特集一覧
タランティーノ監督伝説のデビュー作『レザボア・ドッグス』(1992)の意味や評価の解説と内容の考察【あらすじ、感想、ネタバレあり】

世界中の映画ファンから尊敬の念を持たれる映画監督となったクエンティン・タランティーノ監督のデビュー作が、『レザボア・ドッグス』(1992)です。

新人監督が作った映画とは思えないのほどのおもしろさと、その斬新な表現手法が話題となりました。

この『レザボア・ドッグス』(1992)以降も数多くのヒット作を生み出してきたタランティーノ監督。

数多くのヒット作の原点、そしてタランティーノ監督の作家性が『レザボア・ドッグス』(1992)には随所に散りばめられています。

それでは、『レザボア・ドッグス』(1992)のネタバレと感想を紹介していきます。

『レザボア・ドッグス』(1992)の作品情報とキャスト


レザボア・ドッグス デラックス版 [DVD]

『レザボア・ドッグス』の(1992)作品情報

原題:Reservoir Dogs
製作年:1992
製作国:アメリカ
上映時間:100分
ジャンル:サスペンス

『レザボア・ドッグス』の(1992)監督とキャスト

監督:クエンティン・タランティーノ
代表作:『パルプ・フィクション』(1994)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)

出演:ハーヴェイ・カイテル/吹替:堀勝之祐ほか(ミスター・ホワイト)
代表作:『タクシードライバー 』(1976)、『アイリッシュマン』(2019)

出演ティム・ロス/吹替:安原義人ほか(ミスター・オレンジ)
代表作:『海の上のピアニスト』(1999)、『ヘイトフル・エイト 』(2015)

『レザボア・ドッグス』の(1992)のあらすじ

名付けのシーン©︎Miramax

あやしげな黒服の男たちが楽しげに朝食をとっている。

彼らはとりとめのないくだらない話をしているが、これから強盗に向かう犯罪のスペシャリストたちだ。

朝食を食べ終えた集団はいざ、強盗に向かう。

宝石店の強盗を終えた彼らだったが、数名の仲間を失い、集合場所に戻ってきたのは、数名しかいない。

もどってきたのは、ミスターピンクとミスターホワイト、そして血だらけのミスターオレンジ。

彼らは強盗の計画が警察にバレていたのだと気づく。

そして、警察の潜入捜査官が内部にいるのではないかとお互いを探り始める。

『レザボア・ドッグス』(1992)の内容を考察

ミスターブロンドを演じるタランティーノ監督©︎Miramax

【ネタバレあり】『レザボア・ドッグス』(1992) のタイトルの意味とは?

『レザボア・ドッグス』(1992)の原題は、「Reservoir dogs」なのですが、このタイトルはどのような意味なのでしょうか。

ファンや専門家の間でもさまざまな説が飛び交っており、タイトルの意味は諸説あります。

「Reservoir」という単語には辞書的な意味で「貯水池、貯蔵庫」という意味があり、「Reservoir dogs」を直訳すれば「貯蔵庫の犬たち」という意味になります。

そこから転じて、「たまり場の男たち」とも意訳できるのです。

「Reservoir」には「かっこいい」という形容詞での使い方もあるので、「Reservoir dogs」は「かっこいい犬たち」、転じて「かっこいい男たち」とも意訳できます。

題名に関してさまざまな解釈ができるのですが、なぜこのような題名ななったのか。

タランティーノ監督は『レザボア・ドッグス』(1992)のオーディオコメンタリーで、あえてさまざまな解釈ができるような題名にしたと語っています。

正解を明言せずに、ファンに楽しんでもらおうというタランティーノ監督の遊び心溢れる題名です。

【ネタバレあり】『レザボア・ドッグス』(1992) の元ネタとオマージュとは?

