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PERFECT-BLUE_パーフェクトブルー_感想・考察

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)は、人気アイドルだった霧越未麻がアイドルを脱退して女優へ転身をはかったが、精神的に追い詰められていく様子を描いたサイコサスペンスなアニメーション映画です。

監督は今敏、そして企画協力には大友克洋。

本作はFANT-ASIA'97グランプリ、ファンタスボルト'98 ベストアニメーションを受賞しました。

現実と虚構、二つの世界がホラー感覚で描かれる『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)について、感想・考察、タイトル・ラストの意味・海外の反応を解説していきます!

【『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の評価】

項目 評価 点数
知名度 ★★★★☆ 70点
配役/キャスト ★★★★☆ 75点
ストーリー ★★★★☆ 85点
物語の抑揚 ★★★★★ 90点
ホラー ★★★★☆ 80点
サスペンス ★★★★☆ 80点

目次

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の作品情報


パーフェクトブルー 【通常版】 [DVD]

製作年 1998年
原題 PERFECT BLUE
製作国 日本
上映時間 81分
ジャンル アニメ
監督 今敏
脚本 村井さだゆき
原作 パーフェクト・ブルー 完全変態
主要キャスト 岩男潤子(霧越未麻)

松本梨香(ルミ)

辻親八(田所)

大倉正章(内田守)

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の概要

内田守の部屋:ⓒレックスエンタテインメント

人気アイドルグループ「CHAM」のメンバーである霧越未麻は、突如アイドルを脱退し、女優へと転身をはかる。

「あなた、誰なの?」という一言だけの役から始まった未麻だったが、レイプシーンを演じたり、ヘアヌード写真を撮ったり、アイドル時代とはかけ離れた仕事をしていく。

やがて「これは自分の望んだことなのか?」と疑問を抱くようになっていく未麻。

そんな中、ネット上には何者かが「未麻の部屋」というサイトを立ち上げており、まるで未麻を監視しているかのような未麻の日常を書いたものだった。

未麻が精神的に追い詰められていく中、未麻の関係者が次々と殺されていく。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の感想と考察

霧越未麻:ⓒレックスエンタテインメント

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の感想

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)はアイドルが女優に転身したことで、精神的に追い詰められていくホラーサスペンスな内容になっています。

一番の見どころは精神的に追い詰められていく様子を現実と虚構の二つの世界を織り交ぜながら描いた点でしょう。

女優として生きていくと決めた未麻と「これは本当の自分の姿なの?」と疑う未麻。

そんな中で「未麻の部屋」というまるで監視されているかのようなサイトによって、未麻は追い詰められていきます。

未麻のストーカーがかなり不気味でした。

また、本作はサスペンスな内容も大きな見どころであり、ストーリーに惹き込まれていきます。

未麻の関係者が次々と殺されていくのですが、犯人は一体誰なのか。

未麻なのか、未麻のストーカーである内田守なのか、それとも他に犯人がいるのか、最後まで気になって観てしまいます。

大きな見どころを書きましたが、本作の魅力はこれだけではありません。

奥深いテーマや様々な解釈ができる点、エロティックな描写もまた魅力的です。

ぜひ唯一無二の『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の世界を味わっていただきたいです。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の考察

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)はなぜセンセーショナルなのでしょうか。

それは、人を刺したり、血が噴き出したりするショッキングな内容、エロティックな描写、ストーカー、精神分離を描いたからです。

アニメと言えば、どちらかといえば明るい話であったり、希望が持てる話、分かりやすくポジティブな面が多いのではないかと思います。

しかし、本作は「トラウマになる」と言われるほど、残虐なシーンであったり、精神的な描写があったりと複雑な構成になっていました。

また、気味の悪いストーカーや精神を壊してしまったキャラクターを出すなど人物面でもホラー感を押し出しています。

公開された1998年当時、このような暗いイメージを持たせるアニメはなかったのではないでしょうか。

本作がセンセーショナルな作品となった理由は、今までのアニメの常識を覆した点にあると言えるでしょう。

この作品が世界的に評価されたのも頷けます。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の登場人物(キャラクター)・キャストを解説

CHAM:ⓒレックスエンタテインメント

ここでは、『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の登場人物(キャラクター)・キャストを解説していきます。

