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トランスフォーマーシリーズ最高傑作、映画『バンブルビー』の魅力を解説【あらすじ、感想、ネタバレあり】

トランスフォーマーの人気キャラクターであり、シリーズ初のスピンオフとなる『バンブルビー』が2019年3月22日に全国公開されました。

トランスフォーマーの舞台から20年前となる本作は、アメリカの批評サイトRotten Tomatoesで100%中に93%とシリーズ最高評価を獲得。

「これまでの『トランスフォーマー』シリーズとは異なる傑作」という声も多い『バンブルビー』の感想を紹介していきます。

『バンブルビー』の作品情報とキャスト


バンブルビー (吹替版)

作品情報

原題:Bumblebee
製作年:2018年
製作国:アメリカ
上映時間:114分
ジャンル:SF、アクション

監督とキャスト

監督:トラヴィス・ナイト
代表作:『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』

出演者:ヘイリー・スタインフェルド/吹替:土屋太鳳(チャーリー・ワトソン)
代表作:『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』『スパイダーマン:スパイダーバース』

出演者:ジョン・シナ/吹替:楠大典(ジャック・バーンズ)
代表作:『ザ・ウォール』『ブロッカーズ』

出演者:ジョージ・レンディボーグ・Jr/吹替:志尊淳(ギレルモ・“メモ”・グティエレス)
代表作:『アリータ:バトル・エンジェル』『Love,サイモン 17歳の告白』

『バンブルビー』あらすじ

バンブルビーが変形する黄色のビートルとチャーリー:IMDb

学校でも家庭でも自分の居場所を見つけられない思春期の孤独な少女チャーリー。

彼女は、父親に先立たれた悲しみからまだ立ち直れずにいる。

ある日、チャーリーは海沿いのスクラップ置き場で、古びたの黄色いビートル(世界的に有名なコンパクトカー)を見つける。

自分の車が無く、原付を運転していた彼女は、一目惚れしたこのビートルをスクラップ置き場の管理人から誕生日に貰うことを強引に約束する。

やっとの思いで修理をしたビートル自宅のガレージに持ち込むと、このビートルがただの車ではないことに気づく。

チャーリーは黄色いビートルが持つ秘密を解明し、地球に訪れようとしている危機を救うことができるのか!?

『バンブルビー』の3つの見どころ

バンブルビーを追うシャッターとドロップキック:IMDb

見どころ①:トランスフォーマーの造形

トランスフォーマーといえば、ロボットが車や戦闘機に自在に変形することが大きな特徴。

車から人型の機械への変形シーンは何度観ても男心くすぐられます。

さらに、これまでのシリーズとは異なるナイト監督のトランスフォーマーの造形へのこだわりにも注目です!

見どころ②:80年代の雰囲気

本作の舞台となるのはトランスフォーマーシリーズの20年前となる1987年が舞台。

それだけに当時を感じさせるファッションや音楽が多彩に盛り込まれており、ノスタルジックな雰囲気を醸し出していました、

見どころ③:少女の成長とバンブルビーとの絆を描く

本作は大迫力のロボットアクションという作品ではありません。

アクションは二の次であり、むしろ本作の主人公となる思春期の女の子、チャーリーの成長バンブルビーと築き上げる絆にフォーカスして描いている本作に感動させられます!

『バンブルビー』の感想 ※以下ネタバレあり

バンブルビーを抱きしめるチャーリー:IMDb

これまでの『トランスフォーマー』シリーズは、『ザ・ロック』(1996)や『バッドボーイズ』(1995)などを手掛けてきたマイケル・ベイ監督がメガホンを取ってきました。

男心を熱くたぎらせる迫力のアクションと恋愛描写も多いシリーズであり、全体的にハリウッド的という印象を感じました。

しかし、今回の『バンブルビー』では、トラヴィス・ナイト監督に変更となり、製作陣も一新されています。

既存路線からの変更に不安を感じた方も少なくなかったと思いますが、本作はそんな不安も一掃し、シリーズ最高傑作といっても過言ではないといえる作品になっていたと感じました。

