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【いじめを正当化?】聲の形の考察、伝えたいことや主題、結末や評価を解説

『聲の形』(2016)は、耳が聞こえない少女をいじめてしまったことで罪の意識を背負ってしまう男子を描いたアニメーション映画です。

原作は「このマンガがすごい!」や「マンガ大賞」などで高い評価を受けた、大今良時による漫画『聲の形』。

本作は、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞、日本映画批評家大賞アニメーション部門作品賞など様々な映画賞を受賞しました。

いじめや罪と罰、人との繋がりなど深いテーマを描いた『聲の形』(2016)について、感想・考察、伝えたいことや主題、結末や評価を解説していきます!

【『聲の形』(2016)の評価】

項目 評価 点数
知名度 ★★★★★ 90点
配役/キャスト ★★★★☆ 80点
ストーリー ★★★★★ 90点
物語の抑揚 ★★★★☆ 85点
テーマ性 ★★★★★ 90点
キャラクター ★★★★☆ 85点
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『聲の形』(2016)の作品情報


映画『聲の形』Blu-ray 初回限定版

製作年 2016年
原題 聲の形
製作国 日本
上映時間 129分
ジャンル アニメ
監督 山田尚子
脚本 吉田玲子
原作 聲の形
主要キャスト 入野自由/松岡茉優(石田将也)

早見沙織(西宮硝子)

悠木碧(西宮結絃)

小野賢章(永束友宏)

『聲の形』(2016)の概要

石田と西宮:ⓒShochiku Co., Ltd.

ある日、小学生の石田将也のクラスに耳が聞こえない西宮硝子が転校してくる。

硝子はノートに筆談をしてクラスメイトと仲良くなろうとするが、やがて将也たちは硝子をいじめるように。

硝子の補聴器が何度も紛失・故障したことで学級会が開かれ、将也がいじめの首謀者にされてしまう。

それがきっかけで将也は逆にいじめられるようになってしまい、他人に対して心を閉ざすように。

高校生になった将也は、硝子に会いに行き、手話で「友達になってほしい」と話しかけたが、硝子の彼氏だと名乗る少年に阻まれ、硝子に会えなくなる。

『聲の形』(2016)の登場人物・キャラクターを紹介

石田と西宮:ⓒShochiku Co., Ltd.

ここでは、『聲の形』(2016)の登場人物・キャラクターを紹介していきます。

石田将也(声優:入野自由/松岡茉優)

石田将也:ⓒShochiku Co., Ltd.

小学生の時、転校してきた西宮硝子をいじめた主犯格になってしまい、周囲から孤立してしまう。

それ以来、孤独と罪の意識に苛まれるように。

高校生になり、手話を覚え、硝子に会いに行く。

声を担当したのは、小学生時代が女優の松岡茉優、高校生時代が声優の入野自由が務めました。

西宮硝子(声優:早見沙織)

西宮硝子:ⓒShochiku Co., Ltd.

先天性の聴覚障害を持つ少女。

小学生の時、転校した学校で石田将也に補聴器を壊されるなどのいじめを受けてしまう。

自己肯定感の低い少女でもある。

声を担当したのは、声優の早見沙織です。

西宮結絃(声優:悠木碧)

西宮結絃:ⓒShochiku Co., Ltd.

写真の趣味を持つ西宮硝子の妹。

自分のことを「オレ」と呼び、口調も少年のようだが女子中学生である。

大好きな姉を守ろうとするため強くふるまう。

声を担当したのは、声優の悠木碧です。

永束友宏(声優:小野賢章)

永束友宏:ⓒShochiku Co., Ltd.

高校時代の将也のクラスメイトであり、将也の初めての友達。

将也と同じように孤立していたが、将也と行動を共にするようになる。

将也を「やーしょー」と呼び、”親友”(ビッグフレンド)だと思っているユーモラスなキャラクター。

声を担当したのは、声優の小野賢章です。

植野直花(声優:金子有希)

植野直花:ⓒShochiku Co., Ltd.

