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これぞミュージカルの王道! 名作『雨に唄えば』(1952)の評価や楽曲・挿入歌の解説!【あらすじ、感想、ネタバレあり】
『雨に唄えば』(1952) ©1952-MGM

ミュージカル映画の傑作の一つとして名高い『雨に唄えば』(1952)。

映画全編を観ていなくても、主役のジーン・ケリーが雨の中、主題歌の「雨に唄えば」を踊りながら歌うシーンは観たことがある方は多いのではないでしょうか

アメリカ映画協会(AFI)によるベストミュージカル映画の第1位、アメリカ映画主題歌ベスト100の第3位、アメリカ映画ベスト100の第10位などに選ばれ、未だに語り継がれ愛され続けるミュージカルの王道作品

今回はその『雨に唄えば』(1952)のあらすじ、楽曲、評価、感想を紹介していきます。

『雨に唄えば』(1952)の作品情報とキャスト


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作品情報

原題:Singin' in the Rain
製作年:1952年
製作国:アメリカ
上映時間:103分
ジャンル:ミュージカル

監督とキャスト

監督:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン
代表作:『踊る大紐育』(1949)

製作:アーサー・フリード
代表作:『ブロードウェイ・メロディー』(1929)『オズの魔法使』(1939)

出演者:ジーン・ケリー
代表作:『巴里のアメリカ人』(1951年)『ザッツ・エンタテインメント』(1974年)

出演者:デビー・レイノルズ
代表作:『頃ですモノ! 』(1958)『恋に税金はかからない』(1959)

