
旅はお好きですか?
観光はもちろん、傷心を癒すため、自分を探すため、何かから逃げるため…。
人が旅に出る目的は様々です。
でも、現実の旅ではドキドキハラハラする展開は滅多に待ち受けていませんよね。
それならば、映画の中でとびっきりドラマチックな旅を楽しんでみてはいかが?
ということで今回は、思うように旅行もできない今こそ観て欲しい、おすすめのロードムービー&旅映画を20本ご紹介します。
映画の中で束の間のトリップをお楽しみください!
【ロードムービー&旅映画のおすすめ】
順位 | 作品名 | おすすめ度 |
1位 | グリーンブック | ★★★★★ |
2位 | シェフ!三ツ星フードトラック始めました | ★★★★☆ |
3位 | 鮫肌男と桃尻女 | ★★★★☆ |
ロードムービー・旅映画とは?
旅、あるいは逃避行の中で展開するドラマが描かれた映画のことを、ロードムービーまたは、旅映画と言います。
ロードムービー・旅映画の特徴
旅映画は、日常から離れた広大な自然や景色、異国文化などが映像に収められていることが多く、観ているだけでも旅行をした気分になれます。
また、旅の始まりと終わりで、主人公の境遇や心境が(良くも悪くも)180度変わっていることもあり、人生の虚しさや素晴らしさをぎゅっと凝縮した作品がたくさんあるのが特徴です。
ロードムービー・旅映画の歴史
ロードムービーが多く作られるようになったのは、1960~70年代頃。
アメリカン・ニューシネマの代表作『イージー★ライダー』(1969)や『真夜中のカーボーイ』(1969)、日本でも、山田洋次監督作『家族』(1970)や『幸福の黄色いハンカチ』(1977)といった数々の名作が誕生しています。
ロードムービー・旅映画のおすすめな選び方
ロードムービー・旅映画を観たいけど、どれにしようか迷う方に向けておすすめの選び方をご紹介します。
旅をする地域で選ぶ
国内か海外か。
海外であれば、どこの地域を旅するのか。
自分が行ってみたい場所で選ぶもよし、行ったことのある場所で選ぶもよし。
きっと、観たことのない素晴らしい景色や文化を堪能できるはずです。
主人公の目的や境遇で選ぶ
ハラハラドキドキしたいなら逃避行系、ゆっくりと自分と向き合いながら旅を楽しみたいなら自分探し系など、主人公の置かれた状況によって展開される旅のスタイルも様々。
自分がどんな旅を楽しみたいか、より興味のある主人公を選んでみましょう。
感動系を選ぶ
特に目的のない旅もいいけれど、やはり旅を通して何か得たいと思っている人も多いはず。
感動系のロードムービーには、主人公によるそういった“気付き”や、これまでの自分を“リセット”するものが多く見られます。
そんな映画を観れば、人生における“大事なヒント”がもらえるかもしれません。
ロードムービー・旅映画ののおすすめ比較一覧
作品名 | 監督 | 作品時間 | おすすめ度 |
『グリーンブック』(2018) | ピーター・ファレリー | 130分 | ★★★★★ |
『リトル・ミス・サンシャイン』(2006) | ジョナサン・デイトン ヴァレリー・ファリス | 100分 | ★★★★☆ |
『レヴェナント:蘇えりし者』(2015) | アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ | 157分 | ★★★★☆ |
『LOGAN ローガン』(2017) | ジェームズ・マンゴールド | 138分 | ★★★★☆ |
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(2014) | ジョン・ファブロー | 115分 | ★★★★☆ |
『LIFE!』(2013) | ベン・スティラー | 114分 | ★★★☆☆ |
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(1995) | リチャード・リンクレイター | 102分 | ★★★☆☆ |
『パーフェクト ワールド』(1993) | クリント・イーストウッド | 138分 | ★★★☆☆ |
『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007) | ショーン・ペン | 148分 | ★★★☆☆ |
『セックス・アンド・ザ・シティ2』(2010) | マイケル・パトリック・キング | 147分 | ★★★☆☆ |
『127時間』(2010) | ダニー・ボイル | 94分 | ★★★☆☆ |
『LION ライオン 25年目のただいま』(2015) | ガース・デーヴィス | 119分 | ★★★☆☆ |
『運び屋』(2018) | クリント・イーストウッド | 116分 | ★★★☆☆ |
『2分の1の魔法』(2020) | ダン・スキャンロン | 103分 | ★★★★☆ |
『風花』(2000) | 相米慎二 | 116分 | ★★★★☆ |
『鮫肌男と桃尻女』(1998) | 石井克人 | 107分 | ★★★★☆ |
『ヴァイブレータ』(2003) | 廣木隆一 | 95分 | ★★★★☆ |
『岸辺の旅』(2015) | 黒沢清 | 128分 | ★★★☆☆ |
『悪人』(2010) | 李相日 | 139分 | ★★★☆☆ |
『百万円と苦虫女』(2008) | タナダユキ | 121分 | ★★★☆☆ |
ここからは、それぞれのストーリーや見どころについてご紹介していきます!
『グリーンブック』(2018)粗野な用心棒と天才ピアニストの友情の旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2018年・アメリカ | 130分 | ピーター・ファレリー | ヴィゴ・モーテンセン | NY~アメリカ南部 | ★★★★★ |
『メリーに首ったけ』(1998)などで知られるコメディ映画の名手、ピーター・ファレリー監督がキャリア初の感動作を手掛け、第91回アカデミー賞で作品賞をはじめ3冠を達成。
1936~1966年まで毎年出版された黒人が利用可能な施設を記した旅行ガイドブック=グリーンブックを手に、人種差別が残るアメリカ南部への旅に向かう黒人ピアニストと、彼の用心棒として雇われた男の道中をコミカルに描きます。
ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリという2人の名優が魅せる、友情と絆のロードムービーです。
『グリーンブック』の名シーン、名場面も紹介