霧越未麻(きりごえ みま)/声優:岩男潤子

霧越未麻(きりごえ みま):ⓒレックスエンタテインメント

CHAMという3人組アイドルグループのメンバーだったが、脱退して女優へと転身する。

しかし、女優として活動していく中で、ストーカーや「これは本当にやりたいことのか?」と仕事の悩みから精神的に追い詰められていく。

声を担当したのは、1970年生まれの声優、岩男潤子です。

ルミ/声優:松本梨香

ルミ:ⓒレックスエンタテインメント

元アイドルである未麻のマネージャー。

未麻を献身的にサポートするが、女優への転身に反対している。

声を担当したのは、1968年生まれの声優・歌手の松本梨香です。

代表的な声は『ポケットモンスター』のサトシ役です。

田所(たどころ)/声優:辻親八

田所(たどころ):ⓒレックスエンタテインメント

未麻の所属する事務所の社長。

未麻を女優に転身させ、女優として売っていこうと考えている。

声を担当したのは、1956年生まれの声優、辻親八です。

個性的な声を生かし、中年・老人役が多い声優です。

内田 守(うちだ まもる)/声優:大倉正章

内田 守(うちだ まもる):ⓒレックスエンタテインメント

未麻の熱狂的なストーカー。

部屋の一面に未麻の写真を貼ったり、盗撮したり、未麻のいる現場に頻繁に出没するなど、未麻への異常な執着を持つ。

声を担当したのは、1961年生まれの声優、大倉正章です。

【なぜ?】『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の伏線や疑問を解説

未麻とルミ:ⓒレックスエンタテインメント

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)はエロいし、グロくて怖い?

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)はエロいし、グロくて怖いです。

エロい点は、未麻がレイプシーンを撮影するシーンとヘアヌード写真を撮影するシーンでしょう。

未麻のヌード写真が後半になってフラッシュバック的に登場します。

また、未麻が内田守に襲われるシーンも服をはぎ取られたり、レイプされそうになるのでエロくなっています。

グロくて怖い点は、殺人シーンでしょう。

殺され方がエグくて、目に刃物を突き刺されたり、メッタ刺しにされたりするシーンがあり、未麻の熱狂的なストーカーである内田守もかなり不気味に映っていました。

これには、殺人とはまた違った意味での怖さがあります。

また、音楽も恐怖感をあおるような曲が効果的に使われていました。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の真犯人の正体とは? 悪いのは誰なのかを解説

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の真犯人の正体は、未麻のマネージャーであるルミです。

ルミは未麻の女優転身に反対していました。

というのも、ルミは元アイドルであったのですが、芽が出ないまま終わってしまったというのもあり、人気アイドル未麻に自身を投影させていたと考えられます。

しかし、関係者は未麻を女優に転身させ、アイドルとはかけ離れた仕事をさせたために、ルミは怒って関係者を次々に殺していった。

怪しかった未麻のストーカー内田守は、ミスリードさせるために登場させたキャラクターだったと言えるでしょう。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の時系列とは? 複雑なパラドックスを解説

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の時系列は同じだと考えられますが、現実の世界、劇中で撮影されているドラマ『ダブルバインド』、夢の世界、と3つの世界が入り混じるので、分かりづらくなっています。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)は現実なのか?妄想なのか?

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)は基本的に現実です。

ただ、妄想も入っているので、現実と妄想(夢)、2つが入り混じっていると言ったほうが適切かもしれません。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)と『パプリカ』(2006)の関連性とは?

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)と『パプリカ』(2006)は、作品に直接関係はありませんが、コンセプト(テーマ)については関係性があるのではないでしょうか。

どちらの作品も現実世界と妄想(夢)の世界を描き、もう一人の自分も描いています。

本当の自分とは。」

これがどちらの作品も共通した大きなテーマになっているように思います。

両作品とも、かなり複雑な構成にはなっていますが、これこそ今敏ワールドだと言える世界観になっています。

『パプリカ』(2006)の詳しい考察や解説が気になる方はこちら。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の原題・タイトルの意味とは?

内田守:ⓒレックスエンタテインメント

原作は『パーフェクト・ブルー 完全変態』というタイトル。

BLUEには、「わいせつな」「きわどい」「下品な」という意味もあるので、『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』は、『完全変態』を英語にしたのではないかと思います。

ちなみに原作は「アイドルの女の子が、彼女のイメージチェンジを許せない変態ファンに襲われる」という内容。

映画は原作を大幅に変更しています。

原作の内容からしても『PERFECT BLUE』には、『完全変態』という意味があるのではないでしょうか。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の原作や元ネタ・影響を受けた作品を解説

未麻:ⓒレックスエンタテインメント

今敏監督は、『セブン』(1995)、『氷の微笑』(1992)、『羊たちの沈黙』(1991)など、いわゆるサイコホラーの影響を受けているとフランスでのインタビューで語っています。

しかし、これらはすでに手垢のついているジャンルのため、裏を狙って「ストーカーに狙われるうちに、如何に主人公の内面が壊れていくか」に焦点を当てたとのこと。

また、今敏監督は『ザ・プレイヤー』(1992)が大好きで、作品の構造も含めて触発されたそうです。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の最後は? ラストシーンや結末を解説

霧越未麻:ⓒレックスエンタテインメント

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の結末・ラストシーン

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)のラストはルミが入院している病院に未麻が見舞いに行きます。

ルミは時々、ルミ自身に戻りますが、未麻と思い込んだまま病院で過ごしていました。

女優として成功していると思われる未麻は、そんなルミに「今の自分がいるのは彼女のおかげ」と感謝し、車に乗って病院を後にします。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)のその後は?

