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映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018)が描いた友情を評価と感想を合わせて考察【あらすじ、ネタバレあり】

ゲームの世界の中で、生きるキャラクターである悪役のラルフとバグを持つが、天才レーサーであるヴァネロペ。

彼らが互いの友情を育む物語として、大ヒットを記録した『シュガー・ラッシュ』(2012)

お菓子の国のカラフルな色彩ドットで描かれているレトロで個性的なゲームキャラが可愛らしい作品です。

今回は続編であるシュガー・ラッシュ:オンラインの感想をあらすじとネタバレを交えながら紹介していきます。

『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018)の作品情報とキャスト

ディズニープリンセスと共演するヴァネロペ。シュガー・ラッシュ:オンライン予告:Youtube

作品情報

原題:Ralph Breaks the Internet
製作年:2018年
製作国:アメリカ
上映時間:112分
ジャンル:ファミリー、アニメ

監督とキャスト

監督:リッチ・ムーア、フィル・ジョンストン
代表作:『ズートピア』『シュガー・ラッシュ』

出演者:サラ・シルバーマン / 吹替:諸星すみれ(ヴァネロペ)
代表作:『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』

出演者:ジョン・C・ライリー / 吹替:山寺宏一(ラルフ)
代表作:『僕たちのラストステージ』

出演者:ガル・ガドット / 吹替:菜々緒(シャンク)
代表作:『ワンダーウーマン』

『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018)のあらすじ

インターネットの世界を探検するラルフとヴァネロペ:(C)2018 Disney. All Rights Reserved.

アーケード・ゲームの世界に暮らすキャラクターである優しい心を持つラルフと新たな刺激を求める腕利きレーサーのヴァネロペ。

ある日、自身が住むゲーム「シュガー・ラッシュ」のハンドルが壊れてしまう。

ヴァネロペは、ゲームの電源が抜かれ、住む場所を失う。

彼女を助けたいラルフは、世界最大のネットオークションサービス「eBay」でハンドルが出品されていることを知る。

ハンドルを手に入れるべくラルフとヴァネロペは、インターネットの世界へと飛び込んだ彼らは無事ハンドルを手に入れることができるのか!?

『シュガー・ラッシュ:オンライン』の3つの注目ポイント

未知のインターネットの世界に驚くラルフとヴァネロペ:(C)2018 Disney. All Rights Reserved.

『シュガー・ラッシュ:オンライン』の個人的な注目ポイントを3つにまとめました!

注目ポイント1:ラルフとヴァネロペの友情

前作に続き今回も、ラルフとヴァネロペの友情が中心として描かれていきます。しかし、前作のように二人が手を取り合って仲良く冒険するという物語ではありません。

本作で提示される友情の在り方に注目です!

注目ポイント2:ディズニープリンセス勢揃い!

本作に興味を持つきっかけになる方も非常に多かったのではないでしょうか。CMで多数扱われてた割には、プリンセスの登場シーン自体は少なめです。

プリンセス目当てで鑑賞すると物足りないと思います。

しかし、14人のディズニープリンセスが登場することには大きな意味がありました

注目ポイント3:現代を反映したテーマへの言及

インターネットという広大な空間を、狭い世界であるアーケードで過ごしてきた彼らがどう受け止めるかが繊細に描かれています。

誰もが一度は現実に経験したことがあることと物語が重なり、自然に感情移入することができるはずです。

【ネタバレあり】『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018)の感想と考察

レーサーを迎え入れようとしないキャラクター達:(C)2018 Disney. All Rights Reserved.

『シュガー・ラッシュ:オンライン』は、前作『シュガー・ラッシュ』からの期待に応える完成度でした!

友情”や”変化の著しい現代”をアニメーションの世界で描き出す本作のテーマも納得のいくものだったと思います。

変わらない日常を描く冒頭

シュガー・ラッシュの登場人物:(C)2012 Disney. All Rights Reserved.

平和な毎日を仲間たちと共に賑やかに過ごすラルフとヴァネロペ。

住み慣れた土地で過ごすことは心地良く、何も不自由を感じない生活。

しかし、そんな日常に疑問を感じるヴァネロペは、どこか退屈そう...。

それは「シュガー・ラッシュ」を全て攻略し、連戦連勝しているからでした。

狭い世界の中で同じコースを走り続ける毎日は、良い結果を納めても満足できずにいます。

アップデートされることのないアーケードゲーム

全てを攻略した世界で、繰り返される景色と代わり映えない毎日。

現状に不満を持つヴァネロペと、現状に満足しているのラルフ

彼らの考え方の違いや日常を冒頭で映し出していたことが明確な対比構造になっていました。

自分が勝つと分かっているゲームを毎日やろうとは思えません。

恐らく多くの人がヴァネロペと同じ不満を日常生活に感じた事があるではないでしょうか?