石田将也の小学生時代のクラスメイト。

女子グループの中ではリーダー的な存在。

素直で言いたいことをはっきり言う性格のため、周囲とぶつかることが多い。

声を担当したのは、声優の金子有希です。

『聲の形』(2016)の感想と考察

石田と西宮:ⓒShochiku Co., Ltd.

『聲の形』(2016)の感想

『聲の形』(2016)は、ヴィジュアルからして一見ライトな作品に見えますが、いじめや罪と罰、人との繋がり、友情を描いた非常に深いテーマのある作品です。

そのため、とても考えさせられる作品。

例えばいじめ。

本作で小学生時代の石田将也は西宮硝子をいじめるのですが、将也はそのことで罪悪感を持ってしまい、高校生の時、自殺しようとします。

いじめはいじめた側が確かに悪いのですが、それだけではないのではと、本作を観ると考えてしまいます。

いじめられた側にも何かしらの原因があり、いじめに加担しなかったとしても、見て見ぬふりをする周りの人も悪いのではないでしょうか。

規模を大きくして考えれば、人類の紛争も戦争も突き詰めていけば、学校のいじめと根本的なものとしては大して違いはありません。

本作は相手をそして自分を「赦す」ことで人との繋がりが生まれました。

私たち人間が平和に生きていく重要なカギは「赦し」ではないかと思うのです。

犯してしまった罪は消えることがないし、その過去は変えることができません。

だからこそ、それらを赦し、これからの未来を変えていくべきなのではないでしょうか。

『聲の形』(2016)の考察

ひどい作品!?いじめを扱った『聲の形』(2016)が批判された理由を考察

『聲の形』(2016)が批判された理由は、いじめを正当化しているからだと考えられます。

批判的な意見として「感動ポルノ」だという批判がよく上がっています。

いじめられた側の西宮硝子が聖女のように皆を許し、いじめをした石田将也が救済されるというストーリーに嫌悪してしまうのではないでしょうか。

また、聴覚障害を持つヒロインにしたことも少なからず批判の原因になっていると思います。

補聴器を無理矢理外して捨てたり、上手く発音できないのを真似して笑ったりなど、いじめ方が酷いシーンがあります。

それが障害者をダシにしていると感じてしまっても無理はありませんし、そんないじめ方をされたにも関わらず、将也を好きになってしまう硝子の気持ちを理解するのは難しいでしょう。

『聲の形』(2016)の伝えたいこと、本質的なテーマとはなにかを考察

感想でもふれましたが、『聲の形』(2016)の伝えたいこと、本質的なテーマはコミュニケーションの難しさであり、「赦し」でしょう。

いじめや障害にフォーカスされ勝ちですが、実は本質的なテーマは、コミュニケーションの難しさと「赦し」だと思います。

例え耳が聞こえたとしても、私たちはコミュニケーションを完璧にとることは難しいのではないでしょうか。

上手く気持ちが伝わらなかったり、本当のことを言えなかったり、それが原因で誤解を生んでしまったりなどの経験をした人も多いのではないかと思います。

本作ではそんなコミュニケーションの難しさを伝えていました。

もう一つは「赦し」。

この「赦し」とは、罪を犯した人をゆるすという意味。

本作では様々な赦しが描かれています。

将也は硝子をいじめた罪の意識に苛まれ、死ぬ事を考えていましたが、自分自身を赦したこと、いじめていた将也を硝子が赦したこと、いじめていた過去を知った永束たちが将也を赦したこと。

他にも多くの「赦し」が本作ではありました。

「赦す」というのはとても難しいことではありますが、それ故にとても大切なことであり、人類が平和になるためのカギ、そして人間の器を大きくしてくれるものなのではないかと思います。

『聲の形』(2016)の疑問や裏話・トリビアを解説

西宮と西宮の母:ⓒShochiku Co., Ltd.

