狂気の熱演、映画『ブラック・スワン』(2010)の意味をあらすじと共に解説【感想、考察、ネタバレあり】

2010年に公開されたアメリカのサイコスリラー映画『ブラック・スワン』(2010)。

第83回アカデミー賞では作品賞を含む5部門でノミネートされ、主演のナタリー・ポートマンは主演女優賞を受賞しました。

さらにナタリー・ポートマンは英国アカデミー賞 とゴールデングローブ賞でも主演女優賞を受賞しています。

その他にも日本アカデミー賞をはじめ、多数の映画賞を受賞、及びノミネートされており、255名の映画批評家のうち88%が好意的な評価をしたという『ブラック・スワン』(2010)。

今作でナタリー・ポートマンは大胆で刺激的なシーンに挑みました。

主演ナタリー・ポートマンの演技が光った『ブラック・スワン』(2010)について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!

『ブラック・スワン』(2010)の作品情報とキャスト

ブラック・スワン

作品情報

原題:Black Swan
公開年:2010年
製作国:アメリカ
上映時間:108分
ジャンル:ホラー

監督とキャスト

監督:ダーレン・アロノフスキー
代表作:『π 』(1998)『レスラー』(2008)

出演者:ナタリー・ポートマン/吹替:坂本真綾 (ニナ・セイヤーズ)
代表作:『レオン』(1994)『スター・ウォーズ』シリーズ

出演者: ヴァンサン・カッセル/吹替:森田順平 (トマ・ルロイ)
代表作:『美女と野獣 』(2014)『ジェイソン・ボーン』(2016)

出演者:ミラ・クニス /吹替:小松由佳 (リリー)
代表作:『ステイ・フレンズ 』(2011)『テッド』(2012)

『ブラック・スワン』(2010)のあらすじ

ニナ・セイヤーズ:©︎Fox Searchlight Pictures

一流バレエ団に所属し、バレエにうちこむ日々を過ごすニナ。

ニナの所属するバレエ団は次の公演「白鳥の湖」の公演準備に入り、演出家のトマは主役を選ぼうとしていた。

その選考でニナは主役に抜擢される。

しかし、主役の重圧に飲まれ、幻覚や妄想に悩まされるようになっていくニナ。

公演が始まる日、ニナは母を振り切って劇場へ向かうと、踊る準備を整えた。

公演中の舞台裏で、ニナはリリーと揉み合いになり、割れた鏡の破片でリリーを刺殺してしまう。

ニナはリリーの死体を隠し、再び踊る為、黒鳥として舞台に登場。

舞台から戻ったニナはリリーと争ったのは幻覚であり、刺してしまったのは自分自身であったことに気付く。

最後幕の舞台が始まり、ニナは完璧に踊ったが……。

『ブラック・スワン』(2010)の3つの見どころ

白鳥を演じるニナ:©︎Fox Searchlight Pictures

見どころ①:衝撃のラスト

『ブラック・スワン』(2010)では予想しなかったラストが待っています。

ニナの最後のセリフ「感じた。完璧……。完璧だった」の意味とは?

ナタリー・ポートマンのバレエ演技にも注目です。

見どころ②:ナタリー・ポートマンの演技

『ブラック・スワン』(2010)でナタリー・ポートマンは主演女優賞を総なめにしました。

幻覚や妄想に悩まされるようになっていくニナを見事に演じています。

大胆な体当たり演技がとても刺激的。

見どころ③:狂っていく心理の映像美

精神的に疲れ、狂っていくいくニナの心理が見事に描写されています。

この映像によって『ブラック・スワン』(2010)の狂気的な世界が描き出されました。

巧みな映像技術に注目です。

【ネタバレあり】『ブラック・スワン』(2010)の感想と解説

稽古をするニナとトマ:©︎Fox Searchlight Pictures

主演女優賞に輝いたナタリー・ポートマン

『ブラック・スワン』(2010)はナタリー・ポートマンの演技なしではここまで高い評価を受けることはなかったでしょう。

というのも、ナタリー・ポートマンは『ブラック・スワン』(2010)でアカデミー賞、英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞と3つの賞で主演女優賞を総なめにしているから。