シャーリーにフライドチキンを勧めるトニー:©2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
白人と黒人と人種も違えば、用心棒とピアニストという職業も全く違う。
一見、相容れない2人が、旅を通して互いのことを知り、友情を深めていく。
道中、車の中でケンタッキーフライドチキンを貪り喰うトニー(ヴィゴ・モーテンセン)が、油でベタベタになった手でシャーリー(マハーシャラ・アリ)に「お前も喰うか?」と勧める場面では、そんな2人の壮大なズレが楽しいシーンとなっています。
『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)個性的な家族が美少女コンテスト会場を目指す旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2006年・アメリカ | 100分 | ジョナサン・デイトン ヴァレリー・ファリス | グレッグ・ギニア | ニューメキシコ州アルバカーキ~カリフォルニア州レドンドビーチ | ★★★★☆ |
末娘のオリーブ(アビゲイル・ブレスリン)が美少女コンテストに出場するため、オンボロの車で問題児だらけの一家が旅をします。
『ルビー・スパークス』(2012)や『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017)といった良作を生み出し続けているジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス夫婦コンビの監督デビュー作。
トニ・コレットやスティーブ・カレル、アラン・アーキンら個性派俳優が演じるワケあり家族が行き着く先は…?
『リトル・ミス・サンシャイン』の名シーン、名場面も紹介

ワケあり一家はどこへいく…?:© 2006 Twentieth Century Fox
旅の最初はバラバラの方向を向いていた家族が、道中、様々な問題に直面するたびに一緒に悩み、考えることで次第にひとつにまとまっていく過程がステキで、ああ、なんだかんだ言いつつ家族っていいものだなと思うことでしょう。
また、ちょっとぽっちゃりのメガネっ子の末娘オリーブを演じたアビゲイル・ブレスリンのかわいらしさ!
物語の終盤、コンテストの舞台で彼女が見せる“ダンス”は必見です。
『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)生死を彷徨う男の復讐と生還を懸けた旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2015年・アメリカ | 157分 | アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ | レオナルド・ディカプリオ | アメリカ北西部の極寒地帯 | ★★★★☆ |
レオナルド・ディカプリオが5度目のノミネートにして悲願のオスカーを受賞した衝撃作。
1823年、毛皮ハンターの一団のガイドとして息子と共に同行していたグラス(レオナルド・ディカプリオ)は、先住民からの襲撃を受け、熊にも襲われ瀕死の状態になってしまう。
さらに、グラスを看取る役として残ったフィッツジェラルド(トム・ハーディ)はグラスの息子を殺し、足手まといのグラスをも手にかけようとします。
なんとか自力で回復したグラスが、極寒の地をたったひとりでフィッツジェラルドを追い孤独な旅を続けるサバイバル・ムービーです。
『レヴェナント:蘇えりし者』の名シーン、名場面も紹介

