
『未来のミライ』(2018)は、4歳の男の子くんちゃんが未来の妹ミライちゃんに出会うなどの不思議な体験をしていくアニメーション映画です。
監督は細田守。
本作は日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞、アカデミー賞にもノミネートされるなどの評価を受けました。
細田守監督が描くイマジネーションあふれる映画『未来のミライ』(2018)について、感想・考察、舞台やモデル、声優を解説していきます!
【『未来のミライ』(2018)の評価】
項目 | 評価 | 点数 |
知名度 | ★★★★★ | 90点 |
配役/キャスト | ★★★☆☆ | 50点 |
ストーリー | ★★★☆☆ | 50点 |
物語の抑揚 | ★★★☆☆ | 50点 |
イマジネーション | ★★★★★ | 90点 |
世界観 | ★★★★☆ | 80点 |
目次
- 1 『未来のミライ』(2018)の作品情報
- 2 『未来のミライ』(2018)の概要
- 3 『未来のミライ』(2018)の感想と考察
- 4 『未来のミライ』(2018)のキャスト・登場人物(キャラクター)を紹介
- 5 【賛否両論】なぜ『未来のミライ』(2018)は酷評された?「ひどい・つまらない」と言われた理由を解説
- 6 『未来のミライ』(2018)の舞台・モデルとなった場所はどこ?
- 7 『未来のミライ』(2018)の原作や元ネタとは?
- 8 『未来のミライ』(2018)の最後は? ラストシーンや結末を解説
- 9 【レビュー】『未来のミライ』(2018)の評価・評判
- 10 『未来のミライ』(2018)の総合評価:くんちゃんの不思議な体験を描いたアニメーション映画
『未来のミライ』(2018)の作品情報
製作年 | 2018年 |
原題 | 未来のミライ |
製作国 | 日本 |
上映時間 | 98分 |
ジャンル | アニメ |
監督 | 細田守 |
脚本 | 細田守 |
主要キャスト | 上白石萌歌(くんちゃん)
黒木華/ 本渡楓(ミライちゃん) 星野源(おとうさん) 麻生久美子(おかあさん) |
『未来のミライ』(2018)の概要

くんちゃんとミライちゃん:ⓒ東宝
4歳児のくんちゃんは、出産のため入院していたおかあさんの帰りを心待ちにしていた。
そこへおかあさんとおとうさんが、妹である赤ちゃんを連れて帰ってくる。
赤ちゃんは「未来(ミライ)」と名付けられる。
おとうさんとおかあさんはミライちゃんの世話で大忙し。
かまってもらえなくなったくんちゃんは、ミライちゃんに嫉妬して、ミライちゃんのほっぺたを引っ張ったり、指で鼻を押したりといたずらをしてしまう。
そんなくんちゃんをおかあさんは叱ってしまい……。
『未来のミライ』(2018)の感想と考察

くんちゃんとミライちゃん:ⓒ東宝
『未来のミライ』(2018)の感想
『未来のミライ』(2018)は細田守監督らしいイマジネーションのある作品でした。
そのイマジネーションとは、くんちゃんの不思議な体験(冒険)。
くんちゃんは未来のミライちゃんに会ったり、小さい頃のおかあさんに会ったりするのですが、特に後半の未来を思わせる異世界の東京駅は印象的でした。
そこで登場する絵のような駅員とくんちゃんが連れ込まれる駅のホームがかなり不気味。
そこから脱出し、空を飛んでいくシーンも良かったです。
ここが細田守監督らしい世界観を感じられる一番の見どころだと思います。
ただ、くんちゃんの不思議な体験は唐突であり、「意味分かんない」という人も多いのではないかと思います。
ストーリー性はあまりなく、結局、くんちゃんはタイムスリップしたのか、何だったのか、という消化不良な部分もありました。
『サマーウォーズ』(2009)、『バケモノの子』(2015)などの世界を求めていた人にとっては、期待外れな作品になったのではないでしょうか。
本作は観念的な作品であり、ストーリーの抑揚がある冒険活劇という作品ではありません。
『未来のミライ』(2018)の考察
『未来のミライ』(2018)のメッセージについて考察していきます。
本作のメッセージとは何だったのでしょうか。
本作のメッセージには、「命の連鎖」があるのではないかと思います。
つまり「生の肯定」。
曽祖父が亡くなりましたが、ミライちゃんという新たな命も誕生しました。
そして、くんちゃんが時を越えて、若い頃の曽祖父に会ったり、幼少期のおかあさんに会ったりするシーンを描いたことで、たった一つの命の誕生には、壮大な歴史と奇跡があるのだということを伝えたのではないでしょうか。
さらにその命は未来へと繋がっていく。
だから、命は軽くなどなく、大切にするべきだというメッセージが隠されているように思います。
『未来のミライ』(2018)のキャスト・登場人物(キャラクター)を紹介

