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性の劇薬_感想・考察

映画『性の劇薬』(2020)は、「性」によって「生」の意味を見出していく二人の男を描いたBL映画です。

監督は城定秀夫。

原作は累計100万ダウンロードを成し遂げた電子コミックで、過激なベッドシーンや調教シーンがあるため、R-18指定となっています。

リアルな性描写が印象的なBL映画『性の劇薬』(2020)について、考察と結末、原作との違いやBLを題材とした性描写を解説していきます!

【『性の劇薬』(2020)の評価】

項目 評価 点数
知名度 ★★★★☆ 80点
配役/キャスト ★★★★☆ 80点
ストーリー ★★★☆☆ 60点
物語の抑揚 ★★★☆☆ 60点
演技力 ★★★★☆ 85点
過激度 ★★★★★ 90点
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『性の劇薬』(2020)の作品情報


性の劇薬 DVDスタンダード・エディション

製作年 2020年
原題 性の劇薬
製作国 日本
上映時間 89分
ジャンル BL
監督 城定秀夫
脚本 城定秀夫
原作 性の劇薬
主要キャスト 渡邊将(桂木誠)

北代高士(余田龍二)

階戸瑠李(綾香)

長野こうへい(遠藤)

『性の劇薬』(2020)の概要

桂木誠:Ⓒフューチャーコミックス

エリートサラリーマンとして働いていた桂木誠は公私ともに順調だった。

ある日、桂木は臨時ボーナスがでたため、両親に旅行をプレゼントするが、その旅行の帰り道、両親は事故死してしまう。

責任を重く感じた桂木は荒れていき、酔った勢いで飛び降り自殺を図ろうとする。

しかし、突然現れた謎の男・余田に自殺を止められる。

生きてしまった桂木は、余田から監禁され、調教されていくことに……。

『性の劇薬』(2020)の感想と考察

桂木と余田:Ⓒフューチャーコミックス

『性の劇薬』(2020)の感想

『性の劇薬』(2020)はBLを題材とした映画なのですが、プレイシーンや調教シーンが生々しく過激です。

そのリアルさは演技であることを忘れてしまうほどで、役者魂を感じました。

まず冒頭から衝撃的。

全裸にされた桂木が暗い部屋のベッドに拘束されて、余田からの激しい調教がスタートするのです。

絶叫を上げ拒絶する桂木でしたが、構わず調教していく余田。

そのシーンは痛々しく、性の生々しさも感じるのですが、生きようとする力強さも感じます。

また、本作は性描写以外にも、「生」と「死」を扱う桂木と余田という二人の男の再生の物語でもあります。

人生で大切なものを失ってしまった桂木と余田。

そんな深い傷を負ってしまった二人が生きようとして体を重ね合うシーンは男同士であるのですが、美しいとすら感じてしまうほどでした。

「BLはちょっと……」と敬遠している方にもぜひ観て欲しい一作です。

ただのBLだけではない、深い人間ドラマでもあるのです。

『性の劇薬』(2020)の考察

『性の劇薬』(2020)の魅力とは何かを考察していきます。

本作では「性描写」が重要な要素となっています。

本作は男同士の過激な性描写はもちろん、監禁・SM・調教も描かれているため実写化は不可能と言われていたそう。

しかし、性描写を余すところなくリアルに描いていました。

それができたのは城定秀夫監督の力量が大きかったのではないでしょうか。

城定監督は、ピンク大賞作品賞やピンク大賞の新人監督賞を受賞した経歴が。

濃厚な性愛シーン演出と卓越したストーリーテリングで映画ファンから熱烈な支持を受けています。

そんな城定監督であったからこそ、モザイクをつけず観客を引きつけるリアルな性描写が撮れたと言えるでしょう。

もちろん、俳優の演技力も素晴らしかったですが、それを上手く引き出した城定監督の熟練した技がなければ、あれほどの美しいシーンは撮れなかったのではないでしょうか。

BL史上初の18禁実写映画ということで、前例のない中での製作だったと思いますが、禁断の世界に踏み込んだ意欲的な作品であると言えます。

オーディションによって選ばれた『性の劇薬』(2020)のキャスト・登場人物(キャラクター)を紹介

桂木と余田:Ⓒフューチャーコミックス

ここでは、オーディションによって選ばれた『性の劇薬』(2020)のキャスト・登場人物(キャラクター)を紹介していきます。

桂木誠(渡邊将)

桂木:Ⓒフューチャーコミックス

エリートサラリーマンとして働く親孝行な青年。

公私ともに順風満帆だったが、両親の死をきっかけに生活は荒れ、自殺を図るまでに堕ちていく。

余田に命を救われるが、監禁調教されてしまう。

演じたのは、映画・ドラマ・舞台と活躍する渡邊将です。

本作が映画初主演作となりました。

余田龍二(北代高士)

