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【実話?】受賞歴もある傑作『スリー・ビルボード』(2017)【あらすじ、感想、ネタバレあり】

『スリー・ビルボード』(2017)は2017年にアメリカ合衆国で公開されたサスペンス映画。

ヴェネツィア国際映画祭で監督・脚本のマーティン・マクドナーが脚本賞を受賞するなど高い評価を得ました。

また、アカデミー賞ではフランシス・マクドーマンドが主演女優賞を、サム・ロックウェルが助演男優賞を受賞するなど演技でも高い評価を受けています。

ゴールデン・グローブ賞でも作品賞、女優賞、助演男優賞、脚本賞の4冠を獲得!

トロント国際映画祭でも最高賞にあたる観客賞を受賞!

予測不能な展開で魅せるサスペンス映画『スリー・ビルボード』(2017)について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!

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『スリー・ビルボード』(2017)の作品情報とキャスト


スリー・ビルボード (吹替版)

作品情報

原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
公開年:2017年
製作国:アメリカ
上映時間:115分
ジャンル:サスペンス

監督とキャスト

監督:マーティン・マクドナー
代表作:『ヒットマンズ・レクイエム』(2008)『セブン・サイコパス』(2012)

出演者:フランシス・マクドーマンド /吹替:塩田朋子(ミルドレッド・ヘイズ)
代表作:『ファーゴ』(1996)『スタンドアップ』(2005)

出演者:サム・ロックウェル/吹替:加瀬康之(ジェイソン・ディクソン)
代表作:『グリーンマイル』(1996)『月に囚われた男』(2009)

『スリー・ビルボード』(2017)のあらすじ

ミルドレッド:©︎Fox Searchlight Pictures

アンジェラ・ヘイズという名前のティーンエイジャーがレイプされた後に焼かれて殺害されるという凄惨な事件が発生。

7ヶ月が経過した後も、一向に進展しない捜査に業を煮やした母親のミルドレッド・ヘイズは道路脇に3枚の立て看板を設置する。

それは地元警察への辛辣な抗議メッセージだった。

ウィロビー署長を敬愛してきた地元住民たち、巡査のディクソンもこの行動に憤慨。

看板を外すようミルドレッドに忠告するが…。

【ネタバレあり】『スリー・ビルボード』(2017)を解説

ミルドレッドとディクソン:©︎Fox Searchlight Pictures

『スリー・ビルボード』(2017)とは?

娘を殺害された母親が警察を批判する看板を設置したことから、予期せぬ事件が起こるクライムサスペンス映画。

ちなみに原題である『Three Billboards Outside Ebbing, Missouri』とは“ミズーリ州エビング郊外の3枚の広告看板”という意味です。

主演はオスカー女優のフランシス・マクドーマンド。

監督であるマーティン・マクドナーはフランシス・マクドーマンドを主演とした映画を製作する旨を2015年にインタビューの中で語っています。

日本ではキネマ旬報の外国語映画ベスト・テン、読者選出ベスト・テン(外国映画)の第1位、毎日映画コンクールの外国映画ベストワン賞など多くの映画賞や映画雑誌の年間ベスト1位に選ばれました。