くんちゃん、ミライちゃん、ゆっこ:ⓒ東宝
ここでは『未来のミライ』(2018)のキャスト・登場人物(キャラクター)を紹介していきます。
くんちゃん(声優:上白石萌歌)

くんちゃん:ⓒ東宝
電車が大好きな4歳の男の子。
ミライちゃんという妹ができるが、おとうさんとおかあさんにかまってもらえなくなり、ミライちゃんに嫉妬していたずらしてしまう。
未来から来たミライちゃんに出会い不思議な体験をしていく。
声優を担当したのは、上白石萌歌。
女優や歌手として活躍しています。
ミライちゃん(声優:黒木華、幼少期の声優:本渡楓)

ミライちゃん:ⓒ東宝
くんちゃんの妹。
くんちゃんのことを「お兄ちゃん」と呼び、くんちゃんと不思議な体験をしていく未来から来た少女。
未来のミライちゃんは、黒木華が、幼少期のミライちゃんは、本渡楓が声優を担当しました。
おとうさん(声優:星野源)

おとうさんとあかあさん:ⓒ東宝
くんちゃんのおとうさん。
フリーの建築家として自宅で働き、慣れない育児と仕事に奮闘する。
声優を担当したのは、星野源。
歌手・俳優として活躍しています。
おかあさん(声優:麻生久美子)

くんちゃんとあかあさん:ⓒ東宝
くんちゃんのおかあさん。
仕事と育児に大忙し。
片づけが苦手。
声優を担当したのは、女優の麻生久美子です。
謎の男(声優:吉原光夫)

くんちゃんと謎の男:ⓒ東宝
くんちゃんの家の庭に突如、現れた謎の男。
その正体は、くんちゃんの家で飼っているミニチュアダックスフントが人間化した男。
声優を担当したのは、元劇団四季団員の吉原光夫です。
青年(声優:福山雅治)

青年:ⓒ東宝
くんちゃんが時を越えた先で出会った青年。
その正体は、くんちゃんの曽祖父の若い姿。
戦争で足に傷を負ってしまい、足を引きずっている。
声優を担当したのは、俳優・歌手として活躍する福山雅治です。
【賛否両論】なぜ『未来のミライ』(2018)は酷評された?「ひどい・つまらない」と言われた理由を解説

