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ルーム(ROOM)_感想・考察

監禁された部屋で生まれ、一つの部屋で育った母と子が描いた衝撃の感動作『ルーム』(2015)。

興行収入は3630万でしたが、アカデミー賞を始め190ノミネート、74受賞した大ヒット作です。

『キャプテン・マーベル』(2019)で主演を務めたブリー・ラーソンが母役を務め、多くの人々に知られるきっかけになった作品でもあります。

本作品でも『キャプテン・マーベル』(2019)同様に、ブリー・ラーソンが強い女性を演じていて、とても魅力的でした。

本記事では、『ルーム ROOM』(2015)の元ネタや原作・感想・考察をネタバレを交えながら解説していきます。

【『ルーム』(2015)の評価】

項目 評価 点数
知名度 ★★★☆☆ 75点
配役/キャスト ★★★★★ 90点
ストーリー ★★★★☆ 80点
物語の抑揚 ★★★★☆ 90点
感動 ★★★★★ 100点
子役の可愛さ ★★★★★ 100点
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『ルーム』(2015)の作品情報


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製作年 2015年
原題 Room
製作国 アメリカ
上映時間 118分
ジャンル サスペンス、ドラマ
監督 レニー・アブラハムソン
脚本 エマ・ドナヒュー
原作 部屋
主要キャスト ブリー・ラーソン(ジョイ・ニューサム)/日本語吹替:久嶋志帆

ジェイコブ・トレンブレイ(ジャック)/日本語吹替:菊地慶

ジョアン・アレン(ナンシー)/日本語吹替:野沢由香里

ショーン・ブリジャース(オールド・ニック)/日本語吹替:野川雅史

『ルーム』(2015)の概要

ジョイとジャック© 2015 Getty Images

天窓しかない部屋で7年間生活しているジョイは、ある男に誘拐され監禁されていた

ジョイにはその男との間に生まれたジャックという子供がいる。

ジャックはジョイの愛情によりすくすく部屋の中で育ち、5歳の誕生日になる。

部屋の中で生まれ育ったジャックは外の世界を見たことがない。

部屋にあるテレビに移る人間すら偽物だと思っている。

ある日、ジョイは賢くなってきたジャックに自分が監禁されていることと、外の世界があるという真実を話す。

そしてジャックを外に逃すために動き出すのであった

『ルーム』(2015)の感想と考察

半目にいるジャックとジョイ© 2015 Getty Images

『ルーム』(2015)の感想

ジャックの性別が分からない?子役の魅力

ジャックの性別は男ですが、非常に可愛らしい顔立ちなので女の子と間違えるくらいでした。

5年間ずっと髪を切らなかった長髪の姿なので、最初ジャックのことを女の子と勘違いしていた方も多かったみたいです。

また、ジョイがオールド・ニックにジャックは男の子と強くアピールしていたので、もしかしたら実は女の子でオールド・ニックに暴力されるのを恐れて、嘘をついているのかもと考えましたが普通に男の子でした。

また、この子役の演技が素晴らしかったです。

役としては外の世界を見たことない少年という、心情分析など難しい役柄でしたが見事に演じ切っています。

本作品でジャック役のジェイコブ・トレンブレイは、男優賞のノミネートと受賞合計21個獲得していました。

誰の視点で観るかによって全く違う映画になる

本作は基本的にジャックの視点もしくは第三者の視点で描かれているので、比較的希望のある作品になっていますが、他の人の視点で物語をみてみるとまた変わった作品になります。

例えばジョイ視点です。

7年間誘拐され孤独だったジョイは、監禁されて2年目でジャックを生みます。

インタビューの記者が「子どもを保護させるとか考えなかったのか」と聞きますが、自分を監禁している男に子どもを預ける神経のほうがおかしいでしょう。

また、ジョイの父親がジャックにむけた目が世間の目だと考えると、先が見えず絶望するのはもちろんです。

ジョイが自殺を図りましたが、このことを踏まえると自分以外にもジャックを任せられる環境があり、緊張が解けた瞬間だったということがわかります。

ジョイの目線で観るとひたすら孤独や絶望がある、やや重い作品になるのです。

このように、視点によって違った世界観を楽しむことができます

『ルーム』(2015)の考察

【怖い?】『ルーム』(2015)が描き出す恐怖の正体

『ルーム』(2015)の怖さは悲惨なストーリーを、無邪気な子ども目線でみるというギャップにあるでしょう。

例えば2人を監禁しているオールド・ニックですが、ジャックにとっては魔法使いであり、毎週食べ物などなにかを持ってきてくれる存在です。

また、部屋の中しか知らないため外に出ることを、ジャックが怖がるシーンがあります。

これも私たちからすると考えられないことですが、ジャックにとっては当たり前であり、一種の洗脳された状態に近いのです。

本作品にはこのように普通に育っていれば、考えられないようなことが起きていることに恐怖が隠れていました。

『ルーム』(2015)はハッピーエンドだったのか?

