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海中を舞台にしたDC映画『アクアマン』(2018)が持つ意味を主題歌や評価と共に考察【あらすじ、感想、ネタバレあり】

今や映画ファンではなくても名前を知らない人はいないほどの人気を誇るマーベルシリーズ。

そんなマーベルに並ぶ人気を誇る一大エンタテインメントとなっているのが、DCエクステンデッドユニバース(DCEU)です。

『ジャスティス・リーグ』に出演したことでも話題を集めたヒーロー『アクアマン』(2018)は数々の記録を打ち立てた作品でもあります。

・公開から2ヶ月弱で1200億円を超える興行収入を達成

・中国ではこれまでのワーナー作品の中で史上最高のヒットを記録

など十分すぎる実績を持つ作品に期待を抱きつつ、2019年2月8日の公開当日に早速、鑑賞してきました。

本作の魅力を感想とネタバレを交えて、紹介していきます!

『アクアマン』(2018)の作品情報とキャスト


アクアマン(吹替版)

作品情報

原題 : Aquaman
製作年 : 2018年
製作国 : アメリカ, オーストラリア
上映時間 : 143分
ジャンル : ファンタジー、SF

監督とキャスト

監督 : ジェームス・ワン
代表作 : 『ワイルド・スピード SKY MISSION』『インシディアス』『ソウ』

出演 :ジェイソン・モモア/吹替:安元洋貴(アーサー・カリー/アクアマン)
代表作 : 『ジャスティス・リーグ』『バッド・ウェイブ』

出演 :アンバー・ハード/吹替:田中理恵(メラ)
代表作 : 『ジャスティス・リーグ』『リリーのすべて』

出演:パトリック・ウィルソン/吹替:中村悠一(オーム / オーシャンマスター)
代表作:『プロメテウス』『死霊館』

出演:ニコール・キッドマン/吹替:沢城みゆき(アトランナ)
代表作:『アイズ・ワイド・シャット』『ライラの冒険 黄金の羅針盤』『パディントン』

『アクアマン』(2018)のあらすじ

アクアマン

トムとアーサーと別れを告げるアトランナ:©︎2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved”“TM & (C)DC Comics”

地上で生きるアーサー・カリーは、人間の父〈トーマス(トム)・カリー〉と、海底王国アトランティスの王女(アトランナ)を母に持つ男、アクアマン。

人間社会でも周囲と異なる個性で孤独を感じる彼は、海中帝国でもハーグブリードであるが故に疎まれる存在だった。

苦労しながらも平穏な毎日を送る彼は、ある日、海中で暮らす環境汚染を繰り返す人間に怒りを覚えたアトランティス人が、人類を征服する計画を企てていることを知る。

アトランティス人が暮らすアトランティスは想像を絶するほど高度な文明を持つ巨大帝国。

人類の為にアトランティスに戦いを挑むアクアマンは、陸と海、二つの世界を守ることができるのか!?

『アクアマン』(2018)の3つの魅力!

アクアマン

海底帝国の様子:©︎2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved”“TM & (C)DC Comics”

魅力1.迫力のアクション

海中をメインに描いたヒーロー映画は前例がないので、どう描かれるのか気になっていました。

本作の特徴である水を駆使した戦闘シーンは、美しくもあり、カメラワークに拘ったスピード感のあるアクションに目を惹かれます!

魅力2.映画を構築する造形美

海底王国アトランティスを中心に描かれる本作。

登場する海中生物、建造物、武器や乗り物の全てが観る者を魅了する美しさを誇っています。

魅力3.ニュータイプのヒーロー映画

アクアマンは既成概念を壊す全く新しいヒーロー像を、描き出した作品でした!