熊に襲われるグラス:©2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
極寒の川に飛び込む、生魚にかぶりつく、熊に襲われる、動物の遺体を割き内臓を取り出し自ら入って暖をとる…。
息子の仇をとるために、何としても生き抜こうとする執念の男・グラスを演じるレオナルド・ディカプリオの全身全霊の演技に思わず息を止めて見入ってしまう作品です。
これでオスカー獲らなかったら何で獲るの!?
と言いたくなるほどの名演。坂本龍一による緊張感みなぎる音楽も効果的です。
『LOGAN ローガン』(2017)ミュータントの希望をつなぐ最後の旅路
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2017年・アメリカ | 138分 | ジェームズ・マンゴールド | ヒュー・ジャックマン | メキシコ国境近く~米ノースダコタ州 | ★★★★☆ |
『X-MEN』シリーズの人気キャラクター、鋭い爪を持つウルヴァリンことローガン(ヒュー・ジャックマン)の過酷な運命を描いた完結編。
年老いて、不死身の能力や超人的な力も衰えてしまったローガンの前に、ある日、ローラ(ダフネ・キーン)という謎めいた少女が現われます。
ピアース(ボイド・ホルブルック)率いる武装集団に追われている彼女をノースダコタまで連れて行くため、ローガンと少女の旅が始まるのでした。
『LOGAN ローガン』の名シーン、名場面も紹介

ローガンの最後の勇姿を見届けよ!:©2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
舞台は、ミュータントが絶滅の危機にある2029年。
そこに現われた少女ローラの中に自分と似たものを感じたローガンは、次第に彼女と“疑似親子”のような関係になっていきます。
ミュータントの生き残りとして自分が今できること、すべきことは何なのか。
過酷な運命を背負い、長年戦い続けてきたウルヴァリンがローラと共闘し見せる最後の勇姿は、涙なしには観られません!
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(2014)移動販売を通して“大切なこと”に気付いていく父子旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2014年・アメリカ | 115分 | ジョン・ファブロー | ジョン・ファブロー | マイアミ~ロサンゼルス | ★★★★☆ |
『アイアンマン』(2008)の監督であり、トニー・スタークの秘書ハッピー役で自ら出演もしている監督、ジョン・ファブローが監督と脚本と主演を務めたヒューマン・ドラマ。
LAの一流レストランで総料理長として働いていたカール(ジョン・ファブロー)は、オーナーとの意見の食い違いから衝動的に辞職。
新たな仕事を探して訪れたマイアミで絶品キューバサンドイッチに出会ったカールは、息子のパーシー(エムジェイ・アンソニー)と共に、ワゴンで移動販売をしながらLAを目指します。
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の名シーン、名場面も紹介

おいしいキューバサンドはいかがですか~?:Photo by Merrick Morton
カールが作るキューバサンドイッチは非常ーーーーにおいしそうなので、空腹時にこの映画を観るのはおすすめできません。
少し距離があった息子と旅を通して絆を深めていく姿もほほえましく、おいしい料理と大好きな人がそばにいれば人生幸せだな、ということを気付かせてくれるでしょう。
ジョン・ファブローが監督・主演なだけあり、ロバート・ダウニーJr.やスカーレット・ヨハンソンといった“マーベル仲間”がカメオ出演しているところも楽しいポイントです。
『LIFE!』(2013)これまでの安定した生活を捨て、新しい自分と出会う旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2013年・アメリカ | 114分 | ベン・スティラー | ベン・スティラー | ニューヨーク~グリーンランド~アフガニスタン | ★★★☆☆ |
伝統的な写真雑誌『LIFE』誌のネガフィルム管理者として働く真面目なウォルター(ベン・スティラー)は、ある日、雑誌の廃刊を知らされます。
そして、最終巻の表紙に掲載する冒険家のショーン(ショーン・ペン)が撮った写真の「25番目のフィルム」が撮影フィルムから抜けていたことが判明。
ウォルターはフィルムを入手するために、ショーンの後を追い冒険の旅へ出るのでした。
ただただ実直で空想癖のあるウォルターが行く先々で目にするものとは…?
『LIFE!』の名シーン、名場面も紹介

