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【クロエ・モレッツ出世作】愛すべきヒーロー映画『キック・アス』(2010)の魅力をあらすじとともに紹介【ネタバレあり】

アメコミ界の巨匠、マーク・ミラーの人気コミックを原作とする『キック・アス』(2010)。

ブラッド・ピットが脚本に惚れこみ、プロデューサーを務めたことで話題となり、日本でも「映画.comオンライン・ムービーアワード2010」で『トイ・ストーリー3』(2010)を抑えて堂々の第1位を獲得する高い評価を得ました。

女優クロエ・グレース・モレッツの大ブレイクのきっかけともなった『キック・アス』(2010)のあらすじと魅力を、ネタバレを交えながら語っていきます。

『キック・アス』(2010)作品情報とキャスト


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作品情報

原題:Kick-Ass
製作年:2010年
年製作国:イギリス・アメリカ合作
上映時間:117分
ジャンル: アクション、コメディ

監督とキャスト

監督:マシュー・ヴォーン
代表作:『X-MEN  ファースト・ジェネレーション』(2011)『キングスマン』(2015)

出演者:アーロン・ジョンソン/吹替:佐藤拓也(デイヴ・リズースキー / キック・アス
代表作:『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(2009) 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)

出演者:クロエ・グレース・モレッツ/吹替:沢城みゆき(ミンディ・マクレイディ / ヒット・ガール)
代表作:『(500)日のサマー』(2009)『キャリー』(2013)

出演者:ニコラス・ケイジ/吹替:内田直哉(デイモン・マクレイディ / ビッグ・ダディ
代表作:『ザ・ロック』(1996)『リービング・ラスベガス』(1996)

『キック・アス』(2010)のあらすじ

ヒーロー活動を開始するキック・アス©:Marv Films=Plan B Entertainment

デイヴ・リヴースキーは、アメコミヒーローに憧れるオタク少年。

「スーパーヒーローのファンは何百万といるのに、なんで誰もヒーローになろうとしない?」

そんな疑問を抱いていた彼は、通販で買ったコスチュームを身に着け、「キック・アス」を名乗りヒーロー活動を開始する。

暴漢から返り討ちに遭い、大けがを負ったキック・アスだったが、挫けずに悪へと立ち向かい続ける姿は、いつの間にか人々の間で人気者となっていた。

そんな彼の前に、本物のヒーロー、ビッグ・ダディとヒット・ガールが現れるが……。

キック・アス(2010)の3つの見どころ

ヒット・ガールの活躍©:Marv Films=Plan B Entertainment

見どころ①:溢れるアメコミ愛

原作者は、『ウォンテッド』(2008)や『キングスマン』(2015)を手がけたマーク・ミラー。

アメコミ愛に溢れた本作は、アメコミにあまり触れたことのない人にも、入門的な一作としてオススメできます。

見どころ②:女優クロエ・グレース・モレッツ

とんでもなくキュートで、とんでもなくデンジャラスなヒット・ガールを演じたクロエ・グレース・モレッツは本作をきっかけに、大ブレイクを果たしました。

まだ幼さの残る彼女の、爽快なバトルアクションに注目です!

見どころ③:サウンド・トラック

様々なアーティストが参加しているサウンドトラックも、本編に負けず劣らず魅力的。

70年代のロックの名曲の数々が、効果的に物語を盛り上げます

【ネタバレあり】『キック・アス』(2010)の感想と魅力

マフィアに復讐を誓うビッグ・ダディ©:Marv Films=Plan B Entertainment

キック・アスはどのようにして生まれたのか

暴漢に立ち向かうキック・アス©:Marv Films=Plan B Entertainment

本作の主人公、デイヴは、なにひとつ特殊な能力を持っていない、ごくふつうのオタク少年です。

物語の冒頭で、デイヴが語るモノローグ。

「ヒーローは架空の存在。だが、悪は実在する」

そんな現実を許すことができないデイヴは、自らヒーロー活動を始めたことで、予想もしていなかったトラブルに巻き込まれてしまいます。

平凡な高校生だった彼は、ビッグ・ダディやヒット・ガール、そして宿敵レッド・ミストといった人々との出会いを経て、本物のヒーローに成長していくのです。

すべてのヒーローにオリジン(誕生の起源)があるように、本作はキックアスというヒーローのオリジン・ストーリー。

各シーンに散りばめらたアメコミネタも楽しいのですが、アメコミを全く知らない人にとっても、オタク少年の成長ドラマとしてオススメです。

キック・アスの意味とは?