【ネタバレあり】『アクアマン』(2018)の感想

アクアマン

アーサーとメラ:©︎2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved”“TM & (C)DC Comics”

圧倒的なスケールを感じるDCシリーズ待望の新作『アクアマン』(2018)のネタバレを交えた感想を書いていきます。

未知の海底帝国を描く

本作において初めに注目すべきは、未知の海底帝国アトランティスについて。

アトランティスでは、巨大な石造りの像が鎮座し、タツノオトシゴや鮫に跨って生活をしている様子が映し出されます。

これらを映し出すことで現代を題材にしているにも関わらず、どこか非現実的な雰囲気を感じたのは私だけではないはず。

過去のヒーロー作品にも通じる世界観

高度な文明を持ちながらも自然や動物と共生している社会は、マーベルが『ブラックパンサー』や『マイティ・ソー』で実現したような架空の都市をそのまま海中で展開したような試みなのだと合点がいきました。

「ワカンダ」(ブラックパンサーで登場する未来都市)も、古代の建造物や原住民の生活文化を残しながら、都市一帯を守るバリアを生み出すなど先端のテクノロジーを駆使していました。

リアリティと空想世界のギャップの絶妙な調和

本作では、建造物の見た目と先端技術とのギャップを織り交ぜて作られる社会が海底都市の中で作られています。

他にも死を伴う恐ろしさをリアルに映しながらも非現実的な作品になっていることも本作の大きな特徴だと感じました。

国を滅ぼす兵器や戦闘機が飛び交う戦争ではなく、生身の肉体同士がぶつかり合う激しい戦闘。

ワン監督のやりたいことをまとめ上げていったからこそ、観る者を圧倒する未来都市が完成したのではないでしょうか。

ワン監督は、『アクアマン』(2018)の映画化の話を持ちかけられ、快諾した理由として「自由に作ることができるヒーローだから」と語っていました。

このエピソードからも分かる通りワン監督は、これまでの概念に囚われていません。

アクアマンが新しいヒーローである理由

アクアマンは、これまでのヒーローとは一線を画すヒーローだと感じました。

理由は、2つあります。

1つ目は海底を題材にしたこと。
2つ目は生物多様性を強く意識していたこと

以上のような生物多様性と多種族の共存が、本作を語る上で重要なテーマに思えました。

特に象徴的だった要素を3つ紹介します。

1.多種族との共存について

魅力溢れる海底帝国を存分に描いた後、王の継承権の証である最強の三叉槍、トライデントを探す旅に出ます。

旅の道中、全ての世界で生き物が登場することは象徴的要素といえます。

旅路ごとにいくつか挙げると、

砂海王国では、人間とヤギ
海溝王国では、トレンチと呼ばれる生物
隠された海では、恐竜のような生物

どこへ行っても生き物がいることをここまで印象的に描いていることは、生物多様性について描いているという裏付けとなるでしょう。

2.決して命を奪わない

メラと二人きりになるとアクアマンは、デビッド・ケイン(ブラックマンタ)との戦闘で大きな被害を出したことを気にし始めます。

ブラックマンタはアクアマンが冒頭で成敗した海賊です。

ブッラクマンタが潜水艦を奪うために歯向かう乗員を殺害し、残りの乗員を全て生け捕りにするという凶行に及んだため、アクアマンが鉄拳を振るいました。

ブラックマンタの父はアクアマンに榴弾を放ち、結果として、魚雷に足を挟まれてしまいます。

ブラックマンタの力では、魚雷を動かせずアクアマンに助けを懇願しましたが「海に助けを請え」と言って見放されたという経緯がありました。

そんな経緯があって、逆恨みをされたアクアマンは「君(メラ)に被害が出てしまったら俺の責任だ」といいます。

思えば、悪に対して制裁を下すときも命を奪わないアクアマン

最も象徴的だったことは、命を奪おうとしてきたオームとの最後の決闘で勝利をしたときです。