映画史に残る1作といっても過言ではないかもしれません。

『スリー・ビルボード』(2017)の登場人物を紹介

ここでは『スリー・ビルボード』(2017)の登場人物を紹介していきます。

ミルドレッド・ヘイズ/フランシス・マクドーマンド

本作の主人公であり、娘をレイプ殺人で亡くしてしまった母親。

一向に捜査が進まないことに憤慨し、地元警察への辛辣な抗議メッセージを掲げた3枚の立て看板を設置するが、地元警察や地元住民の反対にあう。

それでも自分の意思を曲げないという強さをもつ。

看板を燃やされた復讐に警察署に火炎瓶を投げ込むなど、暴力的な一面もある。

ビル・ウィロビー署長/ウディ・ハレルソン

エビング警察の署長。

レイプ殺人事件の捜査が進まないため、ミルドレッドが設置した3枚の看板により名指しで批判されてしまう。

誠実な人柄で地元住民や部下からも尊敬されている。

末期の膵臓癌を患っており、映画中盤で自殺してしまう。

ジェイソン・ディクソン巡査/サム・ロックウェル

エビング警察の警官。

人種差別主義者であり、暴力的。

ゲイである秘密を持つ。

劇中でミルドレッドが投げた火炎瓶により、大ヤケドを負ってしまうが、最後はミルドレッドと和解する。

アカデミー賞を受賞したフランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェルとは?

アカデミー賞で主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンド助演男優賞を受賞したサム・ロックウェルとはどのような役者なのでしょうか。

2人について紹介していきます。

フランシス・マクドーマンド

アカデミー賞、エミー賞、トニー賞、演劇の三冠王を達成したアメリカの女優。

『ファーゴ』(1996)、『スリー・ビルボード』(2017)でアカデミー賞主演女優賞を複数回受賞するという史上13人目の快挙を成し遂げる。

また、アカデミー賞では、この他に3回の助演女優賞にノミネート。

その他の映画賞でも多くの賞を獲得するなどの実績をもつ。

映画だけでなくテレビや舞台でも活躍。

サム・ロックウェル

アメリカの俳優。

2002年に『コンフェッション』(2002)で初主演をかざり、ベルリン国際映画祭の男優賞を受賞。

『月に囚われた男』(2009)ではほぼ全編一人芝居で主役を演じた。

『スリー・ビルボード』(2017)でアカデミー賞助演男優賞、ゴールデングローブ賞でも助演男優賞を受賞するなど高い演技力が評価される。

【ネタバレあり】『スリー・ビルボード』(2017)の感想

ミルドレッドとウィロビー:©︎Fox Searchlight Pictures

予測不能な展開

『スリー・ビルボード』(2017)はヴェネツィア国際映画祭で脚本賞を受賞しただけあって、予測不能な展開が魅力的な作品となっています。

いい意味で期待を裏切り、物語は予想外の方向へ。

ラストは犯人逮捕かと思われましたが、そうはならず、予想しなかった結末。

立て看板を燃やした意外な犯人、黒人の意外な正体など、とにかく先の展開が読めない!

また、キャラクターの造形も深く、意外な一面(行動)もあったりして、キャラクターにも裏切られます。

特にウィロビー署長。

最初はミルドレッドが批判しただけあって、悪い人物かと思いましたが、実は誠実な人柄であり、広告の維持費として5000ドルをミルドレッドに贈ったのです。

また、自殺してしまうのも意外でした。

このように本作では意外な展開やキャラクターの意外な一面がたくさん盛り込まれています。

最後の最後まで目が離せません。

ラストは少し残念……

『スリー・ビルボード』(2017)のラストは少し拍子抜けした結末を迎えます。

これは個人差があり、好き嫌いがあるかと思いますが、個人的には好みではありませんでした。

確かに意外な結末といえば、意外な結末であり、予想を裏切ったのは評価できます。

しかし、あやふやではなく、もっとハッキリした結末にして欲しかったのが正直な感想。

犯人は誰なのか、レイプ犯を殺すのか、殺さないのか。

どちらかと言えば重い雰囲気のサスペンス映画なので、ラストが平和的な感じで終わってしまうのも少し物足りなさを感じてしまいました。

しかし、それ以外は素晴らしい脚本になっており、観ていておもしろいです。

『スリー・ビルボード』(2017)は実話?【町山さんの解説と監督インタビューから考察】

スリービルボード 監督インタビュー

『スリービルボード』監督インタビュー(C)2017 Twentieth Century Fox

鑑賞後にレビューサイトでは、「『スリー・ビルボード』(2017)は、実話なの?」という感想がとても多かったです。

実話の真意について調べてみると、この映画は、アメリカで深刻な問題になっている、女性へのレイプや差別、暴力といった、怒りをアメリカをはじめとする世界全体に主張するために制作されたフィクションであることが分かります。