ウォルターがスケートボードで道路を滑走する解放感抜群のシーン:Photo by Wilson Webb - © 2013 - Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. Not for sale or duplication.
ヘリコプターから海に飛び降りたり、スケートボードで誰もいない道路を滑走したり、火山の噴火に巻き込まれたり…。
何の刺激もない安定した毎日を過ごしていたら一生しなかったであろう体験や出会わなかった人に巡り会い、人としてどんどん成長していくウォルターの姿に、きっと自分の姿を重ねてしまう人も多いでしょう。
また、本作の予告編でも流れていたホセ・ゴンザレスによる主題歌『STEP OUT』も素晴らしく、映画へのワクワク感を高めてくれます。
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(1995)運命的に出会った初対面の男女の束の間の旅
ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)(字幕版)
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
1995年・アメリカ | 102分 | リチャード・リンクレイター | イーサン・ホーク | ウィーン | ★★★☆☆ |
『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)のリチャード・リンクレイター監督が手掛けた、もどかしい大人のラブ・ストーリー。
長距離列車の中で出会い、意気投合したアメリカ人のジェシー(イーサン・ホーク)とフランス人の学生セリーヌ(ジュリー・デルピー)は、ジェシーが降りる予定だったウィーンで翌朝まで一緒に旅をすることに。
数時間前に出会ったばかりの2人は次第に惹かれ合い、互いへの想いを募らせていきますが…。
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(1995)の名シーン、名場面を紹介

瞬く間に恋に落ちる2人:Photo by Hulton Archive/Getty Images - © 2013 Getty Images
翌朝にはまたそれぞれの目的地を目指して別れなければいけない、いわゆる“期限付きの恋”は、なんとももどかしくせつなさ&ロマンチック度100%!
特に大きな出来事が起きるわけではない中で、言葉のひとつひとつや目線で2人の揺れ動く心を表現する演出力が秀逸です。
本作を1作目として、2人の9年後を描いた『ビフォア・サンセット』(2004)、そのさらに9年後の2人を紡ぐ『ビフォア・ミッドナイト』(2013)と3部作になっているので、興味のある人はそちらも合わせてお楽しみください。
『パーフェクト ワールド』(1993)脱獄犯と8歳の少年の交流を描いた逃亡の旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
1993年・アメリカ | 138分 | クリント・イーストウッド | ケヴィン・コスナー | テキサス州~アラスカ | ★★★☆☆ |
クリント・イーストウッドが監督・出演を務め、ケヴィン・コスナーが粗野だが憎みきれない逃亡犯を演じた感涙サスペンス。
脱獄したブッチ(ケヴィン・コスナー)と、逃亡中に人質として道連れにした少年フィリップ(T・J・ローサー)の“疑似親子”的な逃避行を描いた作品です。
監督を務めたイーストウッドは、ブッチを追う警察署長を演じました。
『パーフェクト ワールド』の名シーン、名場面も紹介

こんなに幸せそうな2人なのに…:Photo by Warner Bros./Getty Images - © 2012 Getty Images
暴力的な父親に育てられ、昔から何度も少年院送りになっていたブッチと、母親が厳格な宗教の信者ゆえ季節の行事に全く参加させてもらえず寂しい想いをしてきたフィリップは、次第に心を通わせていきます。
観ているほうもそんな2人を微笑ましく眺めていたのも束の間、物語は最高にせつないエンディングへと突入していくのです。
鑑賞後に残る何とも言えないもの悲しさは、イーストウッド映画ならではとも言えるでしょう。
『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007)遺体で発見された少年の人生を取り戻す旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2007年・アメリカ | 148分 | ショーン・ペン | エミール・ハーシュ | アメリカ~メキシコ~アラスカ | ★★★☆☆ |
1992年、アラスカで遺体で発見された少年に一体何が起きたのか?
衝撃の実話を、俳優のショーン・ペンが『スピード・レーサー』(2008)のエミール・ハーシュを主演に迎え映像化。
裕福な家庭で育つも両親に対する不満を抱え、現状に嫌気がさしたクリス(エミール・ハーシュ)は、自分の身分を証明するもの全てを手放し、単身アラスカの地を目指します。
第80回アカデミー賞で助演男優賞と撮影賞にノミネートされました。
『イントゥ・ザ・ワイルド』の名シーン、名場面も紹介

