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『キングダム』(2019)の楽曲やキャラクター、評価と内容を解説【あらすじ、感想、ネタバレあり】
信、政、河了貂:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

『キングダム』(2019)は、中国春秋戦国時代を舞台に、奴隷の少年と若き王が夢の実現を目指し困難に立ち向かって行くアクション映画。

第44回報知映画賞では監督賞第43回日本アカデミー賞では優秀作品賞、優秀監督賞を含む9部門を受賞しています。

公開からわずか3日で観客動員50万人を突破し、2019年邦画実写作品で第1位を獲得。

そのスケールの壮大さから”実写化困難”と言われていましたが、公開後はアメリカをはじめカナダ、ドイツ、韓国などでも上映するなど海外からも注目を集めました。

そんな映画『キングダム』(2019)の原作や感想、評価をネタバレを含めて解説していきます。

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『キングダム』(2019)の作品情報とキャスト


キングダム(映画)

作品情報

原題:キングダム
製作年:2019年
製作国:日本
上映時間:134分
ジャンル:アクション

監督とキャスト

監督:佐藤信介
代表作:『GANTZ』(2011)『アイアムアヒーロー』(2016)
出演者:山﨑賢人
 代表作:『ヒロイン失格』(2015)『羊と鋼の森』(2018)
出演者:吉沢亮
代表作:『銀魂』(2017)『あのコの、トリコ』(2018)
出演者:長澤まさみ 
代表作:『世界の中心で、愛を叫ぶ』(2004)『海街diary』(2015)
出演者:本郷奏多
代表作:『進撃の巨人』(2015)『いぬやしき』(2018)
出演者:大沢たかお
代表作:『藁の楯』(2013)『AI崩壊』(2020)

『キングダム』(2019)のあらすじ

信:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

"天下の大将軍になる"という夢をもつ下僕の少年、信と漂。

いつか夢を叶えるため、日々たくましく共に暮らしていた。

2人が剣の打ち合いをしていると通りがかりに見ていた王都の大臣、昌文君は漂だけを召し上げて王宮へ連れていく。

離れても、夢のため1人で練習に励む信。

しかしそんなある日、王の弟・成蟜が起こした反乱により漂は深い傷を負う。

意識朦朧としながら何とか信のところまで会いに来た漂。

手にしていた地図を託すと「今すぐそこに行け」と言い残し力尽きてしまう。

突然の別れにどうしようもない悲しみと怒りが込み上げてくるが、漂の思いに応えるため剣を手にただひたすら走り続けた。

やがて地図が示す場所に辿り着つくと、そこで待っていたのは漂と瓜二つの顔をした秦国の若き王・嬴政だった。

『キングダム』(2019)の感想

信:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

再現度の高さ

実写化作品が原作と比較されることはもはや仕方ありません。

すでにキャラクターへのイメージを作り上げている原作ファンからはそのイメージを崩されたくないため、どうしても否定的な意見が多く出ます。

しかし、本作はキャラクターの再現度が”非常に高い”。

それは原作ファンも認めるほどで、本作においてはキャラクターに対する否定的な意見はほとんどありません。

役者の見た目がハイクオリティーなことはもちろん、細部にまでこだわった衣装や建物も本当に原作通りです。

役者、監督、スタッフそれぞれが本作にとてつもないほどの熱量をかけた結果、このクオリティの作品が仕上がりました。

ストーリーにいたっても、映画オリジナルのセリフやシーンの追加はありますが、原作に忠実にもとづいていて、約2時間という短い時間の中でうまくまとまっています。

また原作を未読の方でも楽しめる作品になっており、映画を見た後に原作を読んでみたくなこと間違いなしです。

スケールの壮大さ

本作の舞台は中国。

その本物の世界観を出すため中国・省象山影視城で20日間に及ぶ撮影を敢行したそう。

立派にそびえ立つ王宮はCGではないかと疑うほどの完成度の高さと美しさで驚きを隠せません。

また圧巻ともいえる戦闘シーンでは、実際に1万人のエキストラ投入したことで人だからこそ出せる本物の熱意と臨場感、そして凄まじい迫力を感じることができました。

自分たちもその場にいるかのように、息をするのも忘れるほど見入ってしまいます。

日本映画最大規模で制作されたという本作の製作費は10億円にものぼるのだとか。

これほどの壮大なスケールで描かれる作品はなかなか見られるものではありません。 

ぜひ、本物だからこそ感じられる迫力と美しい映像を堪能してみてください!