『聲の形』(2016)のキーワード・伝えたい言葉を解説

“ゆるされたい”です。

生きていたら、失敗したり、傷ついたり、傷つけてしまったり、どうしようもない状況になってしまったりすることがあると思うんですけど、それでも生きていけるし、生きていっていいという、そういう希望を描きたいと思いました。

https://animeanime.jp/article/2017/09/26/35438.html

文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞記念のインタビューで山田尚子監督は、『聲の形』(2016)のキーワードについて、このように答えています。

本作を批判的に観た人は、“ゆるされたい”というキーワードを意識、自身の過去のことも顧みながら観てみてはどうでしょうか。

作品の評価が変わるかもしれません。

硝子の好きな花、日日草の花言葉の意味を解説

硝子の好きな花、日日草の花言葉は、「楽しい思い出」「友情」です。

他には、「優しさ」「生涯の友情」があります。

日日草の花言葉を知っていると、硝子がいかに友達や思い出が欲しかったのかが分かるのではないでしょうか。

硝子がいじめに耐えたのは、「友達が欲しい」「思い出が欲しい」という純粋な思いからなのではないかと思います。

硝子のメールアドレスの由来

「nichinichisou0607」というのが硝子のメールアドレス。

このメールアドレスの由来は、「nichinichisou」が、硝子の好きな花「日日草」であり、「0607」が硝子の誕生日「6月7日」が由来になっています。

『聲の形』(2016)が炎上した理由、賛否両論分かれた評価を解説

石田と西宮:ⓒShochiku Co., Ltd.

感動したという評価

生きていたら、失敗したり、傷ついたり、傷つけてしまったり、どうしようもない状況になってしまったりすることがあると思うんですけど、それでも生きていけるし、生きていっていいという、そういう希望を描きたいと思いました。
https://animeanime.jp/article/2017/09/26/35438.html

前述した山田尚子監督のインタビューに感動する要因が集約されていると思います。

つまり、いじめた将也の気持ちと、罪の意識、そして“赦し”、人との繋がり(コミュニケーション)という深く繊細なテーマを丁寧に描いたことに感動したと言えるでしょう。

今まで生きてきて、人を傷つけたこと、過ちを犯してしまったことが一切ないと断言できる人などいないのではないでしょうか。

考察でもふれましたが、本質的なテーマを読み解かないと感動できないかもしれません。

【いじめの正当化?】不快、つまらないと言われた理由

不快、つまらないと言われた理由を取り上げてみます。

・ストーリーがいじめた側および健常者に都合よすぎて大嫌い

・主人公はいじめたことによって人気者から転落して暗い人生を送ってるんだけど、だからって許されるどころか恋に落ちるとか、差別やいじめなめすぎだろ

・いじめ方はひどいし、残酷だし、普通ならとてもあんなことをされて、また数年後友達になろうなんて到底思えない

という不快、つまらないという声があります。

要は、「いじめた人間が救われる」というのが不快感に繋がっているのではないでしょうか。

「まともな人間にでもなったつもり?気持ち悪いんだよ」

これは硝子の妹、結弦が将也に放ったセリフですが、これこそ視聴者の不快感を代弁したセリフなのではないかと思います。

確かに、「いじめた人間が何を今さら」と感じるのは、普通の感覚でしょう。

しかし、ここで止まってしまうと不快感しか残りません。

本作の良さや評価できる点は、さらにもう一歩進んだ先にあるのではないかと思います。

『聲の形』(2016)の最後は? ラストシーンや結末を解説

石田と西宮:ⓒShochiku Co., Ltd.

