
1976年の公開以来、世界中の人々に感動を与え、今なお新作が作られ続ける『ロッキー』(1976)
シルヴェスター・スタローンが脚本を執筆し、自ら主演した『ロッキー』は、第49回アカデミー賞で作品賞をはじめとする4部門、第34回ゴールデングローブドラマ作品賞を受賞しました。
色あせることのない『ロッキー』の魅力をあらすじと、感想とともにネタバレありで語っていきます。
目次
『ロッキー』(1976)作品情報とキャスト
作品情報
原題:Rocky
製作年:1976年
年製作国:アメリカ
上映時間:119分
ジャンル: ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督とキャスト
監督:ジョン・G・アヴィルドセン
代表作:『ジョー』(1970)『ベスト・キッド』(1984)
出演者:シルヴェスター・スタローン/吹替:羽佐間道夫(ロッキー・バルボア)
代表作:『ランボー』(1982) 『エクスペンダブルズ』(2010)
出演者:タリア・シャイア/吹替:松金よね子(エイドリアン)
代表作:『ゴッドファーザー』(1972)『ニューヨーク・ストーリー』(1989)
出演者:バート・ヤング/吹替:富田耕生(ポーリー)
代表作:『アンクル・ジョー』(1978)『プルート・ナッシュ』(2002)
『ロッキー』(1976)のあらすじ

アポロと対峙するロッキー© 1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.
1975年、フィラデルフィア。三流ボクサー、ロッキー・バルボアは、借金の取り立てなどの、ごろつきまがいの仕事で生計を立てていた。
ペットショップの店員、エイドリアンに恋心を抱きつつも、自堕落な生活を続けるロッキー。
そんなある日、世界チャンピオンであるアポロ・クリードが、世間の話題を集めるために、無名の選手との試合を企画する。
対戦相手に指名されたロッキーは、自分がただのごろつきではないことを証明するため、すべてを賭けてアポロに立ち向かうのだった。
『ロッキー』(1976)の3つの見どころ

ロッキーのトレーニング© 1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.
見どころ①:アメリカンドリーム
『ロッキー』(1976)は、主演のシルヴェスター・スタローンの手により脚本が書かれました。彼は、この映画に主演したことで、一夜にしてトップスターの仲間入りを果たします。
ロッキーとスタローン自身の人生とリンクするかのような映画の展開に注目です!
見どころ②:テーマ曲
『ロッキーのテーマ』は誰でも一度は聞いたことがあるはず。ビル・コンティ作曲の有名なテーマ曲が、物語を盛り上げます。
見どころ③:熱いドラマ
『ロッキー』(1976)といえば、熱いドラマです。しかし単純な、主人公が努力して勝利する、というサクセス・ストーリーではありません。
ロッキーをはじめとする、魅力的な登場人物たちが放つ数々の名台詞も見どころです!
【ネタバレあり】『ロッキー』(1976)の感想と魅力