そこで本作の主題が突きつけられます。

本作の根幹となるテーマ

・変わらない日常で満足するのか。

・夢を求めて新たな場所へ向かうのか。

以上の2つの選択は、誰もが直面したことがある問題提起

だからこそ、答えのない問いに揺れ動かされ、本作に感情移入することができました。

煌びやかなインターネットの世界が象徴するものとは?

インターネットの世界を一望するラルフとヴァネロペ:(C)2018 Disney. All Rights Reserved.

シュガー・ラッシュの危機を救うハンドルが、インターネットの世界で手に入れられることを知った二人は、遂に未知の世界に飛び込みます。

飛び込んだインターネットの世界は、人(キャラ)やモノが高速で行き交い、騒がしく、透明で煌びやかな世界が広がっていました。

インターネットの世界を単にインターネットの内部として映し出したのではなく、夢を実現するための新天地のように見えたのは冒頭の前置きがあったからこそ。

新しい環境は、頼れる友達が居なくて不安も大きいですが、夢を掴むために挑戦する価値がある場所に違いありません。

そんな夢や希望に溢れる世界だからこそ、美しく煌びやかに彩られていたのではないでしょうか。

本作は、価値のある挑戦を肯定している作品なのだと読み取ることができます。

インターネットで重要なことを学ぶ

サーチエンジンに話しかけるヴァネロペ:(C)2018 Disney. All Rights Reserved.

これまでアーケードゲームの中でしか過ごしたことがない彼らにとってインターネットは未知の世界。

分からないことばかりで、シュガー・ラッシュのハンドルを探すのも一苦労…。

彼らは「あの賢そうな人に聞こう!」ということで、サーチエンジンに話しかけます。

このインターネットの世界の描き方として特に面白かったポイントが4つありました。

①予測変換を読み上げる、適切な検索条件を提示しないと検索結果を表示できない

②Google、Tumblerのロゴが登場

③ポップアップ広告をゴリ押してくる

④Twitterの鳥が飛び、ツイート内容を表示

まさに現代向けで共感できる内容になっていたことが印象的でした。

やっとの思いで、ハンドルを買うために大手オークションサイト「eBay」にたどり着きますが、オークションの仕組みが分からず、ひたすら大きい数を言いまくるラルフとヴァネロペ。

結果として、元値の150倍近い値段である27,001ドルでハンドルを落札。購入が取り消されないよう42時間以内に入金するためのお金を集める羽目になります。

転機となるシーンに始まり、本作は煌びやかな世界とは対照的なネット社会の恐ろしさを描いてる場面が随所にありました。

動画サイト(本作ではバズチューブ)ではコメント欄を見るなという鉄則

オンラインゲームに熱中する若者

ネットにはウイルスも存在する

など現実に忠実でありながら、インターネットについて学ぶことができる内容をユーモア満点に描く構造に感心しました。

インターネットの世界を見たことはないけれど、もしかしたらこんな感じなのかなと思いましたし、ネット知識の乏しい人にも、意味が分かりやすい内容だったと思います。

選択に揺れる繊細な心情を描く

レーサーであるシャンクとその仲間達:(C)2018 Disney. All Rights Reserved.

ラルフとヴァネロペが歩む道は波乱万丈でしたが、物語は遂に終わりを迎えます。

ラルフがYouTuber(本作ではバズチューブ)デビューして、バズる動画を量産し、大量のいいねを集め、入金に必要なお金を集めます。

このマネタイズ自体も完全にYouTuberと同じなので、本当に時代をよく捉えていると思います。

そして、友情に亀裂が生まれる出来事が起きます。

目的の金額に到達したにも関わらず、ヴァネロペは待ち合わせ場所に現れず、不審に思ったラルフが遂に電話を掛けるシーン。

偶然、携帯に電源が入りシャンクとヴァネロペの会話の内容が聞こえてきます。

ラルフが聞いた内容は、「夢に向かって突き進みたい」というヴァネロペの思いが表面化したものでした。

・アーケードゲームの世界は好きだけど、刺激の溢れるレースの世界に行きたいこと

・シャンクの世界で学びたいことがあるということ

レースのために生まれた彼女にとってこれだけの理由があれば、オンラインゲームの世界に留まる理由としては充分でした。

しかし、ラルフは日常に満足していて、ヴェネロペとは唯一無二の親友。離れ離れになるという選択にラルフが傷ついたことは言うまでもありません。

自分の夢を追うために故郷や親友との別れを決心するヴァネロペは、ラルフを傷つけないように悩んでいる様子がとても健気でした。

ヴァネロペの気遣いも虚しく、裏切られたと感じるラルフの真っ直ぐさをもどかしくも感じます。この決心は、進学や就職で経験のある内容だったので、なおさら彼女の決心を応援したくなりました。

前進するために必要なこと

レーシングカーを運転するシャンク:(C)2018 Disney. All Rights Reserved.