スーパーヒーローにとって、名前は重要な要素です。

近年公開された『シャザム!』(2019)にも、主人公と相棒がヒーローの名前を、あれこれと考えるシーンがありました。

デイヴが名乗るキック・アスという名前には、いくつかの意味があります。

直訳では「尻を蹴る」というあまりカッコよくない意味になるのですが、他にもスラングとして「敵をやっつける」、「最高」、「超クール」のような意味が。

劇中、キック・アスの名を聞いたビッグ・ダディが、「アス・キック」に改名すべきと皮肉を言いますが、こうなると逆に「やっつけられる」となってしまいます。

日本人である我々には、いまいちピンとこないシーンです。

ちなみに、本作の続編である『キック・アス2 ジャスティス・フォーエバー』(2013)では、キック・アスのライバルキャラとしてアス・キッカーが登場。

こちらは、「お調子者」、「嫌な奴」などの意味となります。

いずれにしろ、ass(お尻)はもともと上品な言葉ではないので、人前で使うのは控えたほうが良いかもしれません。

ふたりのヒーローが共演!

デイブとトッド©:Marv Films=Plan B Entertainment

本作で主演を果たしたアーロン・ジョンソン(現在はアーロン・テイラー=ジョンソン)は、のちに『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で超高速で動くヒーロー、クイックシルバーを演じることになります。

そして、デイヴの友人であるトッド役のエヴァン・ピーターズが『X-MEN フューチャー&パスト』(2014)で演じたのは、これもまたクイックシルバー。

違う作品で同じ役を演じるふたりの因縁も面白いところです。

ビッグ・ダディとヒット・ガール

3人のヒーロー©:Marv Films=Plan B Entertainment

『キック・アス』(2010)を傑作たらしめているのは、ニコラス・ケイジが演じるビッグ・ダディと、クロエ・グレース・モレッツが演じるヒット・ガールの存在による部分が大きいでしょう。

ビッグ・ダディは明らかにバットマンを意識して描かれているキャラクターですが、作中では熟なキック・アスを導く先輩ヒーローとして活躍します。

少女ながらもビッグ・ダディ以上に存在感を放つヒット・ガールは、のちにコミックスでも彼女を主役としたスピンオフ作品が刊行されるほど、人気のキャラクターとなりました。

当時11歳であったクロエ・グレース・モレッツの凶悪で過激な演技は、一部の批評家達からは「不道徳」として批判されたものの、彼女が大ブレイクを果たすきっかけとなったのでした。

主役を食うほどの人気を得たヒット・ガールの数々の活躍シーンは、思わず魅入ってしまうこと間違いなしです!

余談ではありますが、ニコラス・ケイジはかなりのアメコミファンで、スーパーマンを演じることが彼の悲願でもありました(本人の芸名はスーパーヒーローであるルーク・ケイジから。また、息子にスーパーマンの本名であるカル・エルと名付けるほど!)。

活き活きと楽しそうにスーパーヒーローを演じるニコラス・ケイジは、一見の価値ありです。

魅力的なサウンド・トラック

物語を盛り上げる楽曲も、魅力的なものばかり。

「Banana Spilits」(ザ・ディッキーズ)をバックに、ヒット・ガールが悪党どもを嬉々として惨殺してゆくシーンは、何度見てもテンションが上がってしまいます。

レッド・ミストとキック・アスが車(ミスト・モービル)の中で聴くのは「Crazy」(ナールズ・バークレイ)