では一体『バンブルビー』の素晴らしかったポイントを具体的に書いていきます。

チャーリーとバンブルビーの共通点

メモとチャーリー:IMDb

本作の最大の特徴は、何と言ってもチャーリーの成長とバンブルビーの絆を描く作品になっているということ。

これまでのハリウッド的な魅せ方ではなく、ストーリーに重きを置いていたことが特徴的でした。

このことについて説明するために、まず主人公となるチャーリーについて説明していきます。

チャーリーという女の子

バンブルビーと出会う前の彼女の特徴をまとめると以下の通りです。

チャーリーという人物

・学校に馴染めていない

・家庭に居場所がない

・車の修理に知見があり、シボレー・コルベットC1型を修理している

・父との思い出のあるバンドThe Smiths(ザ・スミス)が好き

・毎朝8:00のアラームで起床する

・服装はThe Smiths(ザ・スミス)をはじめとしてバンドTシャツが中心

以上の要素からチャーリーのパーソナリティーについて、かなり整理できたと思います。

普通の女の子ではあるのですが、負けん気が強く、彼女の心は、亡くなった父親が中心となっているように描かれています。

父の死を受け入れられずに家庭でも学校でも馴染めなかったチャーリーが見つけた黄色いビートルが、実は活動を休止していたバンブルビーことB-127と呼ばれるトランスフォーマーでした。

チャーリーは、ガレージで車から本来の姿に変形した彼に「バンブルビー」と名付け、地球のことを教えていきます。

それでは、このバンブルビーとは何者なのかということを以下に記します。

バンブルビーとは何者なのか?

バンブルビーは、トランスフォーマーであり、黄色いビートルに変形することが可能なオートボット。

ちなみにバンブルビー(bumblebee)というのは、英語でマルハナバチ(丸花蜂)を意味する単語です。

彼は、ディセプティコン(トランスフォーマーと敵対する存在)によって故郷の星(サイバトロン星)を無くしています。

オートボットのリーダーであるオプティマス・プライムの指令で、地球に飛来したバンブルビーは、ブリッツウィング(ディセプティコンの航空兵)によって記憶コアを破壊されました。

これによってバンブルビーは、記憶を無くした上に、故郷もない孤独な存在。

そんなバンブルビーとチャーリーが出会い互いの絆を深めていくバディムービーとなっていました。

彼らはともに孤独を感じて生きている似た者どうしなのだと思えます。

チャーリーの成長を描くストーリー

オーティス、サリー、チャーリー:IMDb

普通の女の子であるチャーリーが、バンブルビーとの出会いという稀有な経験をしたことで、「自分は何だってできる」のだと気づいていく様子が印象的でした。

特別な能力が無くても思いの強さでバンブルビーを守り、助けに向かう姿が感動的です。

バンブルビーとの出会いがきっかけとなり、チャーリーは、反発していた家族と和解し、友達もできます。

はじめにチャーリーの家族に抱いた印象は、高校生であるチャーリーの誕生日に、母親は原付の花柄のヘルメット、父親は、「笑顔で前向きな人生を」という本をプレゼントしたことから、ちょっと空気が読めない人のように感じられました。

しかし、家族が一丸となってチャーリーを探し、手助けをする姿を観て、本作を観ている人も「この家族も空気読めないところもあるけど、良いところもあるよな」と思ったはず。

人間同士の絆や関係性を大切にする人間としてチャーリーが成長していく姿に観ている人も勇気付けられたのではないでしょうか。

『バンブルビー』で描かれるメッセージ

『バンブルビー』を鑑賞して2つのメッセージを感じました。

1つ目は誰だって何でもできるという挑戦する心。

2つ目は、姿や形が違っても心を通わせる真の友情。

1つ目は、前述のチャーリーの姿や行動によって思わされるところが多いメッセージです。

孤独に生きていた二人が出会い、心を通わせていく様子は、姿、形など関係なく気持ちがあれば繋がることができるのだと思わされます。

本来の姿が見られたら実験台にされるということを危惧して、人間社会での生き方を教えていく過程は、バンブルビーがまるで赤ちゃんのようにも見える愛らしさがありました。

種族が違うことや多くのトラブルにも見舞われながらも、彼らは友達として絆を深めていくのです。

チャーリーが拾ってきたバンブルビーの壊れた部品を修理したおかげで、バンブルビーは再度動くことができ、破損た言語を発する機能もカーラジオを使って会話をする方法を見出しました。

クライマックスの戦闘シーンでは、バンブルビーが「君に何かあったら困る」と言い、チャーリーを守ろうとしている様子が印象的でした。

カメラワークも戦闘中であっても常に互いの位置が分かるように撮影されていたり、些細な表情の変化も映すことで登場人物の心情が読み取りやすいようになっています。

使命を持って地球にやってきたバンブルビーとともに苦難を越えて二人が成長していく様子に心打たれました。

そして、バンブルビーはディセプティコンを倒すことができ、故郷の仲間との約束を守ります。

チャーリーはバンブルビーとの出会いを通して本当に自分が探していたもの、人との繋がり、家族の暖かさや友人との絆を作ることに成功したことが本作の重要なテーマといえるでしょう。

