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過ごした時間か、血縁か? 是枝監督作『そして父になる』(2013)のキャストや元ネタ・原作を解説【あらすじ、感想、ネタバレあり】
二組の家族 (C)2013『そして父になる』製作委員会

日本を代表する映画監督である是枝裕和による映画『そして父になる』(2013)。

歌手・俳優として人気の高い福山雅治の是枝作品初主演作としても話題を呼びました。

映画は2013年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、審査員賞を受賞しています

興行収入はアート映画としては異例に高い32億円

国内外を問わず高評価を得た『そして父になる』(2013)のあらすじと解説等をネタバレを交えて紹介していきます。

『そして父になる』(2013)の作品情報とキャスト


そして父になる

作品情報

原題:そして父になる
製作年:2013年
製作国:日本
上映時間:121分
ジャンル:ドラマ

監督とキャスト

監督、脚本:是枝裕和
代表作:『誰も知らない』(2004)『万引き家族』(2018)

出演者:福山雅治
代表作:『アマルフィ 女神の報酬』(2009年)『マチネの終わりに』(2019年)

出演者:尾野真千子
代表作:『萠の朱雀』(1997)『殯の森』(2007)

『そして父になる』(2013)のあらすじ

野々宮一家と斎木一家 (C)2013『そして父になる』製作委員会

建設会社に勤めるエリートサラリーマンの野々宮良多は妻みどりと6歳の息子慶多と幸せに暮らしていた。

しかしある日、慶多が生まれた群馬県の病院から新生児取り違えの連絡を受ける。

慶多は良多たちの実の子ではなく、群馬に住む琉晴という子が実の子であると知らされる。

病院の指示のもと、野々宮夫妻と琉晴を育てた斎木雄大・ゆかり夫妻は徐々に子供達を交換しようとする。

新しい家族との生活に戸惑い、今まで育った親の元に戻りたがる子供達。

子供の交換は子供にも親にも容易なものではなかった……。

『そして父になる』(2013)の豪華キャストを紹介

斎木夫妻 (C)2013『そして父になる』製作委員会

この映画は数々の豪華キャスト主演という点でも注目されました。

まず、日本やアジアで主に女性に絶大な人気を誇る福山雅治

彼が初めて是枝監督とタッグを組んだ作品、また初めて父親役を演じた点においても本作品は話題を呼びました。

演技も高く評価され、福山雅治は日本アカデミー賞、ヨコハマ映画祭などで主演男優賞を受賞しています。

2017年には『三度目の殺人』で監督と二度目のタッグを組んでいます。

良多の妻を演じるのは、2011年、NHK朝ドラカーネーション』で主役を務め、人気の絶頂にあった尾野真千子

斎木夫妻においては同じくテレビや映画でひっぱりだこだった真木よう子が妻役を演じ、夫役はイラストレーター、ライター、ミュージシャン、俳優などマルチな分野で活躍するリリー・フランキーが演じました。

この作品以降、リリー・フランキーはほとんどの是枝作品に出演し、真木よう子も2016年の是枝監督作品『海よりもまだ深く』(2016)に主演しています。

また慶多を演じた二宮慶多は2012年より映画やドラマで活躍する有名子役です。

『そして父になる』(2013)は実話?! 元ネタや原作を解説

お風呂の場面 (C)2013『そして父になる』製作委員会

『そして父になる』(2013)は実話に基づいているわけではありませんが、参考文献として挙げられているのが奥野修司著『ねじれた絆ー赤ちゃん取り違え事件の十七年ー』

この本は、第二次ベビーブーム期に多発した赤ちゃん取り違え事件を題材にしています。

1971年に発生し、77年に発覚した沖縄で起きた実際の取り違え事件を25年にわたり取材したノンフィクション作品で、2004年と2013年に2度ドラマ化。

実際の事件では6歳の少女2人が血の繋がった実の親の元に引き取られ育てられます。

【ネタバレあり】『そして父になる』(2013)ラストを解説

良多とみどり夫妻 (C)2013『そして父になる』製作委員会

参考文献として扱われている『ねじれた絆ー赤ちゃん取り違え事件の十七年ー』の事件では新生児の時取り違われた少女が6歳で実の親元に戻される、という結末でした。

映画のラストは少年たちが実の親の元に戻るのか、育ちの親の元に戻るのか、曖昧になっています

敢えて言えば、慶多の父を愛する気持ちを知った良多が、群馬に住む慶多を突然訪れ、「ミッションなんか終わりだ」と最後に慶多を抱きしめるシーン。

そのシーンから、「その後は育ちの親の元に戻るのかな」と想像させられますが、それも観客の想像に任されています。

『そして父になる』(2013)の感想

複雑な家族事情(C)2013『そして父になる』製作委員会

全体の感想として、この映画では他の是枝監督作品と変わらず、登場人物の感情が細やかに丁寧に描かれている、と感じました。

大人しくて心優しい慶多が実の親の元に連れて行かれた時、育ちの親である良多に裏切られたように感じ傷つきます。

慶多はその気持ちを直接ぶつけるのではなく、内に秘め、良多に一貫して冷たい態度。

一方、琉星は明るく活発な性格で、ふとした際に育ちの親の元に戻りたいと漏らしたり、親会いたさに育ちの親の元から家出したりします。

6歳とはいえ、反発の仕方にも子供の性格がよく表れていると思いました。

『誰も知らない』(2004年)以降是枝監督の特徴の一つとされる、子役の演出のうまさがこの映画には顕著に表れています。

子供達が生き生きとしていて、演技が自然体

また、良多の感情の変化も細やかに描かれています

映画の冒頭では、冷徹なエリートサラリーマンとしての側面が強く描かれますが、

  • 実は良多の育ちは豊かではなかったこと
  • 両親が離婚して義母に育てられたこと
  • 実母に会いたくて自分も家出したことがあること

などが徐々に明るみになります。

良多は病院の要請や、父の意見から実の子を引き取るのが最善、と思い込むようにしていますが、過去の記憶を蘇させたり、他の家族と触れ合うことによって、様々な家族の形を学び、父として、家族として何が大切なのかを学んでいきます。

その過程が丁寧に描かれており、その機敏な感情の推移を表現できたことが福山雅治の主演男優賞に繋がったのでしょう。

また、対照的な夫妻の夫を演じたリリー・フランキーも肩書きや学歴はないけれども、愛情深い父親役を見事に熱演

取り違え事件の不平不満をそこまで口にすることなく、淡々と事実を受け入れ、取り違えられて育った実の子も受け入れ、一生懸命愛情を注ぐ姿は潔く、美しくもあります。

『そして父になる』(2013)のまとめ

良多と慶多 (C)2013『そして父になる』製作委員会

国内外で高い評価を得、数々の名誉ある賞を獲得した『そして父になる』(2013)。

映画に感動したスティーブン・スピルバーグはドリームワークスでこの映画のリメイクを製作することを予定しています

淡々と家族を追った映画ですが、観るたびに新しい見方ができ、そして心が締め付けられるようになりながらも、どこか暖かさが残る作品です。

是枝作品ファンなら必見、そうでなくても、素晴らしい演技とストーリーテリングの観点からもぜひおすすめしたい映画

見終わった後は、家族とは何か、血縁は必要なのか、暖かな気持ちで色々と考えさせられるでしょう。

本作の他にも感動できる映画を紹介していますので、合わせて確認してみてください。

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