『ルーム』(2015)の作品自体はハッピーエンドといえるでしょう。

ジャックは徐々にジョイ以外にも話したりできるようになり、成長をみせていきます。

同年代の友達もできたジャックはこの世界に馴染んでいきました。

その姿をみたジョイはおそらく自分も前に進もうと決意したでしょう。

その後ジャックと共に色々なことにチャレンジしていきます。

そしてラストシーン部屋のことが気になっていたジャックは、ようやく決別することができます。

これはジャックが部屋のことを乗り越えて前に進んだ証拠でしょう。

そして、ジャックに「部屋にサヨナラと言って」と言われたジョイは小声で別れを告げます。

ジョイにとっての部屋は忘れたい過去です。

そしてジョイを監禁後も苦めていたことは、もう解放されたはずの部屋での事件でした。

ずっと成長できなかったジョイでしたが、部屋と決別したことにより前向きに生きようと決めたのでしょう。

ジョイとジャックの人生はこの先も続きますが、本作品はここで終了になるためハッピーエンドといえます。

『ルーム』(2015)は実話?原作や元ネタ・モデルとなった人物

天窓を見つめるジャック© 2015 Getty Images

『ルーム』(2015)の原作・元ネタ「フリッツル事件」とは?

『ルーム』(2015)の原作は本作品で脚本家も務めている、エマ・ドナヒューが執筆した「部屋」です。

完全な実話ではないものの、オーストリアで実際にあった「フリッツル事件」を元に描かれています。

この事件は24年間父親に地下室に監禁され、性的な虐待を受けた娘の事件です。

被害にあった娘のエリーザベト・フリッツルは24年間の間で7人の子どもを出産しています。

7人のうち3人はエリーザベト・フリッツルが置いていったことにして、犯人である父親とその母親で育てられました。

母親は娘が失踪したと思っているので、地下室にいるとは予想もしてなかったそうです。

また、残りの子どもたちは地下室でエリーザベト・フリッツルによって育てられました。

この事件の解決はエリーザベト・フリッツルの娘の長女が病気になり、その治療をした病院の医者が不審に思ったことにより、通報し解決しています。

【比較】『ルーム』(2015)の原作と映画版の違いは?

『ルーム』(2015)の原作と映画版の違いについて解説していきます。

・ジョイが誘拐されたのが原作が19歳で本作では17

・原作では最後部屋には戻らないでジャックとジョイ2人で更生施設に入る

・原作ではジョイは養子であり、祖父祖母共に義理の関係

・原作ではジョイはジャックの前に2人出産しているが、2人とも死んでいます。部屋の近くに埋められているため、オールド・ニックは立ち止まったのは同じように埋めようと考えたからです。

・レオは犬を飼っていなかった

・ジョイには兄がいる

・本作品でジャックは祖母に髪を切ってもらっていたが、原作ではジャックは自分で髪を切る

・ジャックの髪は原作で祖母にブレスレットにしてもらっている

『ルーム』(2015)が意味するものとは? 原題から主題まで解説

ルームで遊ぶジャックとジョイ© 2015 Getty Images

『ルーム』(2015)の原題・タイトルの意味とは?

『ルーム』(2015)の原題は邦題と同じくRoomです

訳すと「部屋」という意味ですが、これはジョイやジャックが監禁されていた部屋のことを指します。

本作品は監禁されていたときの前半と、部屋から脱出した時の後半で構成されていますが、後半に関してもジャックが部屋に戻りたがるなど、部屋が最後まで関係しました。

『ルーム』(2015)が意味すること、なにを伝える作品なのか?

