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ラースと、その彼女_感想・考察

『ラースと、その彼女』(2007)は、リアルラブドール(ダッチワイフ)を彼女にしてしまう内気な青年と彼の周囲の人々を描いたヒューマンドラマ映画です。

主演はライアン・ゴズリング。

本作はトロント国際映画祭上映作品であり、アカデミー賞脚本賞にノミネートされました。

人間の優しさにあふれた映画 『ラースと、その彼女』(2007)について、感想・考察、意味や主題(伝えたいこと)・似ている映画を解説していきます!

【『ラースと、その彼女』(2007)の評価】

項目 評価 点数
知名度 ★★★☆☆ 60点
配役/キャスト ★★★☆☆ 60点
ストーリー ★★★★☆ 75点
物語の抑揚 ★★★★☆ 75点
ドラマ ★★★★☆ 80点
風変わり度 ★★★★☆ 80点

目次

『ラースと、その彼女』(2007)の作品情報


ラースと、その彼女 (特別編) [DVD]

製作年 2007年
原題 Lars and the Real Girl
製作国 アメリカ
上映時間 106分
ジャンル ドラマ
監督 クレイグ・ガレスピー
脚本 ナンシー・オリバー
主要キャスト ライアン・ゴズリング(ラース・リンドストロム)/日本語吹替:内田夕夜

エミリー・モーティマー(カリン)/日本語吹替:魏涼子

ポール・シュナイダー(ガス)/ 日本語吹替:藤真秀

パトリシア・クラークソン(ダグマー・バーマン医師)/日本語吹替:唐沢潤

『ラースと、その彼女』(2007)の概要

ラースとビアンカ:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

内気な青年ラースは兄のガスとその妻カリンが住む家の裏に一人で住んでいた。

ある日、会社に出社したラースは同僚から顔もパーツもカスタマイズできるリアルドールを紹介される。

その場では興味なさそうにしていたラースであったが、ネットでリアルドールを購入。

ビアンカという名前の彼女として、本物の人間のようにガスとカリンに紹介する。

驚いたガスとカリンは、ラースの頭がおかしくなってしまったと疑うが、なんとかラースの話に合わせようとして……。

『ラースと、その彼女』(2007)のキャスト・登場人物(キャラクター)を紹介

ラースとビアンカ:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

ここでは、『ラースと、その彼女』(2007)のキャスト・登場人物(キャラクター)を紹介していきます。

ラース・リンドストロム(演:ライアン・ゴズリング)日本語吹替:内田夕夜

ラース:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

街の皆に好かれている青年だが、とてもシャイな性格。

兄のガスとその妻カリンが住む家の裏に住み、ビアンカという名前のリアルドールをガスとカリンに彼女として紹介する。

演じたのは、『きみに読む物語』(2004)、『ラ・ラ・ランド』(2016)など数々のヒット作に出演している人気俳優のライアン・ゴズリングです。

カリン(演:エミリー・モーティマー)日本語吹替:魏涼子

カリン:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

ラースの兄であるガスの妻。

食事に誘うなど、いつもラースのことを気にかけている。

ビアンカを紹介された時はラースに話を合わせ、ビアンカのお世話もした。

演じたのは、ヨーロッパとハリウッドの両方で活躍しているエミリー・モーティマーです。

ガス(演:ポール・シュナイダー)日本語吹替:藤真秀

ガス:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

ラースの兄。

妻のカリンと共にラースを気にかけている。

ビアンカを紹介された時は、ラースの病気やトラウマを心配した。

演じたのは、ポール・シュナイダーです。

ダグマー・バーマン医師(演:パトリシア・クラークソン)日本語吹替:唐沢潤

ダグマー・バーマン医師:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

ラースとビアンカの面倒をみる女性医師。

ビアンカにも人間として向き合う。

演じたのはパトリシア・クラークソン。

代表作に『エデンより彼方に』(2002)、『エイプリルの七面鳥』(2003)があり、ニューヨーク映画批評家協会賞、全米映画批評家協会賞助演女優賞などを受賞しています。

マーゴ(演:ケリ・ガーナー)