正規の王の継承権を持つアクアマンに謀反を犯したとして連行されるオームに対して「(落ち着いたら)話をしよう」と声をかけます。

異父兄弟の関係にあるとはいえ、自分を殺そうとしてきた相手。

それにも関わらず、ここまで優しくなれるアクアマンの寛大さに驚きました。

3.アクアマンの能力について解説

どんな生き物に対しても優しいアクアマンは、トライデントを手にした瞬間に全ての海洋生物とシンクロするという能力を手に入れます。

これによってタツノオトシゴもサメも、自我を持たないトレンチも最強の敵だったトライデントを守る怪獣クラーケンをも掌握

この能力自体が優しい心の持ち主であるアクアマンを象徴した能力だと考えられます。

トライデントを得るために怪獣と戦う前、不安を抱えるアクアマンに対してアトランナが言った「王は国のために戦う。英雄は皆のために戦う。」という言葉。

この言葉通り、全生物に等しく接し、優しすぎるアクアマンこそが生物多様性を象徴したヒーロー(英雄)といえるでしょう。

『アクアマン』(2018)が描く社会的なテーマを解説

アクアマン

アクアマンの登場キャラクター:©︎2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved”“TM & (C)DC Comics”

アクアマンの新しい英雄としての姿が明らかになってきたと思います。

感想だけでは語りきれなかった『アクアマン』(2018)をもっと楽しめる内容を3つ紹介していきます!

『アクアマン』(2018)を製作者の境遇から考察

アクアマンはアトランティス王国の女王と地球人の父から生まれたハーフブリード(混血)ということが特徴です。

驚異的な力とは裏腹にアトランティスからは半端者として疎まれ、人間社会でも孤独を感じた幼少期が描かれていました。

出自に悩むアクアマンは、主演のジェイソン・モモアと監督のジェームス・ワンの境遇を投影しています。

モモアは、父がハワイ系にルーツがあり、母はドイツ、アイルランド、ネイティブアメリカンの血を引いていることからアメリカでからかわれたこともあったそう。

そして、ワン監督も中国系マレーシア人の家庭に生まれ、若い頃に家族とともにオーストラリアに引っ越したオーストラリア人です。

作品の要となる2人の人物が経験してきたことが映画に投影されているからこそ、アクアマンの境遇が他人事に思えないほどリアルに観ている人の心を打つのではないでしょうか。

映画オタクのジェームス・ワン監督

ワン監督は各メディアのインタビューで自身が映画オタクであることを公言しています。

彼が影響を受けたという監督の一部が以下の通りです。

ジェームス・ワン監督が影響を受けた監督
・スティーヴン・スピルバーグ
・ジェームズ・キャメロン
・ジョージ・ルーカス
・レイ・ハリーハウゼン
・ジョン・カーペンター

上記の監督達へのリスペクトが感じられる場面が幾つかありました。

まず、トライデントを探しに出かけるメラとアーサーは砂海王国に向かう道中で、砂漠を歩き続け、穴を滑り落ち、言葉の意味を考えて謎解きをしていくシーン。

「真の王の手からのみ道は示される」という頭を使わなればお宝(イースターエッグ)に辿り着くことができない問題。

本場面がスピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』の様でもあり、『インディ・ジョーンズ』へのリスペクトが感じられました。

そして、人間社会を手中に収める先駆けとして標的になった甲殻王国。

甲殻王国と海人王国との先頭のシーン。

違いが見合ってから一斉に先頭がスタートするシーン。

巨大怪獣も登場する戦争は『スター・ウォーズ』シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカス監督へのリスペクトが感じられる場面でした。