『雨に唄えば』(1952)のあらすじ

主役のドナルド・オコナー、デビー・レイノルズ、ジーン・ケリー © 1952 - MGM

ハリウッドの人気スター、ドンとリナは幾つもの映画に共演し、プライベートでも恋仲を噂されていたが、実際はリナが一方的にドンに好意を寄せているだけであった。

ある夜、ドンは駆け出しの女優キャシーを見かけ、一目惚れする。

初めは心を閉ざしていたキャシーだが、次第に二人は恋仲となる。

その当時、ハリウッドにはトーキーの波が押し寄せており、ドンが所属する映画会社は当初サイレントで作られたドンとリナの新作映画を急遽トーキーにすることを提案する。

しかし、トーキーの技術がまだ未熟だったことと、リナの肉声がひどいものだったことが理由で映画の試写会では酷評を浴びる。

何とか映画を救おうと考えたドンと親友のコズモ、キャシーは映画をミュージカルにすることを思いつく。

リナの歌と声は美声を持つキャシーが吹き替えることにするが、それを知ったリナは怒り狂い、キャシーを表舞台に出られないようにしてしまう……。

『雨に唄えば』(1952)の感想

ジーン・ケリーとデビ―・レイノルズ © 1952 - MGM

『雨に唄えば』(1952)の感想をダンスや演出の面から書いていきます。

キレッキレのダンス

雨の中歌うジーン・ケリー © 1952 - MGM

まず『雨に唄えば』(1952)の感想として主人公たちのキレッキレのダンスが素晴らしい、ということが挙げられます。

主演のみならず映画の共同監督、振り付けも担当するジーン・ケリーは映画全編にわたり躍動感あるアクロバティックなダンスを披露し、観客を魅了します。

8歳から習い始めたという彼のダンスはバレエ、モダン、タップ、ジルバなど多様な要素を取り入れており、ダイナミック。

ケリーの相棒を演じるドナルド・オコナーのダンスも目を見張る見事さです。

オコナーはヴォードヴィル一家の出身で1歳で初舞台を踏んでいます。

正式なダンスの訓練は受けていないものの、1930年から次々と映画に出演するようになり、1952年に『雨に唄えば』のオファーを受けました。

ケリーもオコナーもダンスの動きがとても速く、映像は早回しされているかと疑うほど。

特にオコナーが即興で歌う「メイク・エム・ラフ」の間、彼は何度もジャンプや、尻もち、広報宙返りを繰り返し、撮影後ケガと疲労から病院に入院する羽目になりました。

そしてケリーの恋人役デビ―・レイノルズも力強いダンスを披露します。

この映画に抜擢された当時、体操選手としての経験はあったものの、ダンスの経験がなかったレイノルズ。

ケリーに踊りの未熟さを指摘され、泣いていたところダンスの巨匠フレッド・アステアに見つかり、彼から特訓を受けるとことに。

特訓の成果もあり、ケリーとオコナーと息の合ったダンスを見事に踊り切りました。

めくるめく変わる豪華絢爛なステージ

映画の中のミュージカル© 1952 - MGM

また『雨に唄えば』(1952)の豪華絢爛なミュージカルのステージも同様に素晴らしいという感想を抱きました。

映画の中度々、物語の筋から逸れて、主人公たちの妄想なのか、よくわからないミュージカルシーンが突如として現れます。

特に13分渡る「ブロードウェー・メロディー」の曲に合わせたドンの回想・妄想シーンでは色鮮やかな衣装を着た多数のバックダンサーが70名も出現し、その舞台である広大なセットがめくるめく変化

まさに視覚的にも聴覚的にも観客を恍惚状態に陥いらせてしまうミュージカルシーンの最高峰

当初このシーンの予算は8万ドルだったのですが、結果として60万ドルが投入されたようです。

『雨に唄えば』(1952)の楽曲・挿入歌は?

ドンとキャシー © 1952 - MGM

はじめに『雨に唄えば』(1952)の作品内で使われる楽曲・挿入歌について紹介していきます。

主題歌である「雨に唄えば」をはじめ、映画中に歌われる数々の曲は、ミュージカルのために改めて作られたものではありません。

作詞を担当したアーサー・フリードと作曲家のナシオ・ハーブ・ブラウンが過去に発表したヒット曲を集めたものです。

主題歌「雨に唄えば」は1929年公開の映画『ハリウッド・レヴュー』で初めて使われ、その後も度々アメリカの大手映画制作会社であるメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の映画の中で使われています。

例えば、ミュージカルのアンソロジー作品『ザッツ・エンターテインメント』(1974)の冒頭でこの主題歌は使われ、1940年にはジュディー・ガーランドが主演の映画でカバーしました。

1971年に公開されたカルト作品『時計仕掛けのオレンジ』では、主人公を演じるマルコム・マクダウェルがレイプシーンにおいてこの曲をアドリブで歌います。

映画のエンドロールではジーン・ケリーの歌うバージョンが使われました。

アメリカ映画協会 (AFI)によるアメリカ映画主題歌ベスト100の堂々第3位に選ばれ、今日に至るまで世界中の著名なミュージシャンやアーティストによってカバーされ、歌い継がれている名曲です

『雨に唄えば』(1952)の評価

圧巻のダンス © 1952 - MGM

公開から半世紀以上経った現在、ミュージカルの金字塔として語り継がれる『雨に唄えば』(1952)ですが、公開時はそこまで話題になりませんでした。

しかし、公開時から俳優の演技は高く評価されており、ドンの親友コズモを演じるドナルド・オコナーはゴールデングローブ賞助演男優賞を獲得。

頓珍漢な大女優リナを演じたジーン・ヘイゲンはアカデミー賞助演女優賞にノミネートされました

脚本を書いたアドルフ・グリーンとベティ・カムデンは全米脚本家組合賞を受賞しています

その後、現代の映画批評家によって『雨に唄えば』(1952)は再評価され、伝説的ミュージカルとしての地位を獲得しました。

AFIのベストミュージカル映画の堂々第1位に選ばれ、2007年には同AFIによるアメリカ映画ベスト100の第5位にランクインしています。

1989年には米国議会図書館の永久保存レジストリ映画に追加されました。

『雨に唄えば』(1952)のまとめ

ジーン・ケリー © 1952 - MGM

ハリウッドの黄金期、またミュージカルの最盛期に作られた『雨に唄えば』(1952)。

現在まで様々なアーティストにカバーされる主題歌と同様、映画も色褪せることなく輝きを放っています

この映画が作られた後、テレビが台頭し、映画業界、特にミュージカルは予算を大幅に縮小せずを得られなくなることに。

ジーン・ケリーはその後MGMとミュージカル作品の制作を試みますが、予算の縮小、契約の制限などからヒット作に恵まれず、結局この映画が彼の華々しいミュージカルキャリアの最後の作品となりました。

ケリーをはじめ、スタッフの全勢力と莫大な費用が投じられたミュージカルの超大作。

耳に残る数々の名曲、豪華絢爛なめくるめく広がる夢のステージ、コメディー要素満載のラブロマンスに浸りたい場合、是非お勧めしたい作品です

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