マーゴ:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

ラースの会社の同僚でラースに好意を抱いているが、寂しさのあまり別の男と付き合う。

その男と別れた後、ラースとボーリングのデートをした。

演じたのは、ケリ・ガーナーです。

『ラースと、その彼女』(2007)の感想と考察

ラースとビアンカ:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

『ラースと、その彼女』(2007)の感想

『ラースと、その彼女』(2007)は、かなり風変わりな映画であったと思います。

AIに恋したりゾンビに恋したり、人間ではないモノに恋をする映画を見かけますが、本作はリアルラブドール(ダッチワイフ)に恋をする話です。

しかも、ただ恋をするというわけではなく、ラースはビアンカという名前の女性として紹介し、まるで本物の人間のように扱いました。

扱ったというより、人形(ビアンカ)を人間だと思い込んで、ビアンカを病院に連れて行き、一緒に食事をし、会話をし、ケンカもしました。

その状態を周囲の人々は、変人扱いして距離を置くわけではなく、むしろラースに合わせてビアンカを人間として接していく。

これらが本作が風変わりだと思った点です。

この点からして、本作が「リアルドールに恋をした男の変わったラブロマンス」「頭のおかしくなった男の話」では片づけられない、色々と解釈のできる奥が深い映画ではないかと思います。

『ラースと、その彼女』(2007)の考察

『ラースと、その彼女』(2007)の主題(メッセージ)・伝えたいこととはなにかを考察

『ラースと、その彼女』(2007)には、恋愛、家族、隣人愛、トラウマなど多くのテーマが読み取れますが、中でも大きなテーマとしては、「人の優しさ」であると思います。

具体的なメッセージとしては、「他人はあなたを嫌っていない」というメッセージがあるのではないでしょうか。

ラースは他人と接するのが苦手、あるいは嫌いな青年。

結構そういう人は、自己肯定感が低かったり、「人に嫌われてはいないか」と気になったりする人なのではないかと思います。

だからラースはビアンカという温度のない人形に逃げたのです。

しかし、結局のところラースは嫌われてなどいなくて、むしろ皆から好かれており、助けてもらっていました。

壁を作っていたのは、ラース自身であったわけです。

ビアンカを通してそのことを知ったラースは、逃げのメタファーであったビアンカを捨てて、「人間」と向き合おうとしたのだと思います。

【なぜ?】『ラースと、その彼女』(2007)の疑問を解説

ラースとビアンカ:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

ラースがMr.サンシャインと呼ばれているのはなぜか解説

ラースがMr.サンシャインと呼ばれているのは、彼の性格からでしょう。

心優しく純粋なラースを太陽のようだと思ったことから、Mr.サンシャインと呼んだのではないでしょうか。

『ラースと、その彼女』(2007)の舞台はどこかを解説

『ラースと、その彼女』(2007)の舞台は具体的に語られませんでした。

ただ、街の風景などから田舎の小さな街であると考えられます。

ラースは病気? 実際にこのような病気はあるのか解説

ラースは精神的な病気であることが疑われます。

映画では具体的な病名は出てきませんでしたが、可能性として疑われるのは、統合失調症。

統合失調症とは、脳機能のバランスが崩れ、さまざまな症状が出る精神障害の病気です。

統合失調症が発病する原因として、ストレス、環境変化などがあり、内気、控えめな性格の人がかかりやすい傾向があります。

症状は、奇妙な行動、不眠、感情の不安定、感情・意欲の低下、思考力低下など。

また、幻聴や妄想中心になる病状は30歳前後に発病するのだそう。

幻想とは、ありえない事を事実だと完全に信じること。

まさにラースの性格や状況と似ています。

もしかしたらラースは、統合失調症を発症していたのかもしれません。

『ラースと、その彼女』(2007)の原題・タイトルの意味とは?

ラースとビアンカ:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

『ラースと、その彼女』(2007)の原題は『Lars and the Real Girl』。

「その彼女」「the Real Girl」はビアンカのことだと分かります。

つまり、『ラースと、その彼女』『Lars and the Real Girl』というタイトルは、ラースとビアンカのことを表現しているタイトルになっているのではないでしょうか。

『ラースと、その彼女』(2007)と似ている?『空気人形』(2009)を解説

ラース:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

『空気人形』(2009)は『ラースと、その彼女』(2007)のパクリなのか?