余田:Ⓒフューチャーコミックス

外科医として働く男。

ゲイでもある。

飛び降り自殺を図ろうとしていた桂木を救い、監禁調教していく。

演じたのは、映画・ドラマ・舞台など幅広く活躍する北代高士です。

綾香(階戸瑠李)

綾香:Ⓒフューチャーコミックス

桂木の恋人であり、職場の同僚。

演じたのは、元グラビアアイドルで女優として活動する階戸瑠李です。

一般企業に勤めた後、芸能界入りしました。

遠藤(長野こうへい)

遠藤:Ⓒフューチャーコミックス

桂木と同じ会社に勤める桂木の後輩。

演じたのは俳優として活動する長野こうへいです。

『性の劇薬』(2020)の原作や元ネタとは? 映画版との比較

桂木:Ⓒフューチャーコミックス

『性の劇薬』(2020)の原作と元ネタ

『性の劇薬』(2020)の原作と元ネタは、男同士の過激な監禁・SM・調教を描き、累計100万ダウンロードを突破した、水田ゆき作の電子BLコミックです。

2018年6月電子コミックレーベル「ボーイズファン」にて配信開始。

原作はBLウェブコミックの中でも人気・過激ともにナンバーワンと言われており、多数の電子書籍サイトでBLランキング1位を獲得しました。

2019年2月にはジュネットよりコミックス版が発売されています。

ちなみに原作は「淫らに開発される身体」というサブタイトルがついています。

【比較】『性の劇薬』(2020)の原作と映画版の違いは?

『性の劇薬』(2020)の原作と映画版の違いですが、前半の調教シーンはかなり忠実に再現されていました。

拘束器具や調教器具もリアルに再現されています。

しかし、後半からは原作とは違っています。

特に大きな違いが見られたのは、余田の背景(設定)。

原作で余田は元々ゲイ設定ではなく、少年期の経験から消えない「死」を常に抱えていました。

性愛以前に初恋すらわからずに生きてきたゲイでもヘテロでもない人物像であり、だからこそ桂木との繋がりの中で彼自身が再生されていく、という部分が話の肝になっています。

『性の劇薬』(2020)の原題・タイトルの意味とは?

桂木と余田:Ⓒフューチャーコミックス

『性の劇薬』(2020)の「性」は「生」にかかっています。

つまり「性」を実感することで生きる意味を見出していくという意味があります。

死を求めていた桂木は、余田から調教されることで「性」を感じ、生きていることを実感。

そして、タイトルにある「劇薬」は余田からの調教を指しているのではないでしょうか。

桂木にとってみれば、余田からの調教はまさに劇薬

「性」に対しても、「生」に対しても、価値観や生き方さえも変えてしまうほどの劇薬だったと言えるでしょう。

実に奥が深く、インパクトのあるタイトルであると思います。

【なぜ?】『性の劇薬』(2020)の疑問を解説

桂木と余田:Ⓒフューチャーコミックス

『性の劇薬』(2020)の解説①:『性の劇薬』(2020)の内容は調教映画?

『性の劇薬』(2020)の調教・過激描写の解説【セックスシーンも】

『性の劇薬』(2020)の前半では、調教・過激描写のシーンが多くありました。

その調教とは、薄暗い地下室で行われます。

桂木は全裸にされたまま拘束器具をつけられ、前立腺開発器具や指を使われて感じる体に「開発」されていくのです。

それだけでも過激ではあるのですが、本作はさらに過激描写がありました。

陰毛を剃られたり、射精したりするシーンも。

ラストでは男同士の濃厚なセックスシーンもあります。

これほど男同士の濃厚なセックスシーンを描いた映画はないのではないでしょうか。

スタッフや演者の熱量と意欲さを感じる印象的なシーンでした。

『性の劇薬』(2020)のBL・ホモ要素の解説

『性の劇薬』(2020)のBL・ホモ要素はそれほど大きいわけではありません。

男のラブストーリー(BL)であることは間違いありませんが、男同士がただ恋をするというよりかは、調教がメイン。

「死」や「生」というテーマ性が大きいと思います。

BLと聞くと、少年少女マンガのような軽い印象を受けますが、本作は芸術的かつ濃い人間ドラマが描かれています。

『性の劇薬』(2020)の解説②:『性の劇薬』(2020)の主題やメッセージとは?

『性の劇薬』(2020)の主題やメッセージは、「生」と「死」でしょう。

桂木も余田もある日、突如として不幸が襲い、心に傷を負ってしまいました。

そんな二人は死を考えるのですが、二人の出会いは「生」へと向かっていきます。

月並みな言葉ですが、死んでしまったら終わりです。

人生には死んでしまいたくなるような出来事が誰しも襲ってくるのではないでしょうか。

桂木と余田のように何かのきっかけ(人との出会い)でまた、「生きたい」と思えるようになるかもしれません。

本作には、「生きろ」という力強いメッセージが込められているように思います。

『性の劇薬』(2020)の解説③:桂木はなぜ自殺しようとした?