まさにナタリー・ポートマンあっての『ブラック・スワン』(2010)といえます。

ではなぜ、ナタリー・ポートマンの演技はこれほど称賛されたのでしょうか。

その理由を以下、3つの点でまとめてみました。

・狂っていく心理を見事に演じた
・大胆な体当たり演技をこなした
・バレエの演技を見事にこなした

以上3点について、ひとつずつ解説を加えていきます。

狂っていく心理を見事に演じた

ナタリー・ポートマン演じるニナは完ぺきな演技を目指すため、自分を心身共に追い込んでいきます。

結果、精神的に疲れてしまい、幻想や妄想がニナを襲うわけですが、その狂っていく心理状態をナタリー・ポートマンは見事に演じました。

幻想や妄想で狂っていくという非常に難しい演技だとは思いますが、それを感じさせない高い演技力。

その狂気的ともいえる演技にいつの間にか惹き込まれてしまいます。

大胆な体当たり演技をこなした

ナタリー・ポートマンはとても刺激的でハードな演技をしました。

自慰行為、レズビアン・セックス、麻薬摂取……。

ナタリー・ポートマンの今までのイメージを覆すような大胆シーンに挑んでいます。

ちなみにナタリー・ポートマンとレズビアン・セックスを演じたミラ・クニスとは私生活では大の親友同士。

セックスシーンの撮影は本当にやりにくかったとか。

しかし、友情のおかげで結果的にハードなシーンを乗り切れたそうです。

狂気とは違った妖艶なナタリー・ポートマンにも注目。

バレエの演技を見事にこなした

ダーレン・アロノフスキー監督もナタリー・ポートマンのバレエ演技を絶賛しています。

ナタリー・ポートマンはもともと4歳から13歳までバレエ経験があるそうですが、撮影の1年前から1日5時間の練習をこなし、撮影日が近くなったときには1日8時間の練習をしていたそう。

約10kgの減量で身体作りもしました。

バレエ演技についてナタリー・ポートマンはインタビューで次のように語っています。

クランクインの6か月前から集中トレーニングに入り、1日5時間のバレエレッスンに加えてスイミングも行いました。

そして、2、3か月前からは実際のダンスの振付を習い始めたんです。

それは非常に厳しいものでした。

このインタビューから相当ハードな練習をこなしていたことが分かります。

しかし、その努力によってプロと遜色ない見事なダンスシーンを披露。

監督も絶賛したバレエ演技に注目です。

ラストシーンの意味を考察

ラストシーンのニナ:©︎Fox Searchlight Pictures

『ブラック・スワン』(2010)のラストは予想しなかった展開を迎えることに。

解釈は難しいですが、ラストシーンの意味を考察していきます。

まずは『ブラック・スワン』(2010)のラストについて。

公演中の舞台裏で、ニナはリリーと揉み合いになり、割れた鏡の破片でリリーを刺殺してしまうニナ。

ニナはリリーの死体を一旦トイレに隠し、再び踊る為、黒鳥として舞台に登場します。

舞台裏へ戻ってきたニナはリリーと争ったのは幻覚であり、刺してしまったのは自分自身であったことに気付くのです。

ニナの腹部からは血が滲んでいます。

最後幕の舞台が始まり、ニナは再び舞台へ。

完璧に踊り切り、観客席からは割れんばかりの拍手喝采。

トマや他のバレリーナたちも駆け寄ってきますが、ニナの腹部から血がどんどん流れ出ます。

最後にニナは恍惚な表情をしてこうつぶやくのです。

「感じた。完璧……。完璧だった」

そして視界がかすんでいき、エンディングというラスト。

なぜニナは最後に「感じた。完璧……。完璧だった」というセリフをつぶやいたのでしょうか。

それはニナの課題であった魔性と官能を象徴するブラック・スワンを見事に演じきったからではないでしょうか。

黒鳥(ブラック・スワン)を演じるには何かが物足りなかった。

ニナは完ぺきな演技を目指すため自分を心身共に追い込んでいきながら、自慰行為、レズビアン・セックス、麻薬摂取とどんどん自分を解放していきます。

さらに過保護な母親の元で育てられたニナは母親にも反発。

そこへラスト。

魔性と官能の象徴であるブラック・スワンを完璧に演じるため、ニナは自分を殺した(決別)したのです。

今まで白鳥のように優等生で生きてきたニナ。

最後にニナは自分の手で自分自身を解放し、ブラック・スワンになろうとしたのではないでしょうか。

例え死んだとしても、完璧な演技を追い求めたニナにとってはハッピーエンドになったと思います。

それを物語っているのが最後の表情とセリフ、そしてエンディングに続く喝采。

心身共に追い詰めていた自分を解放できた瞬間だったと思います。

おわりに

白鳥を演じるニナ:©︎Fox Searchlight Pictures

ナタリー・ポートマンの演技が素晴らしかったのはいうまでもないですが、他にも脚本や心理を巧みに描き出した映像美も素晴らしかったです。

鬼才といわれたダーレン・アロノフスキー監督の才能も光りました。

なかなか解釈が難しい『ブラック・スワン』(2010)ですが、鑑賞者によって多くの解釈を残すということは裏を返せば名作であるという証拠。

映画批評家が高い評価をしたというのも納得です。

ナタリー・ポートマンとダーレン・アロノフスキーの才能が見事に融合した『ブラック・スワン』(2010)。

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