切なこととは

本作の主題歌となっている「This Is Me/ディス・イズ・ミー」は、見た目や内面の要素、全てを踏まえて「これが私だ」と自分自身を肯定する楽曲。

自らを偽るのではなく、自分自身を受け入れて、生きていこうとする伝える楽曲は、全ての人々の心の琴線を揺さぶる楽曲になっていたと思います。

前述の通り、周囲の人々が遠ざけてきた存在であるP・T・バーナムの団員達。

彼らが多くの人々の前に立ち、自分を表現して魅せる姿。

そんなパフォーマンスに、大切なことに気づかれます。

・恐れず自分をさらけ出すこと。

・自分で自分を受け入れること。

といったことを考えさせられました。

このような点でも本作は、パーソナリティー、見た目も全て受け入れて生きていく勇気を与えてくれる作品だと感じます。

誰だって輝ける場所がある

人と違う個性をもった人たちは、世間から隠れるように生きてきた彼らは、ショーに出会ったことで、人生が輝きはじめたということが印象的です。

・欠点と思える個性が、長所となり輝ける舞台がある。

・自分の個性を隠すのでもなく、嫌うのでもなく、活かせる場所を見つけていく。

このようなメッセージも込められていると感じました。

普段、自分の居場所が見つからず、孤独を感じるすべての人々に刺さるメッセージが感じられ、ミュージカルのおかげで押し付けがましくなく観ることができたことも好印象でした。

『グレイテスト・ショーマン』(2017)が批判された理由

P・T・バーナム: © Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

歴史上の事実を大きく変えている

ここまで絶賛してきた『グレイテスト・ショーマン』ですが、本作はアメリカの批評家に厳しい評価を受けた作品でもありました。

酷評される理由の代表的なものとして、歴史上の事実を大きく変えていることが挙げられます。

実在の人物であるP・T・バーナムの人生をエンタメ色を強くして描き、伝記映画とは一線を画する内容として完成している本作。

内容について見ていくと、人々の共感を得やすいようにP・T・バーナムという人物の行動やパーソナリティーを事実と捻じ曲げてしまっていいのかということは疑問が残ります。

特に、P・T・バーナムは金のことしか考えていない訳ではなかったが、大嘘つきだったということは描かず、感情移入しやすいように美化していることは否めません。

一例を挙げると、

欧州随一のオペラ歌手といわれたジェニー・リンドと出会ったことで、P・T・バーナムが団員や家族を見放したとも捉えられる場面。

ここでジェニー・リンドがP・T・バーナムを誘ったかのように見えるシーンもありますが、実際は親しい中ではなく、彼女を酷使したのはP・T・バーナムの方でした。

彼女は厳密な管理スケジュールに疲弊し、平和的に契約解消に向かったことが事実。

さらに、P・T・バーナムは「鴨は毎分生まれててくるさ」という世界的に有名なセリフで知られる人物です。

このセリフは描かれていない上に彼と対立関係にあった新聞記者は、P・T・バーナムを「嘘つき」と罵る悪者であるかのように描かれています。

事実では、新聞記者は本当のことを報道している立場であり、P・T・バーナムは叩かれる行動を続ける大嘘つきでした。

そんな彼を象徴的に表現しているシーンが本作には登場します。

新聞記者に、

「人々を見世物にしている、あんたは悪い男だな。」

と語られるシーンで、P・T・バーナムは、

「俺らのショーを観ている観客の笑顔は偽物じゃない。」

と語る場面があります。

このようにP・T・バーナムは、人々を楽しませるということばかりを考えていた人物として有名な人物。

有名な人物であるとはいえ、事実を捻じ曲げ、エンタメ作品として描き出すことが、実在の人物を扱った作品としては難しいと感じられる要素ではないでしょうか。

おわりに

P・T・バーナムの団員達: © Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

音楽とパフォーマンスに加え、観る人の気持ちを掴むメッセージを与えてくれる『グレイテイスト・ショーマン』。

起承転結が明確であり、人々の感情を揺さぶってくれる普遍的なテーマとなる成功や失敗、愛、葛藤、困難……。

といった様々な要素を取り入れながら「この先どうなるんだ」という好奇心をもたせるストーリー展開が巧みです。

本作の最後に出てくるメッセージに、

「最も崇高な芸術とは人を幸せにすることだ」

というものがあります。

事実とは異なるとはいえ、観て聴いて全員がハッピーになれる『グレイテスト・ショーマン』は、芸術作品と呼ぶにふさわしい作品ではないでしょうか!

他にも初心者にとっても、映画好きにとっても必見の名作を紹介しています。

ミュージカルのおすすめ作品も一覧で紹介しているので、ぜひ見てみてください。

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