最後に離れ離れになりたくないラルフはヴァネロペを夢中にさせるゲームがつまらなくなればいい。

そう思った彼はスパム広告のスパムリーに相談して、ウイルスをインターネットにばら撒きます。

欠陥に付け入るウイルスは、執着心が強いラルフの悪いところを最大限に伸ばしたものとなり、バグという欠陥を持つヴァネロペを標的にします。

ウイルスがラルフを模倣したものになったため、ラルフは自身の性格を省みることになります。

彼は、自分の弱さを受け入れ、寂しくてもヴァネロペの夢を尊重する姿勢が自分に欠けていたと気づきウイルスを排除することに成功します。

ラルフは自分が間違っていたと認め、親友のことを第一に考えました。

彼は間違いも犯してきましたが、根はとても優しく、強いと思います。

本作の主題だった何も変わらない日常で満足するのか、夢を求めて新たな場所へ向かうのかという選択の答え。

選択に正解はありませんが、夢を追う人の意志は誰にも妨げることはできません。

変わり続ける時代を受け入れて、その流れを汲み込んでいかなくては進歩がないということ。

前進するために変化を受け入れることの重要性が製作者のインタビューからも分かりました。

ディズニー・プリンセスは、憧れの女性像の象徴だ。プリンセスをプリンセスたらしめるものは何か。

華やかな衣装、側には王子様…。そんなプリンセス像は、時代と共に大きく変化した。

『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018)のラスト!ラルフとヴァネロペが見つけた真の友情とは?

二人は離れ離れになり、互いの近況を話し合う様子も本作では描かれていました。

楽しそうに電話をする様子は、単身で上京した子どもと親のようにも思えます。

本作は、デジタルとアナログ、老人と若者に代表されるような二極構造で時代の変化を巧みに切り取っている作品です。

そして本作のテーマである友情と将来への選択

真の友達とは、ずっと側に居てくれる存在ではなく、離れていても理解してくれる存在のことだと捉えられる内容に共感できました。

そして、”神聖なもの”と考えられてきたプリンセスを登場させたり、インターネットの世界でマーベルやピクサーが登場させたりすること。

このような演出も変化を受け入れて新しいものを生んでいくという製作者の意志を強く感じる部分でした。

『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018)の残念だった点

ラルフと話すイエス:(C)2018 Disney. All Rights Reserved.

本作は全体を通じて面白いと感じる内容だったのですが、残念だった点がいくつかありました。

1.ラルフの行動に共感できない

・八つ当たりでインターネット上の公共物を破損

・故意ではなかったとしても、盗み聞きをする

・資金を作るために車を盗難しようとする

・ウイルスを持ち込みサイバーテロを起こす

など思いつくだけでもかなりの蛮行が見受けられました。

これらの行動は、確かにラルフの真っ直ぐすぎる友情以前に倫理観として疑問には思います。

理由の裏付けが友情のためとはいえ、これは共感しにくい行動でした。

2.新しい出会いの先にある交流が描かれていない

インターネットの世界なら高速化した通信で、互いの世界を行き来することもできるはず。

それにも関わらず、お世話になった人々に恩返ししている描写もない上、会う約束をしていたのはラルフとヴァネロペのみ。

彼らの独壇場過ぎる展開が多かったことが残念でした。

『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018)のまとめ

ラルフとヴァネロペ:(C)2018 Disney. All Rights Reserved.

変化を受け入れることは前進するために重要なこと。

そして、真の友情を見つける彼らの成長物語としてまとまっていた『シュガー・ラッシュ:オンライン』。

本作を通じて故郷を離れ、夢を追う決心をした当時の自分を思い出し、感動しました。

そして、ストームトルーパーやC-3PO 、バズ・ライトイヤー、ダンボ…。数え切れないほど映画のキャラクターも登場し、映画ファンの心も掴む本作をぜひ見てみてください!

本作の他にも名作アニメを紹介しています。

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