信や仲間たちの絆の強さに感動

この映画の一番のみどころは、登場人物それぞれが見せる仲間との強い絆なのではないでしょうか。

まずは信と漂。

この2人が出会うことで夢への第1歩が始まります。

結局漂は夢を叶えられぬまま命を落としますが、その夢を信に託すシーンでは血の繋がり以上の強い絆を感じました。

次に信と嬴政。

最初は漂のかたきである嬴政に信は刃を向けようとしますが、嬴政のブレない芯の強さに次第に心を動かされ、漂の思いを胸に嬴政と共に歩むことを決意します。

そんな信の夢へのまっすぐな思いと諦めない意志の強さを嬴政は目にし、いつの間にか2人の間には信と漂にも劣らないほどの信頼関係が構築されていました。

同じ大望を抱く、野心家の2人は出会うべくして出会ったのだと感じました。

そして昌文君や壁、他の家臣たちと嬴政の揺るぎない信頼関係。

自分の命をかけてでも王である嬴政を守り抜く、という家臣たちの強い意志と嬴政に対する尊敬の念は嬴政のその人柄からきたものでしょう。

実際に成蟜が信たちに追い詰められるシーンでは成蟜を守ろうとするものはいません。

この対比が嬴政の王としての器の大きさや人間性の高さを表現していました。

映画『キングダム』(2019)と原作との違いは?

漂:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

『キングダム』(2019)は原泰久による歴史スペクタクル漫画の実写映画です。

漫画は現在も週刊ヤングジャンプで連載しており、単行本発行部数は56巻発売時点で累計4700万部を突破。

本作では漫画の1~5巻にあたる、王都奪還編と呼ばれるまでの物語を描いています。

予告編が公開されたときから原作の再現度が高いと噂されており、内容もほぼ原作に沿った流れで話が進んで行きますが、原作者の原泰久自身が新たに加えたシーンやキャラ設定の変更も。

原作とどのような違いがあるのか、いつくか紹介していきます。

まだ漂と出会う前、幼いころの信が馬車に乗り奴隷商人に売られていくシーン。

原作では漂と出会う前は描かれていません。

馬車に揺られながら信は遠くの方に砂埃を立てる大軍を目にします。

その先頭に立っていたのはのちの夢となる”大将軍”王騎の姿でした。

これが信が初めて見た王騎の姿です。

”大将軍になる”という夢は信が漂と出会ったとこによりもつ夢ですが、2人が出会うより前に本物の”大将軍”を目にするシーンを加えることよって、信の中に潜在的に持っている大将軍への強い憧れを表現しているのでしょう。

漂が王宮に行き、1人となった信が石の人形相手にひたすら脳天への突きの練習をするシーン。

 信は1人になっても練習を怠らず、繰り返し宙に飛んでは石の人形に剣を突き刺します。

そしてこの技はクライマックスの戦いの際に、左慈を倒す一撃として繰り出されるのです。

原作で信が練習するシーンは描かれていませんが、このシーンを加えることによって

信が努力した末の成長を見届けてほしいという制作側の思いが感じ取れました。

また努力の過程を見せることで観客は感情移入しやすくなり、最後左慈を倒すシーンでの感動がより一層増すことでしょう。

左慈のキャラクター設定と順番

本作で左慈は”元将軍”という設定になっていますが、原作ではただの人斬りです。

この人斬りから”元将軍”という設定に変えたのは、”大将軍”になるという信の夢を否定する

左慈という存在に説得力を持たせるためでしょう。

また原作ではランカイを山の民と協力し合って倒す、というのがラストとして描かれていますが映画では左慈がラスボスとして登場し、最後は信との1対1での決着になるよう演出されています。

『キングダム』(2019)の評価は?

政:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

『キングダム』(2019)はどのような評価がなされているのか、映画レビューサイトでの良かった点と残念だった点をいくつかまとめていきます。

良かった点

・クオリティが高く、キャストたちの演技も素晴らしかった

・期待を裏切らないスケールと迫力あるアクションシーンは見入ってしまった

・1人2役を演じる吉沢亮の存在感が群を抜いていた

残念だった点

・話が1~5巻と漫画の序章部分に過ぎず、物足りなかった

・橋本環奈演じる河了貂のセリフが漫画に比べて少なかった

・衣装などの小道具が新しく、紀元前という時代性を感じない

総合評価

一部では原作と比べて辛辣な意見を述べているものもいくつかありましたが、レビューサイトでは、おおむね5点満点中3.9と高評価を獲得。

興行収入は57億円を突破し2019年に公開された邦画実写作品では第1位、

洋画と邦画を含む全体のランキングでも第9位と上位に入っていました。

また第43回日本アカデミー賞優秀作品賞も受賞するなど映画関係者からの評価も高いため、今後長期でのシリーズ化も期待されています。

レビューにもあった通りまだ漫画の序章部分しか描いていないので、まだまだ続編を続ける可能性は高いです。

ぜひ、信が夢である”天下の大将軍”になるため成長していく姿を見たいものです。

『キングダム』(2019)の主題歌と歌詞を紹介

信:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

『キングダム』(2019)の主題歌は?

『キングダム』(2019)の主題歌は、『Wasted Nights』です。

歌っているのは世界でも人気がある日本のロックバンド、ONE OK ROCK。

”壮大さ””ビッグアンセム”をテーマにこの映画のために書き下ろされ、野生的でメッセージ性の強い歌詞と迫力ある壮大なメロディーは、『キングダム』(2019)の世界観ととてもマッチした曲となっています。

松橋真三プロデューサーはこの映画の世界観に通ずる素晴らしい楽曲にしてくれるのは彼らしかいない! と脚本を作り始めた段階ですぐにオファーしたそう。

”夢と自分の意志を強く貫き、世界を変えていく”というメッセージが込められている映画とこの楽曲は見事なまでに共鳴し合っており、その相乗効果で『キングダム』(2019)の魅力はより一層高まっています。

メッセージ性の強い歌詞

ONE OK ROCKらしい英語のフレーズもたくさん登場しており、その中でも特に『キングダム』(2019)の世界観と合った歌詞と和訳に注目したいと思います。

こDon’t be afraid to dive

(飛び込むことを恐れないで)

Be afraid that you didn’t try

(挑まないことのほうが恐ろしい)

These moments remind us why

(挑めばきっと分かる)

We’re here, we’re so alive

(なぜここにいるのか、生きる意味を)

困難な敵や無謀な夢に信と贏政が挑み続けながら、前に進んで行く強い意志が表現されたような歌詞です。

何かに挑もうとしている時や挫けそうになった時にこの曲は背中を押してくれることでしょう。

『キングダム』(2019)のキャストとキャラクターを紹介

ここでは『キングダム』(2019)のキャラクターと実写版のキャストについて紹介していきます。

 信 役:山﨑賢人

信:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

戦災孤児の下僕でありながら大将軍になるという夢をもって、漂と共にたくましく生きる本作の主人公。

主人公を演じる山﨑賢人は今まで『ヒロイン失格』(2015)などの数多くの実写化作品に出演しています。

今回役作りのため10kgの減量と半年間に及ぶ激しいトレーニングをし、徹底的に体作りを行った結果、細い体でも荒々しく動き回り誰よりも高く飛ぶ信がしっかり再現されていました。