他にも多数ありましたが、私が特にオマージュ要素を感じた場面は以上となります。

噂によると同じ映画オタクであるエドガーライトからリクエストを受けた、ある番組も登場しているとのことなので探してみると楽しいかもしれません。

痛快なアクションと映画を彩る音楽

本作で胸が熱くなる要素として特に印象に残ったことはアクションと音楽です。

この2つについてもそれぞれ詳説します。

アクションを解説

アクションシーンとしてお気に入りなのが、一対一での戦闘です。

『ロッキー』や『燃えよドラゴン』、『酔拳』に代表される映画は昔から男を熱くしてきました。

そんなタイマンを張る要素が本作にも詰め込まれています。

オームとの決闘やアーサーが追い込まれる場面、全て姑息なやり方ではなく、一対一の勝負に繋がっているということが痛快です。

加えて容姿端麗なメラのパルクールと水を駆使した摩訶不思議な技の数々

アクションだけでなく、ファンタジーの要素も盛り込んできたことが映画ファンの心をしっかりと掴んでいると思います。

これも前述した通りに映画オタクの手腕といえるでしょう。

音楽を解説

本作で印象的な楽曲が、ピットブルによる「Ocean to Ocean feat. Rhea」

ロックバンドの重鎮「TOTO」の代表曲「アフリカ」のメロディをベースに、ラップと歌手のレア(Rhea)が歌う楽曲です。

これはネットでも賛否が話題に上がりましたが、私は酷評とは裏腹に中毒性のある面白い楽曲だと思いました。

他にも地元の若者に酒場で荒々しく声を掛けられるアーサーが一触即発かと思いきや、「地元の英雄だから一緒に写真を撮ってほしい」と頼まれるシーン。

ここではGreta Van Fleet(グレタヴァンフリート)の「Safari Song」が流れていました。

Greta Van Fleetは、海外メディアがロックの未来と賞賛するバンド

彼らはまだ10代のメンバーもいる中、2017年にリリースした『フロム・ザ・ファイアーズ』で、第61回グラミー賞「Best New Artist」を含む4部門にノミネートされています。

新しい英雄となるアクアマンとこれからの未来を担うアーティストを巧みに組み合わせた選曲にも唸らされました。

そしてエンディングは、Skylar Grey(スカイラー・グレイ)が歌う「Everything I Need」

”あなたの全てが私が必要な全てだから”と歌う歌詞は、メラからアクアマンに対して歌ったている歌のようにも思えます。

さらに鍵盤を中心に構成されるしっとりとしたメロディーと透き通った歌声が心地良い楽曲です。

途中に盛り込まれた楽曲は違和感を感じながらも素晴らしいという印象でしたが、最後はきっちりとまとめたのでしょう。

『アクアマン』の評価

アクアマン

トライデントを手にしたアクアマン:©︎2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved”“TM & (C)DC Comics”

・本格的で胸熱なアクション

・映画ファンを虜にする名作のオマージュ

・センスが感じられる音楽

・芸術的な海底の造形物

・街を飲み込む津波と追従するカメラワークの臨場感

・ハーフブリードの葛藤と生物多様性について描くストーリー

全てにおいてマイナスの要素が見当たらず、とにかく称賛する箇所しか見当たらない作品だったと思います!

DCシリーズということで、これからも続編がある様なエンディングは、これから始まる壮大なストーリーの伏線という感触を残しました。

個人的にはこれまでのDCシリーズの中でも最高傑作だったと思います!

『アクアマン』(2018)のまとめ

アクアマン

アクアマン:©︎2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved”“TM & (C)DC Comics”

ここまで『アクアマン』(2018)の魅力を書いてきました。

近年頻繁に観られるヒットしたら続編を作る様なエンディングには辟易させられますが、本作は続編ありきで製作されており、むしろ今後の楽しみが3つできました!

1つ目は、オームから貰った武器にDIYで改良を加える魅力あるキャラクターのブラックマンタがどの様に登場するのかということ。

2つ目は、これからのDCシリーズでアクアマンが他の作品と、どの様なクロスオーバーを観せるのかということ。

最後に、DCがこれからどの様な展開を観せてくれるのかということ。

以上の3点に注目しながら、新たな始まりとなる壮大なストーリーに期待したいです!

そして、DCEUの次回作に当たる『シャザム!』の感想はこちら。

DCEUシリーズの時系列とあらすじのおさらいはこちら。

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