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雲の向こう、約束の場所_感想・考察

『雲のむこう、約束の場所』(2004)は、南北に分断された架空の日本を舞台にしたSF青春アニメーション映画です。

監督は新海誠。

本作は毎日映画コンクールアニメーション映画賞、東京国際アニメフェア2003表現技術賞などの映画賞を受賞しました。

新海誠監督初の長編アニメーション作品となった『雲のむこう、約束の場所』(2004)について、感想・考察、舞台や聖地・主題歌を解説していきます!

【『雲のむこう、約束の場所』(2004)の評価】

項目 評価 点数
知名度 ★★☆☆☆ 40点
配役/キャスト ★★★☆☆ 60点
ストーリー ★☆☆☆☆ 20点
物語の抑揚 ★★☆☆☆ 40点
映像美 ★★★★☆ 85点
音楽 ★★★★☆ 80点

目次

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の作品情報


雲のむこう、約束の場所

製作年 2004年
原題 雲のむこう、約束の場所
製作国 日本
上映時間 91分
ジャンル アニメ
監督 新海誠
脚本 新海誠
主要キャスト 吉岡秀隆(藤沢浩紀)

萩原聖人(白川拓也)

南里侑香(沢渡佐由理)

石塚運昇(岡部)

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の概要

浩紀、拓也、佐由理:ⓒコミックス・ウェーブ

南北に分断された日本。

中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は、国境の彼方にそびえる塔まで、飛行機ヴェラシーラを作って飛ぼうという計画を立てていた。

これは浩紀と拓也の秘密であったが、浩紀がうっかりしゃべってしまったせいでクラスメイトの沢渡佐由理にバレてしまう。

浩紀、拓也、佐由理の3人は、佐由理を塔まで連れていくという約束を交わす。

しかし、佐由理は突如、浩紀と拓也の前から姿を消してしまい、その3年後、彼らは佐由理が眠り続けていると知るのであった。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の感想と考察

浩紀、拓也、佐由理:ⓒコミックス・ウェーブ

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の感想

『雲のむこう、約束の場所』(2004)は、新海誠監督らしい映像美と音楽が印象的な映画でした。

特にクライマックスシーンは圧巻!

東京国際アニメフェア2003表現技術賞(パイロット版)を受賞しているだけあって、空や飛行機の描写に惹きこまれます。

また、劇中では社会現象を巻き起こした新海誠監督の代表作『君の名は。』(2016)を彷彿とさせるような美しいシーンもありました。

音楽の美しさも評価できるポイントであったと思います。

ただ、欠点としては、まず(ユニオンの塔が何か、日本の状況など)設定が分かりづらく、「ユニオン」「ウィルタ解放戦線」など本作の専門用語があり、何のことか説明もないままストーリーが展開していくので、ストーリーの全容がつかみにくいです。

そのため登場人物の行動理由(なぜそのような行動をとるのか)もよく分からないので、感情移入しにくいという点も。

また、「ナノネット」「平行宇宙」など小難しい用語も多く出てきて、しかも説明もないのでよく分かりません。

壮大なSF作品だというのは感じますが、製作者側が描きたい世界だけを描いて、視聴者を置いてけぼりにしていると言ってもいいでしょう。

謎が多く残ってしまう理解しづらい作品。

おそらく1回観ただけで、本作を完璧に理解できている人はいないのではないかと思います。

それくらい意味不明。

これらの点が残念な点ではありました。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の考察

『雲のむこう、約束の場所』(2004)のメッセージについて考察していきます。

本作はSFストーリーではありますが、物語の根幹は浩紀と佐由理のラブストーリー。

いわゆる「ボーイ・ミーツ・ガール」は、新海作品として共通しているテーマではありますが、本作ではどのようなメッセージがあるのでしょうか。

本作は、「自己犠牲の恋」つまり、「本当の恋とは、自分よりも相手を想う事」を描いたのではないかと思います。

本作では「夢」と「眠り」が重要なキーになっており、佐由理が目覚めてしまうことで、浩紀は自分に対する想いを無くしてしまうことも分かっていました。

それでも、佐由理を救うことを優先したのです。

自分よりも相手を思いやる気持ち。

自分よりも相手を大切にする気持ち。

それこそ本物の恋なのではないでしょうか。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)のキャスト・登場人物(キャラクター)を紹介

