
『アイアンマン』(2008)は2008年に制作されたアベンジャーズの始まりとも言える作品です。
世界でもっとも成功した映画シリーズと言われる、「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」。
MCUの成功も、第1作である『アイアンマン』(2008)の成功があったからこそであると言えるでしょう。
本作のあらすじと魅力を、ネタバレを交えつつ紹介していきます。
目次
『アイアンマン』(2008)の作品情報とキャスト
作品情報
原題:Iron Man
製作年:2008年
年製作国:アメリカ
上映時間:126分
ジャンル: SF
監督とキャスト
監督:ジョン・ファヴロー
代表作:『アイアンマン2』(2010) 『ライオン・キング』(2019)
出演者:ロバート・ダウニー・Jr / 吹替:藤原啓治(トニー・スターク / アイアンマン)
代表作:『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994)『シャーロック・ホームズ』(2009)
出演者:テレンス・ハワード / 吹替:高木渉(ジェームズ・“ローディ”・ローズ)
代表作:『陽のあたる教室』(1995)『クラッシュ』(2004)
出演者:ジェフ・ブリッジス / 吹替:土師孝也(オバディア・ステイン / アイアンモンガー)
代表作:『トロン 』(1982) 『クレイジー・ハート 』(2009)
『アイアンマン』(2008)のあらすじ

パワードスーツを作成するトニー© TM &2007 Marvel2007 MVLFFLLC
軍需産業「スターク・インダストリーズ」の社長、トニー・スタークは、テロ組織である「テン・リングス」に拉致された。
「テン・リングス」はトニーに、「スターク・インダストリーズ」が開発した破壊兵器「ジェリコ」の製作を命じる。
トニーは同じく拉致されていた科学者インセンとともに、 破壊兵器を作るふりをしてパワードスーツを作り、脱出する計画を立てた。
インセンが犠牲になりつつも、トニーは完成したパワードスーツを使って「テン・リングス」の元から脱出に成功する。
自社の破壊兵器が世界中に溢れていることを知ったトニーは、パワードスーツをさらに発展改良させ、鋼鉄のヒーロー「アイアンマン」として破壊兵器根絶の戦いを開始するのだが……。
【ネタバレあり】『アイアンマン』(2008)の感想と考察

スーツの改良を続けるトニー© TM &2007 Marvel2007 MVLFFLLC
それでは本作の感想と考察を書いていきます。
アイアンマンはマーベル映画の始まり?
『アイアンマン』 (2008)はMCU作品の第1作として公開され、本作の成功がなければ世界歴代1位の興行収入を記録した『アベンジャーズ』シリーズの成功もありませんでした。
マーベル映画はサム・ライミ監督による『スパイダーマン』(2002)が大ヒットを記録していますが、2002年の時点ではMCUの構想はなく、ヒーロー映画は単体で完結しているのが当たり前でした。
本作の成功はこの概念を打ち破り、アメコミでは当たり前だったヒーローたちの共演=クロスオーバーを、映画の世界でも可能としたのです。
クロスオーバーの歴史はマーベルコミックスのアベンジャーズよりも、ライバルであるDCコミックスのジャスティス・リーグのほうが古いのですが、映画の世界においてはマーベルコミックスが興行収入で圧勝しています。
【ネタバレあり】アイアンマンって何者?『アイアンマン』(2008)を徹底解説