1980年代を感じる音楽や要素について解説

The Smiths(ザ・スミス)のTシャツを着るチャーリー:IMDb

本作の舞台が1987年となっていることから、作品内では1980年代を感じさせる演出が詰め込まれていました。

今回は、その中から音楽を中心に取り上げていきます。

作品内で使用された音楽やファッション

本作で使用された音楽はどれも時代を代表するアーティストが起用されており、テンションが上がった方も少なくないのではないでしょうか。

以下、私が気づいた範囲で良かった音楽を紹介します。

『バンブルビー』の挿入歌

・The Smiths/ザ・スミス ~ Bigmouth Strikes Again

・BON JOVI(ボン・ジョヴィ) ~ Runaway(夜明けのランナウェイ)

・Duran Duran(デュラン・デュラン) ~ Save A Prayer

・a-ha - Take On Me

・Tears For Fears - Everybody Wants To Rule The World(ティアーズ・フォー・フィアーズ)

・Oingo Boingo(オインゴ・ボインゴ) - Weird Science

・I Can’t Drive 55(非情のハイウェイ55号) - Sammy Hagar(サミー・ヘイガー)

以上のような80年代の楽曲が場面ごとに盛り込まれていることが心地良かったです。

楽曲以外では、チャーリーがThe Smiths(ザ・スミス)Motörhead(モーターヘッド)のTシャツを着ていました。

さらに、メモの部屋には、インディージョーンズ『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981)』のポスターがあり、『遊星からの物体X(1982)』のTシャツを着ていたことに高揚させられました。

そして本作の主題歌となったのは、チャーリーを演じるヘイリー・スタインフェルドの楽曲『Back to Life』

彼女自身が『バンブルビー』の製作過程を通じてインスパイアされたことをテーマにして書き下ろしたという楽曲も素晴らしく、作品に合致している良曲です!

トラヴィス・ナイト監督のこだわり

『バンブルビー』を製作するにあたって、ナイト監督は1980年代のアニメ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」のオリジナルに近いデザインにしたと語っていました。

確かにマイケル・ベイ監督の時よりもトランスフォーマー達が丸みを帯びたデザインにリニューアルされているように感じます。

トランスフォーマーのシルエット、色使い、フォルムにいたるまで独特で記憶に残っているからこそ当時のおもちゃまでデザイナーに見せてナイト監督自身がお願いしたというトランスフォーマーの形こそが監督のこだわり。

そして、愛や友情を前面に押し出していくハートのある映画として完成させた本作は、スティーヴン・スピルバーグ監督の『E.T.』(1982)の影響を強く受けたといいます。

他にも『となりのトトロ』(1988)『アイアン・ジャイアント』(2000)『ヒックとドラゴン』(2010)のような異質な存在と出会った少年少女が自身の世界を広げるさまを描きたかったとも述べていました。

だからスピルバーグ作品に近いものを感じた方も多くいたのではないでしょうか。

『バンブルビー』批判の理由

ジャック・バーンズ少佐とパウエル博士:IMDb

ここまで『バンブルビー』を絶賛してきましたが、本作を批判する声もありました。

その中から代表的なものを2つ挙げると、

・これまでのトランスフォーマーシリーズような派手さがない

・人間関係に終始したストーリー展開が安易

というようなものがありました。

これまでトランスフォーマーシリーズを手掛けてきたマイケル・ベイ監督からトラヴィス・ナイト監督の変更。

さらに本作自体がアクションが中心の作品ではないので、派手さを求めるならば物足りなく感じるかもしれません。

ストーリーの展開として唐突に感じた点は以下の通りです。

・チャーリーがバンブルビーの正体をあっさり隣人のメモに明かしてしまったことから、一気に仲良くなっていく。

・暴君だったバーンズ少佐が、バンブルビーに助けられたことで180度変化する。

以上のようなストーリーは安易とも取れる要素ではあると思います。

おわりに

バンブルビーを運転するチャーリー:IMDb

友情や愛、絆といったテーマを描いていた『バンブルビー』。

本作は『トランスフォーマー』シリーズの新しい可能性を切り開いた作品だと思います。

撮影方法やキャスト、メッセージに至るまでこれまでと全く違う印象を受けた本作は、シリーズ最高傑作といっても過言ではないかもしれません。

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