ただただ己と向き合う旅:People: Emile Hirsch
© 2007 - Paramount Vantage
新しいことに挑戦し、見たことのない景色の中に飛び込んでいくクリスは、旅を通して人生の真理を知っていきます。
「幸福が現実となるのはそれを誰かと分かち合った時だ」
全編に渡って名言の宝庫でもある本作は、観た人の人生の1本として必ずや心に刻まれることでしょう。
『セックス・アンド・ザ・シティ2』(2010)現実逃避が大好きな女4人のアブダビ旅行
セックス・アンド・ザ・シティ 2 [ザ・ムービー](字幕版)
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2010年・アメリカ | 147分 | マイケル・パトリック・キング | サラ・ジェシカ・パーカー | ニューヨーク~アブダビ | ★★★☆☆ |
大人気ドラマの映画版『セックス・アンド・ザ・シティ』(2008)の続編。
前作から2年後、愛しのミスター・ビッグ(クリス・ノース)と新婚生活を送るも刺激が足りない毎日に嫌気がさしてきたキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)は、親友3人と共に1週間のアブダビ旅行へ。
そこで、元彼のエイダン(ジョン・コーベット)と偶然再会し、消えたはずの恋心が再燃する…!?
『セックス・アンド・ザ・シティ2』の名シーン、名場面も紹介

いざ、魅惑のバカンスへ!:Photo by Craig Blankenhorn - © MMIX New Line Productions, Inc.
SATCシリーズと言えば、キャリーたちのゴージャスでオシャレなファッションやメイクが見どころ。
本作でも、アブダビ旅行へ出かけたキャリー、サマンサ(キム・キャトラル)、シャーロット(クリステン・デイヴィス)、ミランダ(シンシア・ニクソン)の個性的なバカンス・ルックは観ているだけで気分がアガります!
また、キャリーと優男エイダンとの再会シーンは、現実にはあり得ないからこそめちゃくちゃロマンチック。
自分もキャリーになったつもりで映画の世界にどっぷり浸かるのがベターです!
『127時間』(2010)岩に右腕を挟まれて動けなくなった男の絶望過ぎる旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2010年・アメリカ イギリス | 94分 | ダニー・ボイル | ジェームズ・フランコ | ユタ州キャニオンランズ国立公園 | ★★★☆☆ |
登山家アーロン・リー・ラルストンの自伝を原作に、『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)のダニー・ボイル監督およびスタッフが集結して撮ったサバイバル・ムービー。
家族をないがしろにし、自由気ままに生きてきたアーロン(ジェームズ・フランコ)は、誰にも行き先を告げずひとりでユタ州にキャニオニングへ。
順調に旅を楽しむアーロンでしたが、ある時、滑落事故に見舞われ、右腕を岩に挟まれて身動きがとれなくなってしまいます。
誰もいない荒野にたったひとりで残された男の、執念と奇跡の実話です。
『127時間』の名シーン、名場面も紹介

絶望の淵で調子に乗っていた人生を振り返る:©2010 TWENTIETH CENTURY FOX
叫んでも誰にも聞こえない、動物すらいない荒野で岩に腕を挟まれたまま刻々と時間だけが過ぎていく。
想像以上に地獄だと思います。
残り僅かな水を飲み、ビデオに家族にあてたメッセージを残しながらアーロンはこれまでの人生、自分がしてきた行いを振り返り始めます。
誰しも生きていれば思わぬアクシデントに遭う可能性はあります。
旅に危険はつきもの。
本作を教訓に、旅への準備も入念に行いたいものですね!
『LION ライオン 25年目のただいま』(2015)25年間迷子だった少年の家探しの旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2010年・アメリカ イギリス | 94分 | ダニー・ボイル | ジェームズ・フランコ | ユタ州キャニオンランズ国立公園 | ★★★☆☆ |
5歳の時にインドで迷子になり、オーストラリア人の夫婦の養子として引き取られた少年サルーが、Google earthをもとに自分の生まれ故郷を探す感動の実話を映画化。
生き別れになったままの家族へ想いを募らせるサルーを『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)のデヴ・パテル、彼を引き取るオーストラリア人の養母を名優ニコール・キッドマンが演じています。
『LION ライオン 25年目のただいま』の名シーン、名場面を紹介