『空気人形』(2009)は、是枝裕和監督、主演が韓国の女優ペ・ドゥナの日本の映画。

『ラースと、その彼女』(2007)と同じくリアルラブドールを題材にしていますが、パクリではないでしょう。

大きな相違点として、『空気人形』(2009)は、リアルラブドールが主人公で本物の人間になり、生活していきます。

『ラースと、その彼女』(2007)とは物語のコンセプトも世界観も違います。

ちなみに『空気人形』(2009)は、切ない物語。

興味がある人は観てみてはどうでしょうか。

『ラースと、その彼女』(2007)の最後は? ラストシーンや結末を解説

ラースとマーゴ:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

『ラースと、その彼女』(2007)の結末・ラストシーンを解説

『ラースと、その彼女』(2007)の最後でビアンカは死んでしまいます(という設定)。

街の人々はビアンカのために葬式をあげました。

まずは教会で集まり、その後は墓場でビアンカとお別れ。

ラースはマーゴに「少し歩く?」と尋ねるラストになりました。

『ラースと、その彼女』(2007)の最後の解釈と考察

ラースがマーゴに「少し歩く?」と尋ねて微笑んだのが印象的なラストでした。

これはラースが成長したと言えるシーンだったのではないでしょうか。

ラースは今まで自分から誘うことはなく、自分の殻に閉じこもっているという印象でした。

しかし、ラストでは「少し歩く?」という短い言葉ではありますが、自ら誘います。

今まで他人と関わることを避けていたラースが他人に心を開いた、すなわち成長したと言えるでしょう。

『ラースと、その彼女』(2007)のその後は?

『ラースと、その彼女』(2007)のその後で気になるのは、ラースとマーゴの関係でしょう。

2人は恋人になるのかというのが気になるところ。

時間はかかるかと思いますが、2人は恋人同士になるのではないかと思います。

もし、カップルになれば、街中の人がお祝いしてくれるのではないでしょうか。

似合っていると思うので、ぜひラースとマーゴには恋人になっていて欲しいです。

【レビュー】『ラースと、その彼女』(2007)の評価・評判

ラースとビアンカ:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

【つまらない?】低評価のレビュー

『ラースと、その彼女』(2007)はどのような低評価レビューがあるのでしょうか。

映画レビューサイトをまとめてみると、

『ラースと、その彼女』(2007)の低評価レビュー
Filmarks:★★★☆☆ 3.0
「主人公に感情移入ができなかった」
映画.com:★★☆☆☆ 2.0
「思ってた内容と違ってかなりシリアス寄り」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★☆☆ 3.0
「ラースの内心が表現されなかったのは残念なところだ」

という低評価レビューがありました。

「感情移入できない」点が低評価につながってしまうようです。

本作はリアルラブドールに恋をし、しかもラースが人間だと思い込んで接しているので、感情移入できなくなってしまうのかもしれません。

また、本作はラブロマンスよりもヒューマンドラマ寄りなので、思っていたのと違うという人も少なからずいるのではないでしょうか。

【面白い?】高評価のレビュー

『ラースと、その彼女』(2007)はどのような高評価レビューがあるのでしょうか。

映画レビューサイトをまとめてみると、

『ラースと、その彼女』(2007)の高評価レビュー
Filmarks:★★★★☆ 4.0
「ほんわかした優しいストーリーで、すっかりお気に入りになってしまった」
映画.com:★★★★★ 5.0
「ほっこりするいい映画だった」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★★★ 5.0
「街中の人達がみんな良い人ばかりで幸せな気持ちになる映画」

という高評価レビューがありました。

「ほっこりする」「心温まる」というレビューが多数!

街の人の優しさにほっこりした気持ちになる人が多いようです。

確かに本作は人の優しさに触れられる映画であったと思います。

日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中3.7という高評価に。

全体的に高評価な結果となりました。

『ラースと、その彼女』(2007)の受賞歴一覧

ここでは『ラースと、その彼女』(2007)の受賞歴を紹介します。

『ラースと、その彼女』(2007)の受賞歴

・ナショナル・ボード・オブ・レビュー脚本賞

・サテライト賞主演男優賞(コメディ・ミュージカル部門)

・トリノ映画祭観客賞(国際長編映画部門)

本作では、以上の賞を受賞しました。

『ラースと、その彼女』(2007)の総合評価:街の人の優しさにほっこり!

ラースとビアンカ:ⓒMetro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

人の優しさに心温まる映画だった『ラースと、その彼女』(2007)。

風変わりな設定やライアン・ゴズリングも魅力的です。

自分なりにメッセージなどを解釈しながら観るとより面白くなるかと思います。

知名度はありませんが、良い映画なのでぜひ観てみてください。

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