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【衝撃の実話】『スキャンダル』(2019)の特殊メイクや楽曲、評価の解説と考察【あらすじ、感想、ネタバレあり】
(c) Lions Gate Entertainment Inc

『スキャンダル』(2019)は、女性たちの背中を押してくれる映画です。

本作は2016年に起きた「FOXニュース」CEOへの訴訟を元にした、現在でも根強く残るセクハラ問題に真っ向から挑んだ作品です。

#Metoo運動はここから始まりました。

彼女たちの勇気ある行動から、女性たちが声を上げる必要を世間に知らしめるきっかけとなりました。

メーガン役とプロデューサーを買って出たシャーリーズ・セロンが「これ以上無視できなかった」という、セクハラ問題に対する一つの答えとなった本作。

ネタバレを大胆に踏まえて解説していきます。

『スキャンダル』(2019)作品情報とキャスト

(C) Lions Gate Entertainment Inc.

作品情報

原題:Bombshell
製作年:2019
製作国:アメリカ、カナダ
上映時間:108
ジャンル:ドラマ、伝記

監督とキャスト

監督:ジェイ・ローチ
代表作:『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015)『ミート・ザ・ペアレンツ』(2000)

出演者:ャーリーズ・セロン
代表作:『モンスター』(2003)『タリーと私の不思議な時間』(2018)

出演者:ニコール・キッドマン
代表作:『ムーランルージュ』(2001)『ある少年の告白』(2018)

出演者:マーゴット・ロビー
代表作:『スーサイド・スクワッド』(2016)『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)

出演者:ジョン・リスゴー
代表作:『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』(2017)『ザ・コンサルタント』(2016)

出演者:ケイト・マッキノン
代表作:『イエスタデイ』(2019)『ゴーストバスターズ』(2016)

『スキャンダル』(2019)のあらすじ

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全米ナンバーワンの視聴率を誇る「FOXニュース」の人気キャスター、メーガン・ケリーは、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプの女性軽視発言を問題視し、討論会では直接鋭い質問を浴びせる敏腕キャスターだ。

反響は大きかったが、その後トランプから嫌がらせのツイートが連投され、トランプ支持者から野次を浴びせられ、パパラッチには追われる日々となった。

その頃、野心的な新人キャスターのケイラ・ポスピシルは「FOXニュース」CEOのロジャー・エイルズに近づく機会を得る

元売れっ子キャスターであったグレッチェン・カールソンは、ロジャー・エイルズからのセクハラを拒否したため番組を降格され、最終的には理由なく解雇されてしまう。

不当に解雇されたグレッチェン・カールソンは、テレビ業界の帝王ロジャー・エイルズを相手にセクハラ訴訟を起こす。

弁護士にも勝ち目はないと言われながらも「自分以外にも被害者がいるはず、彼女たちが声を上げてくれるそう信じて。

しかし、FOXニュース内では彼女に対抗し「チーム・ロジャー」なるものが誕生するほどロジャーを援護する人たちは多く、社内でグレッチェンに同調することは許されない雰囲気がありありと漂っている。

全米で激震が走る中、訴訟について沈黙を続けるメーガン・ケリーの動向に注目が集まる

『スキャンダル』(2019)の感想と考察

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銃がなくても女性は戦える!

観終わった後は体に力がみなぎって、まるでヒーローになったかのような高揚感に包まれました。

そして、女性たちが群れて一致団結するわけではないという斬新な物語の進め方に目が離せなくなりました。

彼女たちは一人で考え、一人で決断し、一人で行動して共通の問題と向き合うのです。

3人がエレベーターで乗り合わせるシーンでは、それぞれの視線がギリギリのところで絡まずに、お互いをさぐるように見るんです。

このシーンはグレッチェン、ケイラの運命が大きく動く前のシーンとなっており、それぞれの問題や思惑が絡み合い、緊張感のあるシーンに仕上がっています。

メーガンはロジャーから受けたセクハラを話すことで、今まで築いたキャリアが崩れるかもしれないという恐怖があります。

ロジャーは彼女を気にかけ、成長することに協力してきた人物でもあるのです。

考え抜いた結果、彼女は夫や周りのスタッフからの支えを得て、勇気ある決断をします。

"あなたはまだ戦っていない"と言われているような気がしました。

勇気ある行動をする彼女たちの選択が、力強いメッセージとなり、ヒーローになったかのような高揚感を与えてくれたのです。

セクハラ問題について考えさせられる

『スキャンダル』(2019)を観て、私たちの日常にも少なからず起きているセクハラ問題について真剣に考えさせられました。

2017年"#Metoo"運動が起き、セクハラを受けた女性たちが勇気を出して声を上げ始めました。

『スキャンダル』(2019)は、日本で公開されたのは2020年で、その4年前の2016年に実際に起きたセクハラ事件を元にして作られた作品です。

セクハラで訴えられたロジャー・エイルズが

女性たちも私を利用した、何が悪いんだ

というようなことを言ってました。

この問題の根の深さが分かるセリフですね。

・自分が何を強要したか

・彼女たちは拒否出来たのか

・拒否すれば何が待ち受けているのか

・彼女たちの代償がどれだけ大きなものだったのか

らは想像すらできないんです。

原題の「Bombshell」には"衝撃のニュース"という意味を持つほか、"性的に魅力的な女性"という意味もあります。

CEOのロジャー・エイルズが元キャスターに訴えられるという"衝撃のニュース"と、セクハラをする人たちがキャスターたちを"性的に魅力的な女性"としか見ていないという、本作にぴったりのタイトルです。