それなりに満ち足りた生活を送るサルー:©2016 Long Way Home Holdings Pty Ltd and Screen Australia
目の前にある幸せな生活に満たされれば満たされるほど、故郷にいるはずの家族へのやるせない気持ちが増していく。
一念発起してGoogle earthや、迷子になる時に乗っていた電車の速度、おぼろげな記憶から、徐々に故郷の場所を割り出していくサルー。
思いがけず25年もかけて壮大な旅をすることになったサルーは、無事、家族に出会えるのでしょうか?
嘘のような本当の話を、ぜひお楽しみください。
『運び屋』(2018)残りの人生を“運び屋”として生きた男の哀愁の旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2018年・アメリカ | 116分 | クリント・イーストウッド | クリント・イーストウッド | 米イリノイ州~アメリカ各地 | ★★★☆☆ |
90歳でメキシコの麻薬カルテルの“運び屋”として大金を運んだ老人の驚愕の実話を、クリント・イーストウッド監督&主演で映像化。
金もなく、家族にも見放され孤独な生活を送るアーロン(クリント・イーストウッド)は、無事故無違反の腕を買われ、“運び屋”として各地を飛び回る生活を始めます。
腕は確かで友達もいない、運転する時間だけは腐るほどある。
“伝説の運び屋”としてその名をとどろかせていくアーロンを、麻薬取締局のベイツ(ブラッドリー・クーパー)が追っていて…。
『運び屋』の名シーン、名場面も紹介

警察に職務質問されても動じないアーロン(クリント・イーストウッド):© 2018 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
撮影当時88歳だったクリント・イーストウッドの“おじいちゃん感”がハラハラドキドキさせるところでもあり、哀愁を感じさせる部分でもあります。
周囲はまさかこの老人が麻薬カルテルの運び屋だとは思わないので、捕まりそうになりつつも捜査の隙間を抜けて生き延びていくアーロン。
家族をないがしろにし、身勝手に生きてきた男が“運び屋”として残された時間を突き進んでいく姿は、胸にこみ上げてくるものがあるはずです。
『2分の1の魔法』(2020)父を“半分だけ”甦らせた兄弟の絆を強くする旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト(声) | 扱われている場所 | ストーリー |
2020年・アメリカ | 103分 | ダン・スキャンロン | トム・ホランド | 自宅~各地 | ★★★★☆ |
『モンスターズ・ユニバーシティ』(2013)のダン・スキャンロン監督が、幼少期に父を亡くした自身の実体験をもとに作ったファンタジー・アドベンチャー。
亡くなった父が遺した魔法で、父の体を半分だけ甦らせたエルフの兄弟イアン(声:トム・ホランド)と兄バーリー(声:クリス・プラット)は、もう半分も甦らせるために必要な“不死鳥の石”を手に入れるため冒険に出ます。
まだまだ“半人前”の2人は、力を合わせて完璧な魔法を見つけることができるのか…?
『2分の1の魔法』の名シーン、名場面も紹介

一歩踏み出す勇気を持つことが大切!:© 2020 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
自分に自信がなく、何をしても失敗してばかりだけど魔法の才能だけはあるイアンと、ゲームオタクで冒険が大好きな弟想いのバーリー。
どんなピンチも2人で乗り越えていく姿が感動的です。
特に、「魔法の橋がかかっている」と信じて断崖絶壁に足を踏み出していくイアンのシーンは、“自分を信じることの大切さ”を感じさせてくれる名シーン。
最後にイアンがする、ちょっと意外な選択も見どころ&感動ポイントです。
『風花』(2000)行く当てのない男と女の居場所探しの旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2000年・日本 | 116分 | 相米慎二 | 小泉今日子 | 東京~北海道 | ★★★★☆ |
酒が原因の不祥事を起こし自宅謹慎処分を受けた高級官僚の廉司(浅野忠信)と、故郷に一人娘を残し東京で風俗嬢として働くゆり子(小泉今日子)が出会い、北海道へ旅に出るロードムービー。
名監督・相米慎二の遺作となった作品で、現実に問題を抱える2人の男女が旅を通して人生を取り戻していく感動作です。
『風花』の名シーン、名場面の紹介

