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平和を求めて戦う人々を描く映画『移動都市/モータル・エンジン』【あらすじ、感想、ネタバレあり】

イギリス人作家フィリップ・リーヴのファンタジー小説「移動都市」を『ロード・オブ・ザ・リング』で監督/脚本/制作を手がけ、その名を世界に知らしめたピーター・ジャクソンが映像化した注目作。

海外映画レビューサイトRottenTomatoesでは、

「荘厳な映像が素晴らしかった」「視覚的に非常に楽しめる作品だった」

といったレビューが寄せられた一方で、

「テーマが希薄」「感情の盛り上がりに欠けた」

といったレビューも見られました。

実際のところどのような内容になっていたのか?

『移動都市/モータル・エンジン』についてあらすじとネタバレを踏まえながら感想と解説をご紹介していきます

作品情報とキャスト


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作品情報

原題 : Mortal Engines

製作年 : 2018年

製作国 : アメリカ, ニュージーランド

上映時間 : 128分

ジャンル : ファンタジー、SF

監督とキャスト

監督 : クリスチャン・リヴァース

代表作 : 『ロード・オブ・ザ・リング 』『ナルニア国物語/第1章: ライオンと魔女』

出演 :(ヘスター・ショウ)/ヘラ・ヒルマー
代表作 : 『アンナ・カレーニナ」(12)』『Life in a Fishbow』

出演 :(トム・ナッツワーシー) /ロバート・シーハン
代表作 : 『ジオストーム』『シャドウハンター』

出演:(サディアス・ヴァレンタイン)/ヒューゴ・ウィーヴィング
代表作:『ハクソー・リッジ』『ロード・オブ・ザ・リング』

『移動都市/モータル・エンジン』のあらすじ

ロンドンから逃げる小型都市;IMDb

あらすじ

2118年頃、60分戦争が勃発して文明社会は終わりを告げた。
(60分戦争とは、”メデューサ”と呼ばれる量子エネルギー兵器を用いた戦争のこと)

地殻が粉々に砕けて、生き残ったものたちはノマド(放浪民)となり、エンジンと車輪で移動するようになった。

これが移動都市時代の幕開けである。

本作で描かれるのは、たった60分で文明を荒廃させた最終戦争(60分戦争)後の世界。

残された人類は空や海、そして地を這う車輪の上に移動型の都市を作り出した。

資源の枯渇する世界では、他の小さな街を"捕食"することで資源や労働力を奪って生活している。

”都市が都市を喰う”、弱肉強食の世界へと姿を変えたこの地上では、巨大移動都市”ロンドン”によって支配されようとしていた。

他の都市を次々に飲み込み成長を続けるロンドンを前に、小さな都市と人々が逃げるようにして絶望的な生活を送るなか、一人の少女(へスター・ショウ)が反撃へと動き出す。

『移動都市/モータル・エンジン』の相関図

人物相関図:http://mortal-engines.jp/

『移動都市/モータル・エンジン』の2大勢力

『移動都市/モータル・エンジン』では、大きく2つの勢力が出てきます。

巨大移動都市ロンドンの人々と反移動都市の人々(反移動都市同盟)です。

反移動都市同盟は、ノマドとしての生活を選ばなかった人々でロンドンに争う反勢力同盟。

荒廃した地上を巨大都市が支配して、弱い都市を捕食することは間違っているという信念の下、戦いを続けています。

彼ら反移動都市同盟の重要拠点であり、地に根付いた生活と平和を望む最大級の静止都市”シャングオ”

壁の先にある新たな資源(狩り場)を求めるロンドンを”楯の壁”で凌いでいます。

2つの勢力の構図を頭に入れて、作品を観てみるとより作品を楽しめるでしょう。

『移動都市/モータル・エンジン』登場の人物の目的

移動都市/モータル・エンジン:IMDb

本作では、人物の関係や目的が複雑に絡み合っていました。

そこで主要人物3名の目的について解説します。

へスター・ショウ

サディアス・ヴァレンタインを見つめるへスター・ショウ:IMDb

『移動都市/モータル・エンジン』のヒロインであるへスター・ショウの目的は、母を殺したサディアス・ヴァレンタインへの復讐。

彼女は、サディアスの企みを知り、自分のためだけでなく反反移動都市同盟のために戦っていきます。

サディアス・ヴァレンタイン

都市を見つめるサディアス・ヴァレンタイン:IMDb

サディアス・ヴァレンタインの目的は、量子エネルギー兵器”メデューサを使った世界支配。

彼の表の顔はロンドンの英雄でありながら、裏の顔は目的のためなら誰が死んでも構わない残虐な性格。

彼は、死に瀕しているこの世界には衝撃が必要であるという思想を持ちシャングオへ侵攻します。

アナ・ファン

アナ・ファン:IMDb

反移動都市同盟のリーダーで賞金首のアナ・ファンの目的は、ロンドンの壊滅させ平和な世界を作ること。

正義を求める恐れ知らずで冷酷な彼女は、高い身体能力で幾多の困難を突破していきます。

『移動都市/モータル・エンジン』の3つの魅力!