ルームはジャックにとっての世界を意味します。

本作品でとても興味深いのは、ジョイにとってはこのルームは地獄でありトラウマ的存在なのです。

このため本作品は、無邪気なジャックを通してこの2人のギャップをみることで興味深い作品になっています。

ジャックはルームを出た後に外の世界に抵抗があり、部屋に戻りたいと何度も言いました。

ジャックにとってはルームこそが自分の場所であり、ジョイや私たちにとっての地球と同等なのです。

私は最初ルームに戻してあげた方が良かったとも思いましたが、ルームはあくまでオールド・ニックがいて成り立つ世界であり、バランスの悪い世界。

そのためどこかでジャックは部屋の外に出て、本当の世界をみる必要があったのです。

ジョイの精神が不安定になったときに、ジャックが段々と成長していき最後はジョイと立場が逆転します。

そして最後ルームに再び訪れて自分の世界と決別しました。

部屋の概念をずらさないことで表現できた、ジャックの成長を伝えた作品でした。

『ルーム』(2015)の最後は?ラストシーンや結末を解説

悩むジョイと励ますナンシー© 2015 Getty Images

『ルーム』(2015)の結末・ラストシーン

世界のことがわかってきたジャックは、ある日ジョイに監禁されていた部屋に戻ろうと言いました。

抵抗があったジョイでしたが、警官と一緒に部屋に行きます。

ジャックは部屋に入ると「ドアが開いている、開いていたら部屋じゃない」と言いました。

ジョイが「閉めたいの?」と聞くと否定します。

一緒に5年間過ごした家具にお別れを言って、ジョイとジャックは部屋を後にしました。

『ルーム』(2015)のその後、現在は?

『ルーム』(2015)のその後は作中描かれていません。

また、次回作などの話も出ていませんが、おそらくラストシーンでジョイが部屋と決別したシーンが示すものは、今後も2人が支え合って生きていくような人生を表しているでしょう。

また、元ネタとなったフリッツル事件のその後に関しては、いくつか情報がありました。

ジョイ役のボジションの人物に関しては、ボディーガードをしてもらっていた人と交際を始め、今は一緒に暮らしているそうです。

また、子どもたちのその後に関しては複数人いるので、明かされていませんが犯人が捕まってからは太陽を浴びてなかったので、ビタミンDが不足していたと明かされています。

本作品でもジョイが執拗にビタミン剤を、買い出しされていたのはこのためだったのですね。

本作品で犯人であるオール・ドニックのポジションの人物は、警察に捕まったあと終身刑になっています。

『ルーム』(2015)の最後の解釈と考察、口パクの意味

ラストシーンでジャックが部屋を閉めることを否定したのは、この世界で生きることを決めた決意の表れです。

部屋を出てからことあるごとに部屋に帰りたがっていたジャックですが、もうその心配はないでしょう。

最後に家具にお別れを言いますが、これも同様の理由です。

ジャックの成長を感じることができる素晴らしいシーンでした。

ジャックとジョイはもう二度と部屋に戻ることはないでしょう。

ちなみに最後の口パクは「Bye the room(バイ ザ ルーム)」と言ったと考えられます。

【レビュー】『ルーム』(2015)の評価・評判

家で遊ぶジャック© 2015 Getty Images

【つまらない?】低評価のレビュー

『ルーム』(2015)の低評価レビュー
Filmarks:★★☆☆☆ 2.0
「気が重い」
映画.com:★☆☆☆☆ 1.0
「暗い。母親がイカれているのがストレス溜まる」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★☆☆☆☆ 1.0
「後半の人間性は物語として描く必要がなかった」

7年間監禁され暴力を受け続けていたというストーリーに、暗く重い気分になった人が低評価をしていました。

また、後半の部屋を出た後の物語に対して、テンポが落ち物語として別に要らないのではないかという意見もあります。

後半に関してはジョイが精神的に、参ってしまうシーンが多いのですが、そのシーンに関してはリアルを伝えるという意味では重要なシーンだと感じました。

7年間子どものために生きてきた緊張が一気にほどけて、世間の見られかたもあり精神的に病むのも仕方ないことでしょう。

そして、本作品はその絶望的なシーンだけでなく、ラストでは希望がみえる終わり方をしています。

私は物語として綺麗な終わり方だと感じました。

【面白い?】高評価のレビュー

『ルーム』(2015)の高評価レビュー
Filmarks:★★★★☆ 4.0
「観ていて引き込まれたし母親役の言葉ひとつひとつが胸に刺さったな」
映画.com:★★★★☆ 4.5
「前半の脱出劇がメインかと思いきや、脱出後も描かれていてよかった」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★★☆ 4.2
「最も無邪気な性格の観点から語られることで、興味をそそられる身も凍るような物語になっていた」

脱出劇をメインにしているのではなく、脱出後の被害者の感情がわかるシーンも入っていてよかったという評価が多かったです。

また、母親目線ではなく無邪気な子ども視点で物語が進んでいくので、悲劇の物語ではあるものの救いや希望があり興味深いという評価もありました。

『ルーム』(2015)の総合評価:実際にあった凶悪な事件を感動の映画

ジョイとジャック© 2015 Getty Images

『ルーム』(2015)は24年間監禁された事件を元に作られた、親子愛を描く感動の映画です。

予告をみると脱出劇やサスペンスの作品として勘違いされますが、監禁された部屋を出てからの物語も丁寧に作られています。

無邪気なジャックの言動や心に刺さるものがありますが、同時に母親にとっては希望を与える言葉でもありました。

たまには感動する映画で思いっきり泣きたいという方は、おすすめの作品です。

気になった方は、ぜひご覧になってみてください。

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