アイアンマン マーク3© TM &2007 Marvel2007 MVLFFLLC
MCUでもトップクラスの人気を誇るアイアンマン。
多彩なパワードスーツが登場するのが、人気の理由のひとつです。
【ネタバレあり】アイアンマンの装備は? スーツの性能などを紹介
『アイアンマン』(2008)では3種類のスーツが登場しており、それぞれに特徴があります。
マーク1から3のスーツを紹介していきます。
マーク1
テロリストのアジトに拉致監禁されたトニーが、インセンと共同で開発した、記念すべきスーツ1号目。
急造品であるため、無骨な外見と必要最低限の武器のみが搭載されているのが特徴。
とはいえ、すでに戦闘兵器としては1級品の出来で、銃火器の攻撃をことごとく弾き返し、ロケットと火炎放射器でアジトのテロリストたちを壊滅させました。
スーツは基本的にトニーの心臓部にあるアーク・リアクターからエネルギーを供給しており、マーク1の時点では稼働限界はきわめて短時間。
砂漠に残骸を残し大破しましたが、のちにオバディア・ステインの手に渡り、アイアン・モンガーの原型となります。
マーク2
生還を果たしたトニーが、世界中に散らばった自社製の破壊兵器を根絶するために開発したスーツ。
両手両足からリパルサーを利用したスラスターを噴射することで、飛行することができます。
人工知能であるジャービスとリンクしたディスプレイをヘッドに搭載。
飛行テスト中、高度4万フィートで凍結してしまうという弱点が判明し、材質を変更したマーク3の開発へと繋がりました。また、のちにローディーが装着する「ウォーマシン」の原型となっています。
マーク3
アイアンマンの象徴とも言える、レッドとゴールドを基調とした初のスーツ。
素材は金とチタンで、「アイアン(鋼鉄)」ではありませんが、人々にはこのスーツが「アイアンマン」として認知されました。
リパルサーを掌から発射するリパルサー・レイ、心臓部からアークリアクターのエネルギーを直接発射する強力なユニ・ビームを備えています。
また、他にもミサイルや迎撃用フレアなどの様々な武装や、マッハを超える飛行性能を備えており、のちに続くスーツの原型となりました。
【ネタバレあり】アベンジャーズのキーパーソン? スパイダーマンとの関係は?
世界的な人気キャラクター、スパイダーマンとアイアンマンの関係も、MCUの見逃せない要素のひとつです。
自信家で人付き合いが苦手なトニーにとって、スパイダーマン=ピーター・パーカーは、唯一ともいえる弟子であり、友人であり、息子同然の存在でした。
スパイダーマンがMCUに参入し、アイアンマンとの交流を深めていくのは『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』(2016)以降ですが、実はずっと以前、MCUにピーター・パーカーが登場していたことをご存知でしょうか?
『アイアンマン2』(2010)の終盤、危機一髪のところをトニーに救われた、アイアンマンのマスクを被った少年。
トニーから「いいぞ、ぼうや」と声をかけられたこの少年こそが、のちにスパイダーマンとなるピーター・パーカー少年であったことを、関係者が明言しています(スパイダーマン俳優のトム・ホランドからの提案による後付設定ではありますが)。
スパイダーマンとの関係について詳しく知りたい方はこちら↓
https://minority-hero.com/cinema_review/Spider-man%EF%BC%9AFar+From+Home/4733/
【ネタバレあり】『アイアンマン』(2008)の登場人物を一覧にして解説!
『アイアンマン』(2008)の登場人物たちを紹介していきます。
トニー・スターク
巨大軍需産業「スターク・インダストリーズ」の社長にして、天才発明家。
自らが開発したパワードスーツを着て、世界に散らばった自社製兵器を根絶する為に戦う「アイアンマン」。
自信家で横柄であり、しばしば人から反感を買う性格をしてはいるものの、正義を愛する心は本物という、複雑なキャラクターです。
演者のロバート・ダウニー・Jrは、過去の薬物問題の影響で製作サイドから起用を渋られていましたが、オーディションで他を圧倒した演技を見せたため、見事トニー・スターク役を勝ち取りました。
原作ではしばしばアルコール依存症に陥るトニー・スタークは、複雑な過去を持つロバート・ダウニー・Jrにとってまさに当たり役で、難しいキャラクターに、さらに深みをもたせるのことに成功したキャスティングであると言えるでしょう。
ペッパー・ポッツ
トニー・スタークの秘書で、よき理解者。本名はヴァージニアですが、そばかすがあることからトニーに「ペッパー(コショウ)」のあだ名をつけられました。
MCUではのちにトニーと結婚し、モーガンという女の子をもうけますが、原作ではトニーに恋心を抱きつつも、ハッピーと結婚します(そして離婚します)。
『アイアンマン3』(2013)では、観客の予想を裏切る活躍を見せました。
ハッピー・ホーガン
トニーのボディーガード兼専属運転手。
ハロルドが本名ですが、「全然ハッピーに見えない」という理由で、トニーにハッピーというあだ名をつけられました。
ペッパーに較べるとMCUでの出演回数が多く、ところどころでそのキャラクターで笑わせてくれます。
演じているのはジョン・ファヴロー。
本作及び『アイアンマン2』(2010)のメガホンを取り、その後も様々なMCU作品で製作総指揮を務めました。
トニー役に友人であるロバート・ダウニー・Jrを推薦したことからも、MCU成功の最大の立役者は、ジョン・ファヴローであると言えるかもしれません。
ホー・インセン
優れた医学者であると同時に科学者でしたが、テロ組織「テン・リングス」に家族を殺された上、拉致監禁されていました。
同じく拉致され、瀕死だったトニーの命を救い、ともに脱出をすべくパワードスーツ「マーク1」を作り上げる計画を立てますが、決行の際に命を落とします。
インセンの尊い犠牲をもって、トニーはテロリストのアジトからの脱出に成功しました。
他人を省みなかったトニーが正義に目覚めたきっかけとなったのは、インセンの犠牲による部分が大きいことは間違いないでしょう。
『アイアンマン3』(2013)では、トニーとの初対面が描かれ、ファンを喜ばせました。
オバディア・ステイン
「スターク・インダストリー」の副社長でありながら、私欲のためにトニーを裏切った男。
トニーの拉致監禁事件は、オバディアが裏で手を引いていました。
「テン・リングス」が回収していたマーク1の残骸を横取りし、アイアンモンガーを作り上げ、アイアンマンと激闘を繰り広げます。
アイアンモンガーの開発中に、アーク・リアクターを実用化できない研究者を叱責し、恨みに思った研究者がのちに、スパイダーマンの敵であるミステリオに協力する、という因縁を作り出しています。
意外な繋がりを楽しむことができるのも、MCUの大きな魅力のひとつです。
【ネタバレあり】『アイアンマン』(2008)の評価や評判を紹介

オバディアが操るアイアン・モンガー© TM &2007 Marvel2007 MVLFFLLC
MCU作品の第1作目として公開された『アイアンマン』(2008)。
世間の評価や評判を紹介します。
アイアンマンは知名度が低い?
日本においてアイアンマンは、メジャーとはいえないヒーローでした。
アメコミヒーローといえばスパイダーマンやスーパーマン、バットマンくらいしか一般的に知られていなかった中で、MCUという壮大なプロジェクトの第1弾として登場したアイアンマン。
知名度の低さから成功を危ぶむ声もありましたが、作品の質の高さで、日本でも大ヒットを記録しました。
『アイアンマン』(2008)のまとめ

トニーのもとを訪れたニック・フューリー© TM &2007 Marvel2007 MVLFFLLC
2019年現在の映画では、エンドロールのあとにおまけ映像があるのは当たり前のようになっていますが、2008年当時ではあまり見かけない手法でした。
『アイアンマン』(2008)では、エンドロールの後にシールド長官ニック・フューリーが現れ、トニーにアベンジャーズ計画の存在を明かしますが、見逃した方も多かったのではないでしょうか。
アベンジャーズ計画は、本作以降のMCU作品の展開の軸となっていきます。
壮大なMCUの世界のうちの1作として本作を鑑賞してみると、さまざまな新しい発見があるかもしれません。
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