普段は穏やかで天然なイメージが強いですが、山﨑賢人の純粋な人柄はまっすぐで少しおバカな愛らしい信にピッタリとハマっています。

嬴政・漂 役:吉沢亮

政:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

嬴政/玉座を奪われた秦国の若き王で後の始皇帝。

中華統一という大志を抱く。

漂/信の幼馴染で親友。もともと戦災孤児で信と共に暮らしていたが、嬴政と容姿が似ていることで影武者となる。

信とともに本作の軸である政嬴と漂の2役を演じたのは吉沢亮。

そして本作で第43回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞しました。

嬴政と漂はどちらも凛としていますが、顔つきやまとうオーラはまったく違います。

この難しい1人2役を演じるに当たってそれぞれの人間性を掘り下げるのはもちろん、視線の配り方から立ち姿など細部まで意識して丁寧に役柄に向き合ったそう。

嬴政の美しさと強さの内に秘められた熱い思いと、漂のブレない芯の強さがしっかりと演じ分けられており、同じ顔でも完全に別人に見えるその表現力の高さに圧倒されました。

楊端和 役:長澤まさみ

楊端和:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

山の民を統べる美しき山界の王。

美しく底知れない強さをもつ楊端和を演じたのは、『コンフィデンスマンJP』(2019)で見事な詐欺師を演じ高い演技力が話題となった、長澤まさみ。

本作ではその美しさと凛々しさに思わず目が奪われました。

本格的なアクションは初めてでありながら二本の剣を華麗に振り回す姿は漫画の楊端和そのものです。

吉沢亮と共に第43回日本アカデミー賞で優秀助演女優賞を受賞しています。

河了貂 役:橋本環奈

河了貂:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

鳥を模した不思議な簑を被った、三民族の末裔。お金目当てに信、嬴政たちと行動を共にするが次第に打ち解けていく。

演じたのは青春映画からコメディー映画まで幅広く出演している、橋本環奈。

河了貂は最初性別が明確にされていないため、喋り方や表情で少年っぽさを出しチョコチョコ動き回る姿でかわいらしさが垣間見えるよう意識したそうです。

その絶妙なバランスを橋本環奈が演じることにより、河了貂はいっそう愛らしいキャラクターへと変化していました。

成蟜 役:本郷奏多

成蟜:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

嬴政の異母兄弟。王族の血を引いている自分こそが王にふさわしいと考え、反乱を起こす。

信と嬴政が憎むべき成蟜を演じたのは、本郷奏多。

その風貌と憎らしさは”原作を超えてきた”と原作者の原泰久が大絶賛するほど。

1人では何もできない臆病さと器の小ささを表情と雰囲気で見事なまでに表現しており、本作の1番のハマり役と言えるでしょう。

王騎 役:大沢たかお

王騎:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

六大将軍最後の1人。”秦の怪鳥”の異名をもつ伝説的な英雄で信が憧れている人物。

このキングダムでなくてはならないとても重要なキャラクター王騎を演じたのは、大沢たかお。

2016年から約2年間に渡り芸能活動を一時休止していましたが、本作で見事復帰を果たしました。

原作の王騎はとても大きくその存在感の強さも尋常ではありません。

そのため、15キロもの増量を成功させ屈強な体へと作り上げていきました。

信と嬴政の前で、大きな矛を振い敵兵を一撃でふっ飛ばしていくシーンは王騎の絶対的な強さと存在を感じさせ、その姿は本当に”圧巻”のひと言につきます。

また王騎の特徴である”ンフフ”という独特な笑い方も原作のイメージ通りで思わず笑ってしまいます。

『キングダム』(2019)のまとめ

信、政、河了貂、昌文君:(C)2019映画「キングダム」製作委員会

終始、夢への熱い思いと強いメッセージを観客に投げかけてくる映画『キングダム』(2019)。

どんなに困難で難しい夢であると思われていても、前に進み続ける意志の強さと自分を信じることの大切さを感じられる作品。

またそれぞれが仲間を大事に思い、強い絆で結ばれている登場人物たちの関係性にもとても感動します。

まさか、アクション映画でここまで心が揺さぶられるとは思いませんでした。

迫力満点のアクションだけでなく、熱い人間ドラマも見ることができるこの作品は子供から大人まで楽しめるものとなっています。

ぜひ、ご家族皆さんで観てみてはいかがでしょうか。

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