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4回泣ける映画!?『コーヒーが冷めないうちに』(2018)の評価と感想【あらすじ、感想、ネタバレあり】

2018年9月21日に公開された『コーヒーが冷めないうちに』(2018)。

原作は脚本家兼演出家の川口俊和による同名小説の映画化作品です。

本屋大賞にもノミネートされ、話題を集めた作品が、満を持しての映画化ということで期待も大きい作品でした。

そんな『コーヒーが冷めないうちに』(2018)について感想と見どころをネタバレを交えて紹介していきます。

『コーヒーが冷めないうちに』(2018)の作品情報とキャスト


コーヒーが冷めないうちに

作品情報

原題:コーヒーが冷めないうちに
公開年:2018年
製作国:日本
上映時間:116分
ジャンル:ドラマ

「4回泣けます。」というキャッチコピーで2018年に製作された本作。

個人的に、2018年に公開された作品には、本作の様ないわゆる”感動系”の映画は少なかった印象があったため、映画ファンの期待値も高かったように思います。

全国300館以上で上映され、最終的に興行収入は14億円を突破し、動員数も114万人以上も集めたことからも、十分にヒットしたと言えるのではないでしょうか。

監督とキャスト

監督:塚原あゆ子

出演:有村架純(時田数)
代表作:『ビリギャル』『3月のライオン 前編・後編』

出演:伊藤健太郎(新谷亮介)
代表作:『チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』『覚悟はいいかそこの女子。』

出演:吉田羊(平井八絵子)
代表作:『SCOOP!』『HERO』

原作:川口俊和

『コーヒーが冷めないうちに』(2018)を彩るキャストとしては、松重豊や林遣都、深水元基といった派手さはないけど確かな実力を供えた役者を配置している印象を受けます。

実力派の俳優に加えて、波瑠や伊藤健太郎など今をときめく人気俳優もしっかり起用されているあたりはバランスが取れている感じがしました。

キャストについて注目すべきは、有村架純と吉田羊が『ビリギャル』や『中学聖日記』に続いての共演を果たしたということ。

これまでも共演を重ねてきた2人の掛け合いが興味を引きました。

監督の塚原あゆ子は、ドラマ『アンナチュラル』を手掛けたことはありますが、長編映画の撮影は初めてとのこと。

実直のあるキャストで固めながらも、監督は長編映画で始めてメガホンを取ったという堅実さと挑戦心が交錯する作品としても注目です!

『コーヒーが冷めないうちに』(2018)のあらすじ

接客をする時田数:(C) 2018「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会

舞台となるのは喫茶店「フニクリフニクラ」。

店には、ある1席に座ってコーヒーを飲むと自分が望んだ過去に戻れるという奇妙な噂が存在する。

今日もお店は、噂を聞きつけやって来た訳あり常連客でごった返している。

しかし、過去に戻れる時間は「カップにコーヒーを注いでから、冷めるまでのほんの少しの時間」「どんなに未来を変えようと努力しても、決して現実は変わらない」などのいくつものルールが存在した。

なぜ客たちは残酷な現実が待つと知りながら過去に戻り、大切な人との再会を望むのか?

1杯のコーヒーが織りなす4つの愛の物語。

『コーヒーが冷めないうちに』(2018)の3つの見どころ

時田数と新谷亮介:(C) 2018「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会

見どころ①:過去に戻るために存在する5つのルール

喫茶店「フニクリフニクラ」で過去に戻るためにはクリアするべき5つの複雑なルールが存在し、全てを受け入れた人だけが望みを叶えることができます。

過去に戻れるという魅力的な条件だけにどんなルールなのか気になる展開です!

見どころ②:4つの異なる愛の形

本作では「男女の恋愛」「夫婦の絆」「姉妹への想い」「家族愛」というそれぞれの異なる愛の形を実力派キャスト陣が丁寧に演じ切っています。

4つのエピソードそれぞれでどのようなことが描かれているのかということに注目です!

見どころ③:原作とは違うオリジナルストーリー

映画化された本作で追加されているエピソードは、有村架純演じる主人公と石田ゆり子演じる謎の女とのストーリー

これは原作の小説では存在しない映画だけのオリジナルなので、原作を読んだことがある人も必見です!

【ネタバレあり】『コーヒーが冷めないうちに』(2018)の感想

清川二美子と新谷亮介:(C) 2018「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会

『コーヒーが冷めないうちに』(2018)の盛り過ぎの宣伝

本作は「4回泣ける」というキャッチコピーが映画の宣伝に多用されており、それだけでも強烈な印象を残していました。

そんな本作の感想を結論からいうと「4回」は泣けませんでした。

4つのエピソードになぞらえて4回泣けるといっていることは分かりましたし、宣伝において仕方がないことだと思いますが、過剰に盛り過ぎると冷めます

予告や宣伝を観ただけで嫌気が差すという最も恐るべきパターンに陥っていると感じたことも否めません。

とはいえ、全くもって感動できないというわけでもなく、異なる4つの愛のエピソードに着目すれば特筆すべき点はありましたし、それぞれを上手くまとめていたという印象です。