日本でのタイトルが『スキャンダル』になったのは、製作側の意図が伝わりにくいので、そこが少し残念です。

【ネタバレあり】『スキャンダル』(2019) は実話!?実際に起きた事件と映画を比較

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2016年に起きたセクハラ問題を元にした本作ですが、実在の人物と作品で描かれている人物、事件はどこまで事実と近づけているのでしょうか。

実際に起きた事件と比較していきます!

執筆時点で2020年なので、今からたった4年前の話です。

このスピードで実名で映画化するというところがハリウッドの凄いところですね!

現大統領であるドナルド・トランプ大統領の扱いも酷くて、観ている側は「こんなの流して大丈夫?」と不安になるほど大胆に差別発言を放つ大統領の映像を流します。

日本で同じことが出来るだろうかという考えが頭をよぎるほど、文化の違いに驚きました。

テレビ業界の帝王ロジャー・エイルズ

ロジャー・エイルズは一代でFOXニュースを全米ナンバーワンの視聴率を誇るテレビ局に成長させた実力者です。

彼は人々がニュースの内容よりもキャスターの「脚」を見ていることに目をつけ、彼女たちの脚が綺麗に見えるよう短いスカートを穿かせ、視聴率を上げてきました。

テレビニュースの帝王になった彼に意見したり、セクハラに抵抗できた人間は周りにいなくなったのです。

映画でも事実通り、グレッチェンがロジャーとの面談中にセクハラ行為を求められた事を拒否し、女性に対する不当な扱いだとしてロジャー相手に訴訟を起こしています。

ロジャーはその後辞任し、21世紀FOX側がグレッチェンに2千万ドル(20億4千万円)の和解金を支払い、公式に謝罪する声明を出しました。

FOXの内部調査の結果、20人以上の女性がロジャー・エイルズによる嫌がらせを訴えたということです。

実際はグレッチェンは守秘義務契約をしている為、どのようなやり取りがあったかはわかっていません。

創作の人物ケイラ・ポスピシル

また、本作で登場しているケイラ・ポスピシルは創作の人物で、かつてロジャー・エイルズからのセクハラを受けた人をモデルにしていると思われます。

ロジャーがどのようなセクハラをするのか、「忠誠心を見せろ」とはどのような意味なのか、ケイラを通じて観客の私たちは知るのです。

ケイラとロジャーの面談のシーンはあまりにも生々しくて、訳も分からずスカートを上げていくケイラを見ているのはとても辛かったです。

音楽がすごい『スキャンダル』(2019)に登場する楽曲を解説

『スキャンダル』(2019)の予告に流れる音楽は、史上最年少の18歳でグラミー賞4部門を独占した次世代のスター、ビリー・アイリッシュの「bad guy」です。

映像に音楽がマッチして、緊張感あふれる予告になっています!

『スキャンダル』(2019)本編の楽曲

本編の音楽担当はセオドア・シャピオです。

手掛けた映画作品で代表的なものは『プラダを着た悪魔』(2006)、『トランボハリウッドに最も嫌われた男』(2015)などがります。

彼の音楽は独特で、本作品では静かに、そして追い詰めていくようなスリル溢れる曲が映画を盛り上げています!

最も印象深い曲は予告でも使われているClear and Simpleです。

音程、強弱を変えた女性の声が静かな音色に乗って、物語がどう進むのか予想できない展開を作り出しています。

ボーカルが入った曲は1曲目のOne Little Soldierです。

これは「反撃開始!」というような勢いのある曲です!