荒野を走る移動都市:IMDb

『移動都市/モータル・エンジン』の3つの魅力について詳説していきます。

魅力1.大迫力の映像

映画が始まって10分も経たずに始まるのが、巨大移動都市ロンドンが小都市を狩る映像。

黒煙を上げながら大地に巨大な轍をつけて、駆動する姿が映し出されると巨大都市を動かすエンジンの轟音が響き渡ります。

映像と音声が混ざり合って、観ている私まで語の一人になっていると錯覚してしまうほどの没入感を覚えました。

生命を感じさせない大地や現代文明が崩壊した『マッドマックス』を思わせる荒廃した世界を表現しています。

魅力2.親子の絆

主人公の少女(へスター・ショウ)は、8歳の時に親を亡くしました。

へスターの母親は、古代技術(オールド・テク)を集めてメディーサの復活を企むサディアス・バレンタインによって殺害。

サディアス・バレンタインから逃げ延びた彼女は、シュライクに育てられます。

シュライクは、人間と機械の体を持つ愛情を持たない人造人間。

物語では、機械である彼に感情に変化が訪れます。

魅力3.自由を求めて戦う人々

本作で一貫して、描かれるのが弱肉強食の世界。

小さな移動都市は、大きな移動都市に狩られていきます。

人々の戦いを富裕層と貧困層分け、奪うものと奪われるものという分かりやすい構図となっていました。

都市と都市が奪い合う世界を終わらせるために戦う人々を描いています。

ネタバレあり!『移動都市/モータル・エンジン』の感想

巨大移動都市ロンドンを見つめるヘスター・ショウ:IMDb

『移動都市/モータル・エンジン』では、平和と自由を求めて戦う人々を描いていました。

この境遇を私の人生と重ね合わせて鑑賞することができました。

感じたことを3つ述べていきます。

圧巻の映像で表現するテーマ

巨大都市の映像について、製作と脚本を務めたピーター・ジャクソンは「巨大都市のビジュアルは非常に映画向きだ」と語っています。

この言葉通り、巨大都市が移動する姿や都市を捕食するシーンは、これまでに観たこともない映像になっていました。

本作で登場した都市を列挙すると、

本作で登場する都市
・凶悪な巨大移動都市ロンドン
・ロンドンに飲み込まれた小型都市
・海上を移動する都市
・夜に人間を狩る夜行性移動都市
・反移動都市同盟の拠点である空中都市エア・ヘイブン
陸・海・空それぞれの場面で異なる生活や戦いがあって、これほどスケールで描いていたからこそ、映画向きだと感じました。

ゆえに、人類の平和や自由をかけた戦いという壮大なテーマにも挑めたのだと思います。

親子の絆が伝わる物語

『移動都市/モータル・エンジン』では、サディアス・ヴァレンタインとへスター・ショウの親子関係が描かれています。

人物紹介を交えながら説明していきます。

サディアス・ヴァレンタインとキャサリン・ヴァレンタイン

サディアスが愛している娘キャサリン・ヴァレンタインは、ロンドンの上流階級を生きてきたので過酷な世界の現実を知りません。

しかし、へスターが現れサディアスをナイフで突き刺したことで、父には敵がいるのだということに気づかれます。

さらに、サディアスが世界を破滅させる量子エネルギー兵器の開発を進めていることまで知られて、親子の関係を切られます。

そして、楯の壁に侵攻するロンドンを彼女に停止させられるのでした。

シュライクとへスター・ショウ

へスターの父シュライクは、サディアスから逃げてきたへスターの父親代わり。

機械でありながらも彼女を育てた彼は、母を失くして悲しむへスターの辛さを取り除こうと彼女を自分と同じ感情を持たない人造人間にしようとしますが、逃げられます。

逃げられたことに激怒してシュライクは、彼女を殺そうと追い詰めますが反移動都市同盟の返り討ちに...。

停止する(死ぬ)間際シュライクは、へスターが幼い頃に握りしめていた母の形見であるメデューサを停止させる唯一の方法であるクラッシュメモリを渡すのでした。

・私欲を満たそうとするがゆえに娘に見捨てられたサディアス

・へスターのことばかり考えていたシュライク

両者の関係を対極的に描き、シュライクがへスターを人造人間にすることをやめて自由を与えたことも印象的でした。

平和を守るための戦い

「今夜、我々は同盟へ戦いを挑む!」

サディアス・ヴァレンタインは、古代技術(オールド・テク)を集めてメデューサを開発。

これを武器に最大級の静止都市であるシャングオを囲む巨大な防壁”楯の壁”を撃ち壊すべく進軍します。

平和を脅かして戦う巨大都市勢力と平和を守るために戦う反移動都市勢力。

両者の価値観は、根本的に異なります。

全く違う考えが激しくぶつかり合って一つの物語になっている本作。

守るべきものが明確で平和や自由のために命を惜しまない人々を見て、私は、「信じるもののためなら命を投げ出す覚悟を持っているだろうか?」と自問しました。

「メッセージが希薄だった」という評判も見かけましたが、本作は平和や自由を守る大切さを伝えるだけで十分強いメッセージ性を持った作品といえるのではないでしょうか?

『移動都市/モータル・エンジン』のまとめ

へスターとトム:IMDb

圧倒的で映像を観るものを魅了する本作は、架空の世界をモデルとしているため作品の主張を全体的に淡白に感じた人も多かったのではないかと思います。

しかし、映画の一つ一つのシーンに焦点を当てると、本作が掲げた壮大なテーマである平和を守るということが自分ごとのように伝わってくるはず。

・本作で自由を求めて命を投げ出していった人

・支配を求めて強さを求める人

平和を守る戦いは、死をも超えて受け継がれていくのだと感じました。

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