くんちゃん:ⓒ東宝
くんちゃんの嫉妬がムカつく、共感できないという声を解説
わがまま・いじわる過ぎる行動が理解できない
くんちゃんは、おもちゃの電車でミライちゃんを叩こうとしたり、黄色いズボン意外履きたくないと駄々をこねたりするなどの、わがまま・いじわるをします。
これらの行動に理解できないという声もありますが、4歳児なのでありがちな行動ではないかと思います。
大人が4歳児の考えや行動に共感するのは難しいのではないでしょうか。
酷評された理由の一つに、共感しにくい主人公の設定ミスがあると言えます。
妹がかわいそう
くんちゃんは、おもちゃの電車でミライちゃんを叩こうとしたり、ミライちゃんの顔一面にお菓子を乗せたりするいたずらをします。
これらの行動に「妹がかわいそう」という声がありますが、一番上のしかも4歳児であれば、ありがちな行動ではないかと思います。
一番上の子供は、今まで親の愛情を一身に受けてきますが、下の子ができると、親は下の子の世話に集中してしまうため、一番上の子供の優先度が下がりがち。
結果、一番上の子供は弟or妹に嫉妬してしまうのです。
声優が合っていなくて下手、ひどいと言われる理由を解説
『未来のミライ』(2018)は、「下手、ひどい」と声優に対する酷評がかなり多いです。
特にくんちゃんの声に対する酷評が多数。
くんちゃんの声を担当したのは、上白石萌歌ですが、さすがに4歳児の声を担当するのは、難しく無理があったのではないでしょうか。
宮崎駿監督の代表作『となりのトトロ』(1988)の登場人物メイは、くんちゃんと同じ4歳児ですが、担当したのは当時29歳だった声優の坂本千夏。
賛否両論ありますが、声は俳優・女優ではなく、声優を起用するべき(特に幼少期)ではないかと思います。
細田守監督は声に俳優・女優を多く起用する監督と知られており、「声に違和感がある」という作品は少なくありません。
細田守監督は”ケモナー”なのかを解説
ケモナーとは、人間の特徴を持った動物キャラに愛情を注ぐ人です。
細田守監督は”ケモナー”でしょう。
彼の作品には、人間の特徴を持った動物キャラが多く登場します。
ケモナーが顕著に表れている代表的な作品は『バケモノの子』(2015)、『おおかみこどもの雨と雪』(2012)があります。
脚本がつまらないと言われる理由を解説
脚本がつまらないと言われる理由は、脚本家の奥寺佐渡子が不参加だったことがあげられます。
奥寺佐渡子は、日本アカデミー賞最優秀脚本賞などを受賞している脚本家で、細田守監督作品の脚本に参加してきましたが、『未来のミライ』(2018)には参加しませんでした。
ちなみに細田守監督作品の『サマーウォーズ』(2009)では、東京アニメアワード個人賞(脚本賞)を受賞。
監督に隠れてはいますが、脚本家はとても重要なポジションであると言えます。
細田守監督の家族・夫婦の描き方を解説
細田守監督の家族・夫婦の描き方には、男尊女卑・あるいは、旧態依然とした日本文化を助長するような考え方であるという指摘も多くあるようです。
しかし、細田守監督にはある1つの固まった家族観を描いているという意図は全くないと言えます。
細田守監督作品には、様々な家族が登場。
『未来のミライ』(2018)では4人家族、『サマーウォーズ』(2009)では大家族、『おおかみこどもの雨と雪』(2012)ではシングルマザー、『バケモノの子』(2015)では全くの他人であるバケモノたちを描きました。
作品によって家族の描き方は違いますが、どの作品にも共通しているのは、家族愛。
現代では家族のカタチが多様にあります。
その中でも「家族の愛」というものは、どの家族にもあるというメッセージ、あるいはあって欲しいという願いが込められているのではないでしょうか。
『未来のミライ』(2018)の舞台・モデルとなった場所はどこ?

青年とくんちゃん:ⓒ東宝
『未来のミライ』(2018)の舞台・モデルは横浜市の磯子区・金沢区周辺。
他にも東京駅や富山県のローカル駅も舞台・モデルになっています。
ここでは本作の舞台・モデルを紹介していきます。
・根岸森林公園
・横浜市磯子区・金沢区周辺
・横須賀市 船越、馬堀海岸、走水
・三浦市
・板橋区立熱帯植物館
・長野県上田市
・小岩井農場
・富山地方鉄道 越中中村駅
・東京駅
この中でも、クライマックスで登場する東京駅と富山地方鉄道越中中村駅は、印象的な舞台・モデルでした。
富山地方鉄道越中中村駅は、田舎の風景が良かったです。
『未来のミライ』(2018)の原作や元ネタとは?