雪山で線香花火をするゆり子(小泉今日子):Copyright©ビーワイルド/テレビ朝日/TOKYO FM
止まっていた宿からゆり子が姿を消し、廉司が夜の雪山へ彼女を探しに行く場面。
まるで今にも消えてしまいそうなゆり子が舞い踊るシーンが非常に幻想的で、死を目前にした女性の“残り火”のような美しさを感じさせます。
何の接点もないし、自分の人生には1㎜も関係ないと思っていた人から救われることもある。
人と人との出会い、自分を大事にすること、前を向いて歩くことの大切さが伝わる、何度も見直したい名作です。
『鮫肌男と桃尻女』(1998)組の金を持ち逃げしたヤクザと変態叔父に追われる女性の逃亡の旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
1998年・日本 | 107分 | 石井克人 | 浅野忠信 | 日本のどこか | ★★★★★ |
望月峯太郎の同名漫画を、『PARTY7』(2000)や『茶の味』(2003)の石井克人監督が実写映画化した痛快作。
組の金を持ち逃げしたヤクザの鮫肌黒男(浅野忠信)は、逃亡中に偶然出会った地味な女・トシ子(小日向しえ)の車に乗り込み逃走を続けます。
ヤクザの幹部を演じる岸部一徳をはじめ、鶴見慎吾や寺島進ら名役者たちが演じる個性的なキャラクターと、石井克人監督ならではの抜群の映像センスが光る唯一無二の作品です。
『鮫肌男と桃尻女』の名シーン、名場面も紹介

浅野忠信演じる鮫肌と、我修院達也扮する山田: ©望月峯太郎/講談社・東北新社
作品のテイストを決定付ける、超かっこいいオープニングで観客の度肝を抜いてくる本作。
現在ではよく見る映像かもしれませんが、1998年当時では真新しく斬新で、後の映像界にも影響を与えたとも言われています。
また、鮫肌黒男を追う者の中でも異彩を放っているのが、我修院達也演じる殺し屋の山田。
ターゲットであるはずの黒男に惚れてしまうという役どころで、その奇抜なビジュアルもあいまって鑑賞後も脳裏に焼き付いて離れないはずです。
『ヴァイブレータ』(2003)見ず知らずの男女が孤独を埋め合う長距離トラックの旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2003年・日本 | 95分 | 廣木隆一 | 寺島しのぶ | 日本のどこか | ★★★★☆ |
過食嘔吐に悩むルポライターのレイ(寺島しのぶ)が、ある夜、コンビニで長距離運転手のタカトシ(大森南朋)のトラックにふらりと乗り込み、彼の仕事に同行しながら旅に出る物語。
監督は『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017)の廣木隆一が務め、Keito Browやはっぴいえんど、浜田真理子らが物語にマッチする楽曲を提供しています。
『ヴァイブレータ』の名シーン、名場面も紹介

いい出会いはどこに転がっているか分からない:©2013「ヴァイブレータ」製作委員会
いわゆる“行きずり”の関係であるレイとタカトシは、停車したトラックのエンジンのヴァイブレーションの中で何度も肌を重ねます。
あらゆるトラウマから過食嘔吐がやめられず、幻聴に悩まされるレイを、タカトシが不器用な優しさで包み込む。
とにかく、タカトシを演じる大森南朋が最高にかっこいい一作。
旅する前と後、何かが大きく変わるわけではないけれど、「自分が少しだけいいものになった気がする」、ちょっとだけ“前進”できる作品です。
『岸辺の旅』(2015)死んだはずの夫と“思い出の地”を巡る不思議な旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2015年・日本 | 128分 | 黒沢清 | 深津絵里 | 日本のどこか | ★★★☆☆ |
3年前に失踪し海で死んだはずの夫・優介(浅野忠信)と、彼の思い出の地を巡る不思議な旅へ出る妻・瑞希(深津絵里)の物語。
『散歩する侵略者』(2017)の黒沢清がメガホンをとり、同名小説を映画化。
第68回カンヌ国際映画祭では「ある視点」部門の監督賞を受賞した感動作です。
『岸辺の旅』の名シーン、名場面も紹介