二人で仲良く音楽を聴く姿に、ほっこりとします。

そして終盤、ヒット・ガールが敵の本拠地に乗り込む時に流れる「夕陽のガンマン」(エンニオ・モリコーネ)からの「Bad reputation」(ジョーン・ジェット&ブラックハーツ)に、アドレナリンがマックスとなること間違いなしです。


本作をより楽しむために!原作コミックとの3つの相違点を解説

レッド・ミスト登場©:Marv Films=Plan B Entertainment

『キック・アス』(2010)はマーク・ミラーによる同名のアメリカン・コミックスが原作。

大筋では展開が一緒なのですが、いくつかキャラクター設定などに相違点がありますので、紹介していきます。

相違点①:キック・アスのカミングアウト

映画、原作ともデイヴは、片思い中の相手であるケイティに、自分はゲイである、と偽って仲良くなります。

映画でのデイヴは、自分が本当はゲイではないということを、愛とともにケイティに告白し、二人はめでたく恋人となるのですが……。

原作でのデイヴは、嘘をついたことをなじられ、そのうえケイティの取り巻きに暴行されて、もとのオタクの性格のまま物語は終わります

勝ち組みである映画版デイヴと、負け組である原作版デイヴ。

全体的にダークな作風である原作の特徴が、もっとも色濃く出ている部分です。

相違点②:ビッグ・ダディのオリジン

映画でのビッグ・ダディは、ひたすらにカッコいい本物のヒーローです。

戦う理由も、妻を自殺に追い込んだマフィアへの復讐という、パニッシャーばりの凄まじいものとなっているのですが……。

原作でのビッグ・ダディは、実はデイヴと同じ、ただのヒーローオタクだったのです。

マフィアを相手に戦う理由も、ヒーローには、ヴィラン(悪党)が必要だからという身も蓋もないものでした。

この部分については、映画版の改変の方が好評であったと思います。

相違点③:レッド・ミストのキャラクター

映画でのレッド・ミストは、キック・アスに対して友情を抱いていました

父であるマフィアのボスがキック・アスやビッグ・ダディ達を罠に嵌めようとした時も、キック・アスだけは許してやってくれと懇願します。

友人と、父との間で苦悩する、実に魅力的なキャラクターとなっているのですが……。

原作でのレッド・ミストは、ひとことで言って嫌な奴。

キック・アスを裏切る時も、微塵の後悔も見せずにやってのけます。

レッド・ミストは、ラストシーンで、バットマンの宿敵であるジョーカーの名台詞を口にします。

「俺の出番を待ってろよ」

展開そのものは映画、原作ともに同じですが、映画でのレッド・ミストは、自分の弱さとも取れる迷いを捨て、ヴィランへの覚醒を果たすのです。

両者のレッド・ミストのキャラクター性に違いがあるため、台詞の重みが全く違います。

『キック・アス』(2010)は、ヒーローであるキック・アスのオリジン・ストーリーであると同時に、レッド・ミスト(次作ではマザー・ファッカーを名乗ります)というヴィランのオリジン・ストーリーでもあるのです。

おわりに

最終決戦でのキック・アス©:Marv Films=Plan B Entertainment

『キック・アス』(2010)は、ブラッド・ピットが製作に名を連ねたにも関わらず、資金繰りの困難さから、日本での公開が危ぶまれていた作品でした。

しかし公開されるや否や、熱烈なファンを獲得し、現在も続く日本のアメコミ・ブームの歴史に名を刻むこととなりました

スパイダーマンのベンおじさんは、

「大いなる力には、大いなる責任がともなう」

という名言を残しました。

これに対し、本作の主人公デイヴは、自問します。

「大いなる力がなければ、責任はないのか?」

と。

本作の主題はここにあると言えるでしょう。

また、デイヴは悪党に対して、毅然と言い放ちます。

「お前らの暴力を、みんな黙って見てる。僕には、それが許せないんだ!」

デイヴの言葉は、悪事に対し、見てみぬふりをする人々に、動画配信を通じて突き刺さります。

「ヒーローになりたい」と思ったことは、きっと誰でもあるはずです。

そんな気持ちの昂りを思い出させてくれる、素晴らしい映画でした。

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