未麻はその後も女優を続けていくでしょう。

しかし、ルミの未来は明るいとは言えないのではないでしょうか。

精神的な病気(解離性同一性障害)にかかっていますし、治ったとしてもマネージャー業に戻ることはできないでしょう。

精神が壊れているとはいうものの、連続殺人を犯しているので、元の生活(人生)には戻れないと思います。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の最後の解釈と考察

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の最後で、未麻がバックミラー越しに「私は本物だよ」と言うシーンが印象的でした。

これにはどのような意味があるのでしょうか。

クライマックスのシーンで、現実では未麻にそっくりですが、鏡の中ではルミ本人が映り込んでいました。

現実=虚構であり、鏡=本当だったと考えられます。

つまり、鏡を用いることで、二重人格を表していたのではないでしょうか。

ラストの病院で、ルミがまだ自分を未麻だと思い込んでいる(二重人格)であることが分かります。

「私は本物だよ」と言うシーンは、「自分は精神的に壊れていない」ということをアピールしたのだと考えられます。

【レビュー】『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の評価・評判

霧越未麻:ⓒレックスエンタテインメント

【つまらない?】低評価のレビュー

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)にはどのような低評価レビューがあったのでしょうか。

映画レビューサイトをまとめてみると、

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の低評価レビュー
Filmarks:★☆☆☆☆ 2.0
「エグいシーンが多くてひいた。カメラマン殺される描写なんてこっちまで痛くなる」
映画.com:★★★☆☆ 3.0
「【これは現実?それとも夢?】的な話は好きではないので、見ててイライラしました」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★☆☆ 3.0
「ショックな描写が多くて、一般向けではない」

という低評価レビューがありました。

ショッキングな描写が多かったり、内容が複雑という点が低評価につながっているようです。

確かに殺されるシーンや死体はショックな描写ではあるので、苦手な人は気分が悪くなってしまうかもしれません。

内容は奥深い反面、複雑になっています。

【面白い?】高評価のレビュー

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)にはどのような高評価レビューがあったのでしょうか。

映画レビューサイトをまとめてみると、

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の高評価レビュー
Filmarks:★★★★★ 5.0
「非常に良くできていてストーリーはとても面白く、かつサイコスリラーとしての出来も最上級のものでまさに衝撃」
映画.com:★★★★☆ 4.5
「アニメとして観るには惜しく、とてもクオリティの高い脚本と描写に圧倒される」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★★★ 5.0
「衝撃的な体験だった。アニメでこんなことが出来るのか!!」

という高評価レビューがありました。

そのクオリティの高さに「衝撃的」というレビューが多数!

ストーリー性の高さを評価するレビューやホラーな内容を評価するレビューが多くありました。

また、「頭が混乱していくのが心地よかった」と複雑なストーリーに陶酔するレビューも。

日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中3.8という高評価に。

全体的に高評価な結果となりました。

今敏監督の独特な世界を感じられる点が高評価につながったと言えるでしょう。

海外の反応

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)は、海外でも高い評価を得ました。

カナダのファンタジア国際映画祭、ポルト国際映画祭では賞を受賞。

アメリカの批評家からも高い評価を受けています。

また、イギリスでは、トータル・フィルムの「史上最高のアニメ映画50本」で25位にランクインし、タイムアウト・ロンドンの「アニメ長編映画オールタイムトップ50」では23位にランクインしました。

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)の総合評価:センセーショナルなアニメ映画!

霧越未麻:ⓒレックスエンタテインメント

ホラーな内容やショッキングな描写などから、センセーショナルな映画になっていた『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998)。

奥の深い内容になっているので、何度も観ることで新たな発見があるのではないかと思います。

もしかしたら一回の視聴では内容がつかめきれないかもしれません。

しかし、それだけ深い内容になっているので、自分なりに解釈しながら観てみると面白いかと思います。

本作の他にも今敏監督の作品を考察や解説をしていますので、気になる方はチェックしてみてください。

今敏監督のアニメ映画『東京ゴッドファーザーズ』(2003)の考察や舞台・裏話や海外の反応の解説はこちら。

今敏監督のアニメ映画『千年女優』(2002)の考察!海外の反応や元ネタ・舞台、タイトルやラストの意味の解説はこちら。

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