口論するホワイトとピンク©︎Miramax

タランティーノ監督といえば、「パルプ・フィクション」(1994)や「ジャンゴ繋がざる者」(2012)でも魅せたように、オマージュ満載の作品作りが特徴の監督です。

デビューである『レザボア・ドッグス』(1992)でも、その特徴は随所に垣間見られます。

まず『レザボア・ドッグス』(1992)の大元となった作品についてご紹介しています。

大元となった作品は香港の大スターチョウ・ユンファが主演を務めた『友よ風の彼方に』(1987)です。

『友よ風の彼方に』(1987)の設定は潜入捜査官が宝石強盗団に潜入し、強盗団のメンバーと友情を深めていってしまうという話なのですが、『レザボア・ドッグス』(1992)とほとんど同じなのです。

タランティーノ監督は『友よ風の彼方に』(1987)が好きすぎて、設定のほとんどを自身の映画に流用してしまったのです。

設定だけではなく、作中で繰り広げられるシチュエーションやアクションも似ており、2丁拳銃でのアクションなどは両作ともに共通しております。

『レザボア・ドッグス』(1992)の最大の特徴である時系列がバラバラに進んでいく展開は、『時計じかけのオレンジ』(1971)で知られる巨匠スタンリー・キューブリック監督の『現金に体を張れ』(1956)を参考にしています。

『現金に体を張れ』(1956)は、競馬場の売り上げを強盗しようとする強盗団が描かれた作品で、強盗団の面々の過去や行動が、時系列通りに並んでいない当時としては画期的な映画でした。

『レザボア・ドッグス』(1992)では、『現金に体を張れ』(1956)で使われた、散りばめられた謎が最終局面で収束していくという手法を上手く昇華させています。

タランティーノ監督の代表作『パルプ・フィクション』(1994)の考察が知りたい方はこちら。

『レザボア・ドッグス』(1992)の楽曲や主題歌を一覧で紹介

オープニングシーン©︎Miramax

ここで、『レザボア・ドッグス』(1992)の楽曲を一覧で紹介します。

どの曲も一度は聞いたことのある名曲ばかりです。

・リトル・グリーン・バッグ
・フックト・オン・ア・フィーリング
・マジック・カーペット・ライド
・フール・フォー・ラヴ
・スタック・イン・ザ・ミドル・ウィズ・ユー
・ハーヴェスト・ムーン
・ココナッツ