くんちゃん、おとうさん、おかあさん:ⓒ東宝
『未来のミライ』(2018)の原作や元ネタはありません。
ただ、物語の着想のきっかけは、細田守監督の子供の行動と言われています。
角川文庫よりノベライズ版が発行されているので、読んでみてはどうでしょうか。
『未来のミライ』(2018)の最後は? ラストシーンや結末を解説

くんちゃんとミライちゃん:ⓒ東宝
『未来のミライ』(2018)の結末・ラストシーン
『未来のミライ』(2018)の結末で、くんちゃんは未来に行き、ミライちゃんと高校生のくんちゃんに会います。
現在の世界に戻ってきたくんちゃんは、嫌だった青いズボンを脱ごうとしますが、やめました。
くんちゃんがミライちゃんにバナナをあげると、あかあさんとおとうさんがくんちゃんとミライちゃんを呼びます。
くんちゃんとミライちゃんが返事をするというラストになりました。
『未来のミライ』(2018)の最後の解釈と考察
『未来のミライ』(2018)の最後は、ほっこりするシーンになっていました。
家族の愛を感じられましたし、くんちゃんの成長を感じられたからです。
妹として見なかったミライちゃんを受け入れ、兄としての優しさを見せたくんちゃん。
仲良さそうに笑い合うおかあさんとおとうさん。
あかあさんとおとうさんに呼ばれて返事するくんちゃんとミライちゃんの返事が何気ないけれど、平和的で「家族っていいな」と思わせてくれます。
『未来のミライ』(2018)のその後は?
ラストでは、くんちゃんの成長が見られたので、ミライちゃんと仲良くすると思います。
4人で仲良く暮らすのではないでしょうか。
【レビュー】『未来のミライ』(2018)の評価・評判

くんちゃんとおとうさん:ⓒ東宝
【つまらない?】低評価のレビュー
『未来のミライ』(2018)の低評価はどのようになっているのでしょうか。
映画のレビューサイトをまとめてみると、
という低評価レビューがありました。
「混乱する」「声に違和感がある」「盛り上がらない」という低評価のレビューが多数。
「くんちゃんの声が受け入れられない」というレビューが目立ちます。
確かにくんちゃんの声には年相応の声ではない違和感がありました。
声優がミスキャストと酷評されてもおかしくはないのではないかと思います。
「つまらない」「面白くない」と、だいぶ酷評の多いレビューでした。
【面白い?】高評価のレビュー
『未来のミライ』(2018)の高評価はどのようになっているのでしょうか。
映画のレビューサイトをまとめてみると、
という高評価レビューがありました。
「ほっこりする」「ほのぼのする」という高評価レビューが多いです。
本作でも細田守監督らしい家族愛や家族の絆を感じられる作品でした。
日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中2.6という評価に。
Filmarksでも3.0と低い点数です。
この数字は期待していただけに落胆が大きかった結果なのではないでしょうか。
作品自体はそれほど悪くないとは思いますが、歴代の細田作品と比べると、つまらなく感じてしまうのは否めません。
『未来のミライ』(2018)の受賞一覧
『未来のミライ』(2018)は数々の映画賞を受賞しました。
ここでは、本作の受賞歴を紹介します。
・アニー賞長編インディペンデント作品賞(齋藤優一郎、伊藤卓哉、足立雄一、川村元気)
・フロリダ映画批評家協会賞アニメーション映画賞
・日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞
・リスボン・アニメーション映画祭若者たち向けアニメ映画賞
『未来のミライ』(2018)の総合評価:くんちゃんの不思議な体験を描いたアニメーション映画

くんちゃん:ⓒ東宝
くんちゃんの不思議な体験を描いた『未来のミライ』(2018)。
評判は良くありませんが、細田守監督らしい家族愛や家族の絆を感じられる作品でしたし、イマジネーションのある作品でした。
後半にご注目!
ほっこりできる作品ですので、ぜひ観てみてください。