『聲の形』(2016)の結末・ラストシーン

『聲の形』(2016)の結末で、将也は意識不明の重体から回復し、退院することに。

将也は硝子と一緒に学園祭に向かいますが、他人の視線が気になってしまい、トイレに閉じこもってしまいます。

そこへ友人の永束がやって来て、泣きながら謝罪。

トイレを出た将也は、川井、真柴、学園祭に遊びに来ていた植野、佐原らと文化祭を回ることになり、涙を流すというラストになりました。

『聲の形』(2016)の最後の解釈と考察

『聲の形』(2016)の最後で、なぜ将也は泣いたのでしょうか。

将也は長い間苦しんできた罪の意識や、他人を受け入れない自分から解放されたからなのではないかと思います。

つまり「生きていていいんだ」と思えたからなのではないでしょうか。

将也は、他人に心を閉ざし、死ぬことを考えていましたが、過去や罪、人と向き合うことで変わっていくのです。

自分を赦し、人を受け入れた結果がラストの涙に繋がったのではないかと思います。


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【レビュー】『聲の形』(2016)の評価・評判

西宮硝子:ⓒShochiku Co., Ltd.

【つまらない?】低評価のレビュー

『聲の形』(2016)の低評価レビューはどのようになっているのでしょうか。

映画のレビューサイトをまとめてみると、

『聲の形』(2016)の低評価レビュー
Filmarks:★☆☆☆☆ 1.3
「情報を詰め込み過ぎてストーリーの展開が遅く、テンポが悪い」
映画.com:★★☆☆☆ 2.0
「キャラクターは、めっちゃ可愛かったり、背景とかは凄く綺麗で、映像はめちゃめちゃ良かったけど、とにかく内容が暗い…」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★☆☆ 3.0
「一体何を伝えたいのかよくわからない。詰め込みすぎに感じる」

という低評価レビューがありました。

「詰め込み過ぎ」「重い」という低評価レビューが多いです。

確かに本作は、いじめや自殺を取り扱っているため、重く感じてしまう人がいるのも否めません。

また、他にもディスコミュニケーションなど多くのテーマを取り入れているので、「詰め込み過ぎ」だと感じてしまうのでしょう。

【面白い?】高評価のレビュー

『聲の形』(2016)の高評価レビューはどのようになっているのでしょうか。

映画のレビューサイトをまとめてみると、

『聲の形』(2016)の高評価レビュー
Filmarks:★★★★★ 5.0
「これ以上の映画はないと言うくらい素晴らしい映画です!!音も、凄く繊細で、絵もすごく綺麗でした」
映画.com:★★★★☆ 4.0
「感動して何度も繰り返し観てしまいました」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★★★ 5.0
「すごく良く作られていて、ストーリーも良く、キャラクターも良かった。最後のシーン泣けた」

という高評価レビューがありました。

「感動する」「泣ける」「映像が奇麗」という高評価レビューが多数!

また、キャラクターを評価する声や「考えさせられる」というレビューも多かったです。

映像はとても奇麗でしたし、「泣ける」というのも納得の完成度。

日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中4.0という高評価に。

全体的に高評価の多い結果となりました。

海外の反応

『聲の形』(2016)は、世界30の国と地域での世界配給が行われました。

海外でも評価は高いようです。

海外の反応を取り上げてみましょう。

海外の反応

・「本作は緻密で、感覚に訴えてくる繊細さを持った面白い映画である」(イギリス)

・「力強く感動的であり、驚くほど素晴らしい」(イギリス)

・「山田尚子監督の演出は繊細であり、そのアニメーションは美しい」(オーストラリア)

・「思春期の傷つきやすさや、他にない10代の人生の激変する危難に対し、本物の表現をもって共鳴している」(香港)

受賞はなりませんでしたが、国外の賞では、アヌシー国際アニメーション映画祭、シッチェス・カタロニア国際映画祭、アジア太平洋映画賞にノミネートされました。

『聲の形』(2016)の総合評価:深いテーマで考えさせられる物語

石田将也:ⓒShochiku Co., Ltd.

深いテーマと映像美で魅了した『聲の形』(2016)。

賛否両論があり、とても考えさせられる作品になっています。

私たち人間はどこかしら欠点があり、それをお互いに許しながら生きていくべきなのではないでしょうか。

本作は私たちが生きていく上で大切なものは何かも教えてくれます。

ぜひ多くの人に観ていただきたい作品です。

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