『レザボア・ドッグス』(1992)と言えば、そのサウンドトラック抜きには語れません。

印象的なサウンドトラックが魅力の『レザボア・ドッグス』(1992)ですが、なかでも「リトル・グリーン・バッグ」の印象が強烈です。

日本でも、ビールのコマーシャルに使用されるなど、一度は聞いたことのあるこの楽曲。

『レザボア・ドッグス』(1992)のオープニングに使用させたことにより、リヴァイバルひっとなりました。

「リトル・グリーン・バッグ」の曲とともにキャストが横並びで歩くオープニングは、コントやあらゆる映像作品でパロディされるほどクールなオープニングです。

『レザボア・ドッグス』(1992)といえば、このオープニングをまず始めに想起することも多いのではないでしょうか。

なぜ『レザボア・ドッグス』(1992)は人気なのか? 映画史に残る名作である理由を考察

ミスター・ブロンドのダンス©︎Miramax

低予算で作られた『レザボア・ドッグス』(1992)は絶大な人気を誇っています。

作品の内容が素晴らしいのはもちろん、その制作の裏側にあらストーリーも人気の由縁なのです。

『レザボア・ドッグス』(1992)を制作前のタランティーノ監督はビデオショップの店員で、ただのいち映画ファンでした。

ビデオショップの店員のかたわら、大量の古今東西の映画を鑑賞し、脚本を書いていました。

世間の人から見れば、ただの映画オタクです。

そんなただの映画オタクが一念発起して完成させたのが『レザボア・ドッグス』(1992)です。

ハリウッドの名バイプレイヤーであるハーヴィエ・カイテルの協力を得て、決して潤沢ではない予算で完成した『レザボア・ドッグス』(1992)。

この作品を皮切りにタランティーノ監督は世界的な映画監督へと駆け上がっていきます。

しがないビデオ屋の店員がスターダムへと駆け上がっていった端緒となったのが『レザボア・ドッグス』(1992)なのです。

まさにアメリカン・ドリームを体現した作品であるがゆえに、いまでも映画ファンに希望を与え、絶大な人気を誇っているのです。

『レザボア・ドッグス』(1992)の感想【ネタバレあり】

朝食シーン©︎Miramax

映画ファンを魅了する斬新さ

『レザボア・ドッグス』(1992)の最も斬新だった手法はその会話劇にあります。

冒頭の朝食シーンでは、映画の本筋とは全く関係のない話を延々と繰り広げています。

有名なマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」の解釈についての会話です。

『レザボア・ドッグス』(1992)以前のハリウッド映画では、本筋に関係のない会話はタブーとされていました。

意味のない会話は脚本の段階から削ぎ落とされるのが常でした。

しかし、タランティーノ監督は意味のない会話こそが自然であり、ナチュラルな芝居を引き出すと考えました。

朝食シーンで仲良さげにマドンナの話をする面々が、のちに疑心暗鬼になり殺し合いにまで発展する。

意味のない会話が後々のシーンをより印象深いものにしています。

この意味のない会話が繰り広げられるという演出は、その後のタランティーノ監督の作品でも多く見られます。

『パルプ・フィクション』(1994)の会話シーンなどはどれをとっても映画史の中でも傑出した会話シーンとなっています。

『レザボア・ドッグス』(1992)以降のハリウッドではタランティーノ監督の手法を真似た演出が散見さていますが、どれも亜流の域を出てないように感じます。

【ネタバレあり】『レザボア・ドッグス』(1992)の最後は? ラストシーンや結末を解説

三すくみのラストシーン©︎Miramax

『レザボア・ドッグス』(1992)のラストは悲惨な結末を迎えますが、結論を言うと、誰一人として報われた者はいません。

ミスターピンクは倉庫から逃げましたが、おそらく警察に捕まりました。

そのほかの面々は全員死んでしまったと考えるのが自然です。

ラストシーンでナイスガイ・エディは誰に撃たれてのかと疑問に思った方がいるかもしれません。

あれは、ミスターホワイトが倒れ際に二発の弾丸を発射していたため、3人ともが銃弾を浴びたのです。

『レザボア・ドッグス』(1992)の主題

瀕死のミスター・オレンジ©︎Miramax

『レザボア・ドッグス』(1992)の主題はズバリ「仁義」です。

潜入捜査官であるミスターオレンジに肩入れしまったミスターホワイトの情が悲劇を生んでしまう。

裏切られたとわかっても、ミスターオレンジを捨てきれない微妙な心情はそこに仁義があるからです。

アメリカ人の観客にとって、裏切り者であるミスターオレンジをすぐに殺せないミスターホワイトを理解できないらしいです。

しかし日本人にはそこに流れる情がすっと理解できます。

理屈では割り切れない部分、仁義についてタランティーノ監督はラストシーンで表現しました。

このことは洋の東西を問わず、さまざまな映画を鑑賞してきたタランティーノ監督ならではの手腕が活きたゆえです。

『レザボア・ドッグス』(1992)のまとめ

オレンジを介抱するホワイト©︎Miramax

ここまで、『レザボア・ドッグス』(1992)についてご紹介してきました。

いまや映画史の中心的な監督に挙げられるほどになったタランティーノ監督。

その衝撃のデビュー作が『レザボア・ドッグス』(1992)です。

2020年現在で、9本の作品を監督してきたタランティーノ監督ですが、10本目での引退を公言しています。

『レザボア・ドッグス』(1992)以外の8作のタランティーノ監督作品を理解するためにもデビュー作である『レザボア・ドッグス』(1992)は必見です。

そしてきたる10作目に備えるためにもデビュー作の鑑賞は必須です。

ぜひ、いま一度『レザボア・ドッグス』(1992)をご覧になってはいかがでしょうか。

おすすめの記事