浩紀、拓也、佐由理:ⓒコミックス・ウェーブ

ここでは『雲のむこう、約束の場所』(2004)のキャスト・登場人物(キャラクター)を紹介していきます。

藤沢 浩紀(ふじさわ ひろき)/声優:吉岡秀隆

本作の主人公で、クラスメイトの沢渡佐由理に恋をしている。

友人の白川拓也とヴェラシーラを作ろうとしていたが、中学卒業後は東京の高校に進学。

バイオリンを弾き始める。

声を担当したのは、俳優の吉岡秀隆です。

白川 拓也(しらかわ たくや)/声優:萩原聖人

理知的な藤沢浩紀の友人。

浩紀とヴェラシーラを作ろうとしていた。

中学卒業後は、地元の高校に進学し、研究室の外部研究員としてユニオンの塔を研究するようになる。

声を担当したのは、俳優の萩原聖人です。

沢渡 佐由理(さわたり さゆり)/声優:南里侑香

本作のヒロインで、浩紀と拓也が恋している彼らのクラスメイト。

中学3年の夏に原因不明の睡眠障害を発症し、浩紀と拓也の前から姿を消してしまう。

東京の病院に入院して眠り続ける。

声を担当したのは、声優・歌手として活動する南里侑香です。

岡部(おかべ)/声優:石塚運昇

米軍の下請けで、ミサイル等を組み立てる蝦夷製作所の社長。

浩紀と拓也がアルバイトに来た時、世話をする。

声を担当したのは、声優・ナレーターとして活躍した石塚運昇です。

【なぜ?】『雲のむこう、約束の場所』(2004)の疑問を解説

浩紀と拓也:ⓒコミックス・ウェーブ

「ユニオン塔」とはなんなのかを解説

「ユニオン塔」とは南北分断後に蝦夷に建設された巨大な塔です。

設計者は佐由理の祖父である物理学者「エクスン・ツキノエ」であるとされていますが、建設目的は不明。

平行宇宙との関連性があるとされています。

ヒロキとサユリが惹かれ合うのはなぜなのかを解説

浩紀と佐由理が惹かれ合うのは、「夢の世界」の影響が大きかったと言えるでしょう。

夢の世界にいる佐由理は、孤独を味わう中で、浩紀の存在とヴェラシーラで塔まで飛ぶという約束を支えにして耐え続けていました。

一方で浩紀も夢の世界で佐由理と出会うことができたのです。

浩紀と佐由理が夢の世界を共有できたこと、夢でのつながりが、お互いに「特別な相手」という認識が生まれたのだと思います。

つまり、浩紀と佐由理は、夢の中で求め合ったことで、惹かれ合うことになったと言えるでしょう。

どうやってサユリは夢から現実の世界に目覚めるのかを解説

佐由理をユニオンの塔に連れていったことで佐由理は現実の世界に目覚めました。

平行宇宙の侵食が停止しているのは、佐由理の眠りがユニオンの塔の活動を抑制していることが原因。

つまり、ユニオンの塔は、佐由理の夢(眠り)と並行宇宙と関連しており、佐由理の目覚めはこの宇宙の消失とほぼ同じであったのです。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の原作や元ネタとは? 映画版との比較

ヴェラシーラ:ⓒコミックス・ウェーブ

『雲のむこう、約束の場所』(2004)は、2005年にエンターブレインから加納新太による小説版が刊行されています。

小説版では、映画で意味不明だったシーンや用語の描写(補足)がされてあるので、映画の内容が分からなかった人は読んでみてはどうでしょうか。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の主題歌・楽曲を解説

東京:ⓒコミックス・ウェーブ

『雲のむこう、約束の場所』(2004)では、美しい楽曲が映画を彩りました。

ここでは本作の楽曲を紹介します。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の楽曲一覧

1.「メインテーマ」

2.「日常」

3.「駅」

4.「サユリ」

5.「二人の計画」

6.「もう一つの夢」

7.「希望と憧れ」

8.「遠い約束」

9.「サユリの旋律」

10.「兆候」

11.「無垢」

12.「夏の終わり」

13.「探求」

14.「世界の見る夢」

15.「誰もいない場所」

16.「孤独」

17.「襲撃~眠り姫」

18.「ひとときの再会」

19.「永遠の夏」

20.「二人の葛藤」

21.「サユリの世界」

22.「タクヤの決意」

23.「ヒロキの旋律」

24.「開戦~ヴェラシーラ」

25.「雲のむこう、約束の場所」

26.「きみのこえ」(川嶋あい)