有村架純をはじめとするキャストの皆さんも変に誇張するわけでもなく、キャラクターの心情を瑞々しく演じ切っていて、物語的にも十分に心がほっこりできる映画だと感じました。

それでは4つのエピソードごとに分解し、感想を書いていきます。

エピソード1.幼馴染への恋心

最初の物語は店の噂を聞きつけやって来たキャリアウーマンの清川二美子とその幼馴染の男性との恋の話。

二美子に対する気持ちを話さずにニューヨークへ旅立った男性の真意を確かめるため、彼女は一週間前に戻る決意をして、主人公の数(有村架純)に時間を戻すように頼みます。

ただ、このエピソードに関しては感動とはほど遠い内容で、正直なところ一般的な男女間の”ちょっとしたすれ違い”といった程度です。

ここで数は、初めてタイムスリップするための細かいルールを説明していくわけなので、ある意味ではお客さんに対する「映画内容の説明」をするための小話と捉えていいかもしれません。

エピソード2.病を患う妻への愛

2番目の物語の主人公はある一組の夫婦。

常連客の高竹佳代は若年性アルツハイマー病を患っており、彼女は病気を患う前に夫にあてて書いた手紙を封筒に入れて大事そうに抱えています

手紙の存在を忘れてしまった佳代に代わり、過去に手紙を受け取りに戻る夫。

そこで初めて妻である佳代の真意を知ります。

個人的には、このエピソードが映画のピークといっても過言ではないほど印象に残りました。

夫婦それぞれを薬師丸ひろ子と松重豊が演じているのですが、この演技がなんとも秀逸。

リアリティを感じる演技に映画の世界観に没頭することができた上、過去に戻った夫である松重が妻である薬師丸に未来の病状を悟られぬよう「大丈夫、大丈夫。」と切なく声を掛けるシーン。

長年連れ添った夫婦の愛情を描くストーリーに、思わず目頭が暑くなりました。

エピソード3.姉を想う妹の気持ち

常連客の平井は疎遠になっていた妹の久美を亡くし、葬式のため故郷へ戻ります。

葬式を終え、喫茶店にやって来た平井はいたって気丈に振る舞いますが、その心は妹を亡くした悲しみに染まっているのです。

以前、久美から手紙を預かっていた数は平井に手紙を渡し、それを読んだ平井は、妹が最後に来店した日に戻る決心をします。

過去に戻り妹とのすれ違いを修復した平井ですが、現実は変わることはなく久美の死を受け入れるしかありませんでした。

平井を演じた吉田羊は演技特有の力みなどを感じず、自然に観ることができました。

この演技力は、さすがと唸らされる安定感を感じます。

しかし、いまひとつ共感できなかったことが、「過去に戻ることにより相手の真意を初めて知る」という内容です。

このエピソードは一つ前の話である夫婦のエピソードを踏襲しただけであり、新しさを感じることができませんでした。

類似している話を同作品内で観せられると感動には結びつかないように思います。

エピソード4.母が消えた真実

物語のラストは母と娘の秘密について。

主人公の数の母親は、亡くなった数の父に会うため過去に戻るのですが、「コーヒーが冷める前に全てを飲み干す」というルールを守れずに生霊状態になってしまいます。

ここで、映画の冒頭から現れ続けている謎の女の正体が数の母親だと判明

常連客の新谷と恋仲になり子供を身ごもった数ですが、生霊になった母を残して幸せになることに疑問を感じ、過去にタイムスリップして母に会いに行くことを決意します。

最終的に母が隠していた真実が明るみになるわけですが、この話がフィナーレだけあってエピソードには急な展開やご都合主義な要素が増えます。

例えば、「コーヒーは数の家系の人間が入れないと過去に戻ることができない」という設定や「実は過去だけではなく未来にも行くことができる」という事実が突如として出てくること。

さすがにこれらが判明した時は、このエピソードを成立させるために取って付けたような感じが拭えませんでした。

せっかくならもっと丁寧に本エピソードに膨らみを持たせて、他のエピソードを補足的にするなどの工夫が欲しかったと感じます。

最後のエピソードに至るまでの話が比較的上手くまとまっていただけに、焦ってまとめたようなラストに肩を落としました。

『コーヒーが冷めないうちに』(2018)のまとめ

房木康徳と高竹佳代:(C) 2018「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会

4つの愛のエピソードから、今を前向きに生きる大切さを教えてくれる映画『コーヒーが冷めないうちに』(2018)。

実在し得ない内容のため、物語には粗もありますが、異なる視点から描かれる愛の形役者の自然な演技に好感を持つことができました。

このようなこともあり、116分の上映中も最後まで飽きずに鑑賞することができました。

人間なら誰しも大なり小なり後悔を抱えて生きていると思います。

しかし、過去に起こった事実は不変でも、それをどう受け止め、折り合いをつけるかによって未来は変わってくるはず

過去に囚われている人、新たな一歩を踏み出すきっかけを探している人にぜひ観て欲しい作品です!

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