映画評論家である町山智浩さんも、自身が担当するラジオで、実話だとは語らず、脚本の秀逸さとメッセージ性を褒め「アカデミー脚本賞は絶対に行くだろう」と明言していました。

さらに、監督であるマーティン・マクドナーは、監督インタビューでアメリカを旅行中に見かけた看板からインスピレーションを得たと説明。

マクドナー監督は、以下のように語っています。

「(看板を)掲げたのは1人の母親だと決めた途端に、物語がひとりでに走り出したんだ。そして強い母親のキャラクターが生まれた。タフでないと広告を掲げないからね。それによって大混乱が起きることも分かったうえで、心構えをしている強い女性だ。その設定だけで、冒頭20ページは流れるように出来上がった」

本作を「私が作った作品の中で、最も希望に満ちた映画だ」と自己分析し、「どのキャラクターも人間性が垣間見えるよう、ありのまま描いた。人間性が感じられると、完全な善人も悪人もいなくなる。だからこそ最初から最後まで、希望が残ったんだと思う。大切なのはありのままに描くことだ」

インタビューでもわかるように脚本の極意も明かしているので、この映画が実話ではないフィクションであることが分かります。

『スリー・ビルボード』(2017)のラストは?犯人を考察!

ミルドレッド:©︎Fox Searchlight Pictures

『スリー・ビルボード』(2017)で気になる犯人は一体誰なのでしょうか。

ラストは犯人解明かと思われましたが、そうはなりませんでした。

ディクソンが犯人だと推測した男は、DNA鑑定の結果、事件とは関係ないことが分かり、アリバイもあったのです。

結局、犯人が誰なのか分からないまま終わってしまいました。

ここで2つの説が浮かび上がります。

本当に犯人だった

ひとつはディクソンが推測した犯人が本当に犯人だったという説。

アバークロンビー署長の説明は上からの圧力があったのではないでしょうか。

というのも「軍の任務でアメリカを離れてある砂漠の国にいた」という国が絡んでいる説明。

アバークロンビー署長もなんだか“言わされいる”ような感じがしました。

また、その男がわざわざミルドレッドに会いにいくのも怪しい気がします。

犯人は別にいる

もうひとつは犯人は別にいるという説。

アバークロンビー署長の説明は本当であり、男は事件と無関係であったのではないでしょうか。

予想を裏切ってきた脚本だけに、真犯人逮捕!とならない展開に納得。

ディクソンは「その男は事件と関係がなくても、レイプ犯であることは間違いないためアイダホに行く」と発言しています。

この発言からも真犯人は別にいるのかもしれません。

『スリー・ビルボード』(2017)の評価は?

ミルドレッドとジェームズ:©︎Fox Searchlight Pictures

『スリー・ビルボード』(2017)はどのような評価がなされているのでしょうか。

映画レビューサイトでのレビューをいくつかまとめると、

・「緻密に練られた脚本がまず見事」
・「どうなるどうなるのの連続で、楽しめました」
・「先入観からくる予想が次々と覆されて、ラストまであっという間でした」

などやはり脚本や人間描写に対する高評価が多いです。

さらに全体の点数としても5点満点中4.0と高評価。

本作は映画批評家からも絶賛されており、フランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェルの演技が高い評価を受けました。

『スリー・ビルボード』(2017)のまとめ

ミルドレッドとディクソン:©︎Fox Searchlight Pictures

予測不能な展開や深い人間描写で楽しませてくれた『スリー・ビルボード』(2017)。

批評家が絶賛したというのも納得の出来になっています。

また、アカデミー賞を受賞したフランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェルの演技も素晴らしかったです。

本作はサスペンス映画の代表作のひとつになったと言えるでしょう

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