27.「パイロット版「雲のむこう、約束の場所」」

美しい楽曲と主題歌を収録したサウンドトラックが発売されているので、聴いてみてはどうでしょうか。

『雲のむこう、約束の場所』の舞台・モデルとなった場所や聖地を解説

草原:ⓒコミックス・ウェーブ

『雲のむこう、約束の場所』の舞台・モデルとなった場所は、青森県・津軽半島です。

劇中では、JR津軽線沿線の素朴な景色が再現されました。

本作の公開後は、熱心なファンが訪れる聖地となっています。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の最後は? ラストシーンや結末を解説

浩紀と佐由理:ⓒコミックス・ウェーブ

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の結末・ラストシーン

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の結末で、浩紀は佐由理をヴェラシーラに乗せて、塔まで飛びました。

そこで眠っていた佐由理は目を覚まし、涙を流します。

佐由理に「お帰り、佐由理」と言う浩紀。

最後に浩紀がヴェラシーラからミサイルを発射して塔を破壊するというラストになりました。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の最後の解釈と考察

難解なストーリーであったが故に最後も「なんか分からないけど、終わっちゃった」という感じでしたが、佐由理の涙は印象的でした。

なぜ佐由理は泣いたのでしょうか。

佐由理の涙は浩紀に対する特別な想いが消えてしまった(忘れてしまった)からだと言えます。

その証拠に名前の呼び方が浩紀君から藤沢君に変わっています。

浩紀に対する特別な想いが一体何だったのか、それが分からない苦しさやもどかしさが涙となって現れたのではないでしょうか。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)のその後は?

ラストのその後、佐由理はどうなったのかを考察

冒頭のシーンでは、大人になった浩紀が1人で佐由理のことを思い出しているシーンがありました。

ユニオンの塔(約束の場所)は浩紀と佐由理の恋の象徴でもあったのではないかと思います。

それが消えてしまった。

ということは、浩紀と佐由理の恋は成就しなかったことが分かります。

浩紀と佐由理は別々の道を歩んだと言えるでしょう。

浩紀は佐由理に会いに行かず、思い出の場所を訪れるだけで、しかも制服姿の佐由理を思い出しているということは、もう全く佐由理と連絡をとっていないと推察できます。

佐由理は完全に眠りから覚め、どこかで普通の日常を送っているか、もしくは、塔の設計者エクスン・ツキノエの孫なので、拓也と同じような研究職に就いているかもしれません。

【レビュー】『雲のむこう、約束の場所』(2004)の評価・評判

ヴェラシーラ:ⓒコミックス・ウェーブ

【つまらない?】低評価のレビュー

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の低評価はどのようになっているのでしょうか。

映画のレビューサイトをまとめてみると、

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の低評価レビュー
Filmarks:★★☆☆☆ 2.5
「唐突なSF要素およびその設定の難解さ、展開の軽さというbadなポイントがどうしても否めない」
映画.com:★★☆☆☆ 2.0
「説明不足でわかりくにいし、現実感がないし、はっきり言って無茶苦茶」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★☆☆☆ 2.5
「支離滅裂で、意味不明」

などの低評価レビューがありました。

SFの設定の難しさがややこしく、低評価につながってしまうようです。

低評価のほとんどが「難しい」というものでした。

多くの人が本作を難しく感じてしまっているようです。

【面白い?】高評価のレビュー

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の高評価はどのようになっているのでしょうか。

映画のレビューサイトをまとめてみると、

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の高評価レビュー
Filmarks:★★★★☆ 4.0
「絵がとてもきれい!」
映画.com:★★★★☆ 4.0
「映像が本当に素晴らしかった」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★★★ 5.0
「音楽もいいです、ずっと聞いて入られます」

という高評価レビューがありました。

「映像が美しい」「音楽が良い」という高評価のレビューが多いです。

これらの点は新海誠監督の良さを感じられるのではないでしょうか。

ストーリーは難解ではありましたが、やはり新海誠監督の映像美は素晴らしいものがありました。

日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中3.0という評価に。

全体的に低評価な結果となりました。

『雲のむこう、約束の場所』(2004)の総合評価:難解なSFストーリー

佐由理:ⓒコミックス・ウェーブ

現実とは異なる歴史をたどった日本を描く『雲のむこう、約束の場所』(2004)。

設定が分かりづらく、話が理解しづらい作品ではありますが、新海誠監督が描く映像は美しかったです。

新海ファンならぜひ観ておきたい作品。

SF作品が好きな人ならさらに楽しめるかもしれません。

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