ロッキー・バルボア© 1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.
『ロッキー』(1976)が解説
シルヴェスター・スタローンといえば、今でこそ押しも押されもしないアクションスターではありますが、『ロッキー』(1976)公開直前までの彼は、その日暮らしがやっとの売れない俳優でしかありませんでした。
自分のキャリアと将来について、不安を感じ続けていたスタローンは、ある日ボクシングの世界ヘビー級タイトルマッチを観戦します。
試合に感動したスタローンは、しがない三流ボクサーを主人公とした映画の脚本を、わずか3日で書き上げます。
この作品こそが、のちに彼がトップスターの仲間入りを果たすきっかけとなる『ロッキー』でした。
スタローンは、できあがった脚本を映画会社に売り込みます。映画会社はこの脚本に7万ドル以上の破格の買取価格を提示し、当時の有名俳優を起用しての大作映画化を計画します。
しかしスタローンは、脚本を売る場合の絶対条件として、自分が主演することを頑として譲りませんでした。彼は、自分の夢のために、魂を込めて脚本を書いたのです。
スタローンが提示した条件に折れた映画会社は、無名であるスタローンが脚本を書き、また主演する『ロッキー』(1976)を、2万ドルという低予算の映画として位置づけて制作するに至ります。
そして、スタローンを除く映画関係者から大して期待されていなかった『ロッキー』は、公開されるやいなや、世界中で大ヒットを記録し、アカデミー作品賞を始めとする数々の栄冠を手にしたのでした。
スタローンは映画公開一夜にしてハリウッドスターとなり、まさに現代のアメリカンドリームを、その手で実現させたのでした。無名の俳優であったシルヴェスター・スタローンの作品『ロッキー』(1976)は、世界中の人々に、夢と希望と感動を与えたのです。
俳優シルヴェスター・スタローンと、主人公ロッキー・バルボアの挫折と栄光の人生のリンクはもちろんなのですが、作品そのものにも似たような経緯があるのが大変面白いところです。
トレーニングがしたくなる!ロッキーのテーマ
『ロッキー』(1976)という映画を観たことがなくても、『ロッキーのテーマ』は一度は聴いたことがあると思います。
第49回アカデミー賞でも主題歌賞にノミネートされた、ビル・コンティの手による有名なテーマ曲は、劇中のロッキーのトレーニングシーンで効果的に流れます。
なかでも、ロッキーがフィラデルフィア美術館の階段を颯爽と駆け上がり、両手を掲げるシーンは、映画史上屈指の名シーンと言えるでしょう。
ちなみに、この階段は「ロッキーステップ」と呼ばれ、後年設置されたロッキーの銅像と共に記念写真のスポットとして親しまれています。シリーズ6作目『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)のエンドクレジット映像は必見です!
『ロッキーのテーマ』が流れると、なんだか無性に走り出したくなる、そんな方も多いのではないでしょうか?
数々の名台詞で展開される熱いドラマ
もちろん、『ロッキー』(1976)の魅力はスタローン自身や、テーマ曲だけにあるのではありません。
熱いドラマも見どころのひとつです。
物語中盤、アポロとの試合が決まり、その準備を始めようとするロッキーのもとに、不仲であったミッキーが訪れます。
ミッキーは自堕落に生きるロッキーに愛想を尽かし、冷たい態度をとっていましたが、その態度を急変させ、マネージャーをさせてくれと頼みに来たのでした。
しかし、ロッキーにしてみれば、突然降って沸いたアポロとの試合という一世一代のチャンスに手のひら返しをしたミッキーのことを簡単に許すことができません。
ロッキーは、これまでのミッキーに対する感情を吐き出します。
「全盛期と言ったな。おれはどうなるんだ、ミッキー? あんたには全盛期があった。おれには全盛期はなかった。おれにはなにもなかった! 」
ロッキーはこの後、去ろうとするミッキーに追いつき、握手を交わします。
その際に、ふたりのあいだでどんな言葉が交わされたのかは、視聴者には分かりません。
無言ながら、それまでのミッキーに対する、ロッキーの「認めてもらいたい」という想いが伝わってくる名シーンです。
また、ロッキーはアポロとの試合を控えた前日、恋人であるエイドリアンにアポロとの対戦への不安を漏らしますがロッキーは、勝つことが目的ではないとも言います。
「もし、最終ラウンドのゴングが鳴り、それでもまだ立っていられたとしたら・・・・・・おれは、自分がごろつきじゃないってことを、人生で初めて自分自身に証明できる」
これまでの自分と決別すること。
それが、ロッキーが無謀な戦いに挑む、ただひとつの理由でした。
ロッキーは、自分がごろつきではないことを、自分自身にどころか、世界中に証明することになります。
シルヴェスター・スタローンがこの台詞に込めた想いの強さが、この映画の想像を超える大ヒットにつながったと言っても間違いではないでしょう。
そして、もっとも有名な台詞は、アポロとの全身全霊をかけた戦いを終え、ボロボロになったロッキーが叫んだ、
「エイドリアーン! 」
ではないでしょうか。
この台詞はよくものまねなどのギャグで使われることが多いのですが、映画を通して観ると、あの場面ではこの台詞しかないだろうな、というほどに印象的な一言となっています。
「愛してる、ロッキー」
「愛してる、エイドリアン」
ロッキーとエイドリアンのふたりのやりとりで終幕となる『ロッキー』の本質は、実は恋愛映画であるともいえるのかも知れません。
『ロッキー』シリーズの鍵となる登場人物を解説

ロッキーとエイドリアン© 1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.
『ロッキー』(1976)は、今なお新作が作られ続けるシリーズです。
『ロッキー2』(1979)以降、さらにシリーズを楽しむために抑えておくべきポイントを、登場人物を通じて紹介していきます。
1.エイドリアン
『ロッキー』シリーズは、ロッキーとエイドリアンの愛の記録の物語と言うことができます。
始めは内気だった彼女が、ロッキーのパートナーとして、シリーズを重ねてゆくごとに女性としての強さを身につけてゆくその姿は、シリーズを通しての大きな見どころでもあります。
2.ポーリー
エイドリアンの兄、ポーリーは、誰がどう見てもダメな人間です。
しかし、それだけに不思議な魅力を持つ人物であり、いつの間にか親しみを感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
ひたすら人間くさい言動を繰り返すポーリーこそが、『ロッキー』シリーズの影の立役者であると言えるのかもしれません。
3.その他の登場人物
本作でロッキーの強大な敵として登場したアポロ・クリードもまた、シリーズを通して重要な役割を担う人物です。
ロッキーとアポロの関係は、シリーズに物語の多様性を与える重要な要素となっています。
また、ロッキーに説教される12歳の少女マリーは、なんと後年の『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)で重要な役どころを担い、再登場します。
他にも、冒頭でロッキーと試合をするスパイダー・リコなども再登場するので、彼らとロッキーの関係を把握しておくと、シリーズをより楽しむことが出来るでしょう。
おわりに

ロッキーの報酬© 1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.
ロッキーは善戦むなしくアポロの前に敗れます。
しかし、ロッキーには勝敗など、もはやどうでもよかったのです。
ごろつきではないと胸を張って言えるこれからの人生と、それに寄り添ってくれる女性、エイドリアンの愛。
ロッキーはアポロとの死闘で、何物にも代えがたい報酬を得たのでした。
「人生には、勝ち負けよりも大事なことがある」
『ロッキー』(1976)が40年以上に渡り世界中で愛されているのは、そんなメッセージが我々にストレートに伝わり、生きる勇気を与えてくれるからだと思います。
そして、物語は『ロッキー2』(1979)から続くシリーズへと繋がっていくのです。
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