桂木が自殺しようとした理由は、ひどく自分を責めたから。

桂木は会社から臨時ボーナスをもらい、そのお金で両親に沖縄旅行をプレゼントしました。

沖縄旅行から帰ってきた後、桂木が空港に迎えにいくはずだったのですが、桂木は忘れてしまい、両親はタクシーで帰ることに。

しかし、そのタクシーが事故に遭い、両親は帰らぬ人となってしまったのです。

桂木は「自分のせいだ……」と責任を重く感じ、やがて生活は荒れていきます。

会社へ行かなくなり、バーで酔いつぶれた後、ビルの屋上へ行き、飛び降り自殺を図ろうとしました。

『性の劇薬』(2020)の解説④:余田の目的・調教監禁生活を強いる理由とは?

余田の目的・調教監禁生活を強いる理由は、「生」の本能を目覚めさせようとしたから。

実は余田も大切な人を亡くしていたのです。

その大切な人とは、余田の恋人であり同僚の医師。

その恋人が桂木にそっくりであり、余田は桂木に死んで欲しくなかったのです。

そこで余田は桂木を監禁調教して「性」の実感を与え、「生」の本能を目覚めさせました。

『性の劇薬』(2020)の最後は? ラストシーンや結末を解説

余田:Ⓒフューチャーコミックス

『性の劇薬』(2020)の結末・ラストシーン

『性の劇薬』(2020)の結末で桂木と余田は車で墓地に行き、お互いの大切な人の墓参りをします。

その後、余田は桂木と別れて、車を運転し海へ。

余田は服を着たまま海の中へ入っていき、薬を飲んで自殺しようとしますが、後ろから桂木に止められます。

二人はベッドに入り、熱く肌を重ねるというラストシーンになりました。

『性の劇薬』(2020)の最後の解釈と考察

『性の劇薬』(2020)の最後の約5分間にも渡る濃厚なセックスシーンはセンセーショナルでした。

男同士なのでかなり難しいシーンであったと推察できますが、それを感じさせない自然な演技。

役者の熱のこもった演技と監督の熟練した技が成せたシーンと言えるでしょう。

声や表情、体の使い方など良くできていたのではないでしょうか。

二人の役者魂に感服です。

『性の劇薬』(2020)のその後とは?

余田と桂木のその後はどうなるのでしょうか。

ラストで心身ともに深くつながったと言える余田と桂木。

二人は、お互いになくてはならない関係になったと思いますし、恋人同士になるのではないでしょうか。

桂木に関しては、会社を正式に辞めて新しい人生を歩みだすのではないかと思えます。

【レビュー】『性の劇薬』(2020)の評価・評判

桂木と余田:Ⓒフューチャーコミックス

【つまらない?】低評価のレビュー

『性の劇薬』(2020)の低評価はどのようになっているのでしょうか。

映画のレビューサイトをまとめてみると、

『性の劇薬』(2020)の低評価レビュー
Filmarks:★☆☆☆☆ 1.3
「冒頭から主人公の受け入れが早すぎて感情がついていかない。ずっと置いてけぼりくらったまま終わった」
映画.com:★★☆☆☆ 2.0
「劇薬が伝わって来ない。ストーリーのほうを重視して欲しかった」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★☆☆ 3.0
「ビジュアル重視でも演技重視でもなく、ストーリとしてもイマイチななんとも微妙な仕上がり」

という低評価レビューがありました。

低評価で割と多かったのがストーリーに関すること。

「ストーリーがイマイチ」「ストーリーが入ってこない」というレビューがありました。

本作にストーリー性を求めてしまうとつまらなく感じてしまうのかもしれません。

【面白い?】高評価のレビュー

『性の劇薬』(2020)の高評価はどのようになっているのでしょうか。

映画のレビューサイトをまとめてみると、

『性の劇薬』(2020)の高評価レビュー
Filmarks:★★★☆☆ 3.0
「役者さんの熱意と頑張りに拍手したい。絶対に見せないカメラワークも面白かった」
映画.com:★★★★☆ 4.0
「究極の愛のカタチを示す美しいラストの余韻…。絶対見せないカメラワークも映画への違和感を与えない」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★☆☆ 3.5
「死と性、そして生へと至る物語と監禁調教の過激な描写は一見の価値あり」

という高評価レビューがありました。

役者の熱意や演技、カメラワークが高評価となっています。

しかし、全体的にあまり高評価はありません。

まだBLという分野に関して抵抗があるのでしょうか。

どこを見るか、感じ取るかで本作の評価は変わってしまうと言えるでしょう。

日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中3.2という評価になりました。

『性の劇薬』(2020)の総合評価:センセーショナルなBL映画!

桂木と余田:Ⓒフューチャーコミックス

調教監禁など過激シーンを描いたセンセーショナルなBL映画『性の劇薬』(2020)。

男同士の濃厚なラブシーンも印象的でした。

「よくあそこまでできるな」と二人の役者魂に感服。

たまには刺激の強いBL映画でもいかがでしょうか。

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