サントラ収録曲
  1. One Little Soldier/Regina Spektor
  2. Clear and Simple (feat. Caroline Shaw, Petra Haden & Susanna Hoffs)/Theodore Shapiro, Caroline Shaw, Petra Haden, Susanna Hoffs
  3. Problems with Women/Theodore Shapiro
  4. Breaking (feat. Caroline Shaw, Petra Haden & Susanna Hoffs)/Theodore Shapiro, Caroline Shaw, Petra Haden, Susanna Hoffs
  5. The Tour/Theodore Shapiro
  6. Fox News Apologies (feat. Caroline Shaw, Petra Haden & Susanna Hoffs)/Theodore Shapiro, Caroline Shaw, Petra Haden, Susanna Hoffs
  7. Deposition/Theodore Shapiro
  8. The End Times/Theodore Shapiro
  9. Elevator Trio (feat. Caroline Shaw, Petra Haden & Susanna Hoffs)/Theodore Shapiro, Caroline Shaw, Petra Haden, Susanna Hoffs
  10. Chills and Fevers/Theodore Shapiro
  11. Accusers’ Waltz (feat. Caroline Shaw)/Theodore Shapiro, Caroline Shaw
  12. Roger Is Out/Theodore Shapiro
  13. Dressing Room (feat. Caroline Shaw, Petra Haden & Susanna Hoffs)/Theodore Shapiro, Caroline Shaw, Petra Haden, Susanna Hoffs
  14. Text Messages/Theodore Shapiro
  15. How Do I Play This/Theodore Shapiro
  16. Roger Roger Roger/Theodore Shapiro
  17. The Murdoch Boys/Theodore Shapiro
  18. The Questions (feat. Caroline Shaw, Petra Haden & Susanna Hoffs)/Theodore Shapiro, Caroline Shaw, Petra Haden, Susanna Hoffs
  19. Talking Points (feat. Caroline Shaw, Petra Haden & Susanna Hoffs)/Theodore Shapiro, Caroline Shaw, Petra Haden, Susanna Hoffs
  20. Explode (feat. Caroline Shaw)/Theodore Shapiro, Caroline Shaw


    本人そっくり? 特殊メイクを手掛けたカズ・ヒロ

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    『スキャンダル』(2019)で2度目のメイクアップ&ヘアスタイリング部門でアカデミー賞を受賞したカズ・ヒロは日本の京都出身です。

    現在は国籍をアメリカに変え、今回はアメリカ人としての受賞となりました。

    アカデミー賞で受賞した際のカズ・ヒロのスピーチはとても印象的でした。

    心からの感謝をシャーリーズ・セロンに贈りたいと思います。素晴らしい俳優であり、プロデューサーです。あなたの思いやりと愛、他者への気配りがこの映画を成り立たせています。あなたの勇敢な情熱のおかげで、メイクアップ業界に属する者として、ストーリーを語る新たな道が開けました。

    『スキャンダル』(2019)のシャーリーズ・セロンのメイクは3Dプリンターを使い、特注の「鼻栓」を作成し、毎回3時間弱、ニコール・キッドマンに2時間、ジョン・リスゴーに3時間かかったそうです。

    その結果、メーガンの家族が二度見してしまうほどの見事な仕上がりとなっています。

    筆者も映画が始まってメーガンが出てきた時「もしかしてシャーリーズ・セロン?」と確信できない程の変わりようで驚きました。

    更にすごいのは話し方、声のトーンがまるで違うところです。

    カズ・ヒロの特殊メイクの技術とシャーリーズ・セロンの底力が本作では遺憾なく発揮されています!

    面白い?『スキャンダル』(2019)の評価

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    第92回アカデミー賞 主演女優賞(シャーリーズ・セロン)、助演女優賞(マーゴット・ロビー)、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の3部門にノミネートされ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞では見事受賞しました。

    レビューの反応は2020年3月17日時点で

    ・Filmarks 3.6点

    ・Yahoo!映画 3.52点

    ・映画.com 3.5点

    海外の映画批評サイトロッテントマトでは批評家から70%、観客からは84%と高評価。

    日本との評価が違う理由は、海外では実際の事件を目の当たりにした人が多く、感情移入しやすかったのではないかと思います。

    実際日本でのレビューの中には"日本人の私には現実味がなかった"という意見もありました。

    他には"映画は娯楽なのにエンターテイメント性がなく、ドキュメンタリーのようで楽しめなかった"、"ストーリーが速すぎてついていけなかった"、"ラストがすっきりしなかった"という意見が多かったです。

    肯定的な意見で多かったのは"セクハラ問題を身近に感じることが出来た"、"権力を使って卑劣な行為をするなんて許せない"、"とにかくシャーリーズ・セロンがかっこいい!"、"エレベーターの緊張感あるシーンは名シーンだ"というもの。

    『スキャンダル』(2019)のまとめ

    (c) Lions Gate Entertainment Inc

    ロジャーが辞職に追い込まれて、めでたしめでたし! ではないところがこの作品に賛否両論がある理由の一つだと思います。

    彼が辞任してもFOXは変わらないと気づき、ケイラは会社を後にします。

    「必死で声を上げたのに何も変わらないんだ」と思ったら誰でも膝から崩れ落ちてしまいますよね。

    でもまた戦おう、また立ち向かおう! というメッセージが伝わりました。

    これでやる気をなくしているようでは女性の権利を勝ち取ることはできないんだと。

    無関心であったり、ただの流行りにしてはいけません。

    鑑賞した男性が責められているような気持になってしまったら、それは製作側の意図とは違います。

    この作品は「男性も立ち上がろう」という作品なのですから。

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