旅の終着点に待ち受けるものとは…?:©2015「岸辺の旅」製作委員会/COMME DES CINEMAS
死んだ夫は妻の知らない間、誰と出会い何をしていたのか?
思い出の地を辿る旅を通して、夫の知らない素顔を知り、既に亡くなっている人であると分かりつつも愛を深めていく瑞希。
また、旅の途中で2人が出会う人々にも秘密があり、ところどころに挟まれる黒沢清監督ならではのちょっと不気味でホラーな演出も見どころです。
『悪人』(2010)衝動的に罪を犯した男と愛に生きる女の片道切符の逃亡旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2010年・日本 | 139分 | 李相日 | 妻夫木聡 | 佐賀県~長崎県 | ★★★☆☆ |
吉田修一の同名小説を、『怒り』(2016)の李相日監督、妻夫木聡&深津絵里のW主演で映画化。
幼少期に母から捨てられて以来、人生に何の希望を見い出せずに生きてきた祐一(妻夫木聡)は、出会い系サイトで出会った佳乃(満島ひかり)を衝動的に殺めてしまいます。
そんな折、同じく出会い系サイトで祐一と出会った地味な女性・光代(深津絵里)は、彼と肌を重ねたことで初めて愛を知り、彼が殺人犯だと知りながらも惹かれていき…。
世間的に見れば“逃亡犯と、彼に連れまわされる被害者”となった2人に、希望はあるのでしょうか?
『悪人』の名シーン、名場面も紹介

増尾(岡田将生)を追いかける佳男(柄本明):©2010「悪人」製作委員会
主演2人の演技も非常に素晴らしいのですが、筆者の記憶に残ったのは、祐一に殺された佳乃の父・佳男を演じた柄本明の存在感。
後に祐一に殺されることになる佳乃を夜の山道に置き去りにした増尾(岡田将生)に対して佳男が言う「あんた、大切な人はおるね…」から始まる一連のシーンは、現代社会で生きる全ての人に聞いて欲しい名台詞が満載です。
世間にとっては“悪人”でも、ある人にとっては“愛する人”かもしれない。
あらゆる側面から見た人間の悲しさや虚しさが描かれている一作です。
『百万円と苦虫女』(2008)100万円貯まるごとに居場所を変える“私”の旅
【作品情報】
製作年・製作国 | 作品時間 | 監督 | キャスト | 扱われている場所 | ストーリー |
2008年・日本 | 121分 | タナダユキ | 蒼井優 | 日本のどこか | ★★★★☆ |
今の生活から抜け出したいと思いつつも踏んだり蹴ったりな日々を送るリコ(蒼井優)は、ある日、「100万円貯まったらこの家を出ていく」と家族に宣言。
その宣言通り、海から山、知らない街へと働きながら100万円貯まるごとに移動を続けるリコの旅を描いています。
監督は『ロマンスドール』(2019)のタナダユキ。
『百万円と苦虫女』の名シーン、名場面も紹介

2人の距離感がもどかしい、リコ(蒼井優)と中島(森山未來):©2008「百万円と苦虫女」製作委員会
行く先々であらゆる人と出会いながらも執着せず、淡々と仕事をこなしては次の居場所を探すリコを、蒼井優が瑞々しい演技で体現。
そんなリコが、バイト先に選んだ地方都市のホームセンターで出会った中島(森山未來)に惹かれ、本音を告白するシーンのいい意味での生々しさが秀逸です。
自分探しではなく、ひたすら自分と向き合う旅もたまにはいいかもしれません。
アマゾンプライムビデオ・U-NEXTで観れるロードムービー・旅映画を紹介
ご紹介してきたロードムービー・旅映画の仲にはVODで観れる作品も!
アマゾンプライムビデオでは『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』『セックス・アンド・ザ・シティ2』など。
U-NEXTでは、『LIFE!』『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』。
『LION ライオン 25年目のただいま』はNetflixで観れます!
もちろん上記に挙げたものだけではないので、気になった作品があればチェックしてみてくださいね。
まとめ
おすすめのロードムービー&旅映画を20本ご紹介しましたが、気になる旅はありましたか?
計画的でも偶然でも、旅は人を成長させてくれるものです。
今回紹介した映画を通して、何か人生を変えるヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。